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遺言執行者とは?遺言執行者の義務、指定するメリット、選ぶ際のポイントを解説

記事作成日2022/10/07 最終更新日2023/08/04

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遺言書に書いてあることを実現することを「遺言執行」といいます。遺言執行は、本来被相続人の権利義務を承継した相続人全員で行う必要があります。

しかし、相続人間の利害が対立したり、相続人同士が遠方に住んでいて話し合いができないことも多々あります。このような場合に、相続人全員で協力して遺言の内容を実現することは現実的ではありません。このため、遺言の内容を確実に実行する遺言執行者を遺言書で選んでおくことが望ましいです。

この記事では遺言執行者になれる人や指定するメリット、経営者が遺言執行者を選ぶ際のポイント等について解説します。遺言書を作成する予定の方はぜひ参考にしてください。

そもそも遺言執行者とは

遺言執行者

相続が遺言書どおりに実行されるように必要な手続きを行う人のことを、遺言執行者(遺言執行人)といいます。旧民法では、遺言執行者の権利義務等に関する一般的・抽象的な規定はあったものの、規定上必ずしも明確でない部分が多く、判例等によって規律が図られていました。

2019年7月1日の民法改正では、遺言執行者の法的地位が明確化され、遺言を実現するために強力な権限を行使できるようになりました。

遺言執行者になれる人

遺言執行者になるために特別な資格は必要なく、未成年・破産者以外の者は誰でもなることができます。一般的には配偶者や実子等の相続人、相続の知識をもった専門家(弁護士・司法書士・行政書士)に依頼するケースが多いです。

遺言執行者の義務

遺言執行者は就任後、以下の義務が発生します。

①遺言執行者に就任後、直ちに任務を開始する義務

遺言執行者に指定された者または家庭裁判所に選任された者は、就任したら直ちに任務を開始する義務があります。正当な理由なく任務を開始しなければ、解任事由に該当する可能性もあります。

②相続人への通知義務

遺言執行者は就任後、任務開始と共に就任した旨をすべての相続人に通知しなければなりません。遺言により財産を全く相続しない相続人がいたとしても、その相続人に遺留分の侵害額請求の機会を与える必要があります。また、通知の際には遺言書の内容を知らせる必要もありますので、遺言書の写しも添付する方法が一般的です。

③財産目録の作成義務

遺言執行者は、財産目録を作成し、相続人に交付する義務があります。ただし、財産目録に記載するのは、遺言書に記載されている財産のみです。遺言執行者は遺言書の内容を執行する権限は有していますが、遺言書に記載されていない財産については対象外となります。

④遺言書の内容を執行する義務

遺言執行者は遺言書の内容を実現するため、遺言執行のために必要な行為であれば、法律上当然に行うことができます。遺言書に不動産の記載があれば、その内容に従い相続人と移転登記申請を行います。預金債権や証券がある場合は、各金融機関で相続手続きを行い、手続き完了後に相続人に解約金の振込みを行います。

⑤その他

その他にも、遺言執行者は委任に関する法律も準用されています。

・善管注意義務
・相続人への報告義務
・財産の引き渡し義務

遺言執行者を指定することのメリット

遺言で遺言執行者を指定するメリットとしては、遺言執行者は遺言の内容を実現する権限がありますので、円滑な遺言の実現ができる点です。相続人間で感情が対立している場合でも、遺言執行者が単独で手続きできるので、スムーズに手続きを進めることができます。

さらに、相続人が複数いる場合、作成する書類の収集や署名押印手続などが何かと煩雑になりがちですが、遺言執行者を指定していれば、執行者が相続人代表として手続を進められるので、時間短縮にもなります。

法人を指定することのメリット

遺言執行者は、個人ではなく、法人を選任することが可能です。つまり、「行政書士の△△先生に依頼する」といった形式ではなく、「行政書士法人○○」自体を遺言執行者に選任することができます。

法人を指定することで、担当していた行政書士が退職や死亡などで、現役を退いたとしても、法人自体が遺言執行者として業務を行いますので、法人が解散しない限りは消滅せず、確実に遺言執行を行える可能性が高いです。

経営者の遺言執行者は誰にすべきか

経営者の遺言執行は、かなりの分量があり、相続人が複数いる場合は、手間と時間が大幅にかかりますので、専門家に依頼するのが得策です。遺言執行者を誰にするか以外にも、遺留分対策や相続税対策にも考慮する必要があります。また、経営者が株式を所有している場合は、会社の経営に大きな影響がありますので、相続によって株式が分散しないように注意が必要です。

そのため、遺言書を作成する段階から専門家に依頼して、内容を検討することをお勧めします。

まとめ

遺言執行者を指定することで、遺言書の内容を確実にスムーズに実現できます。TOMAでは、遺言書作成に関するご相談を承っています。ご興味ある方は、是非お問い合わせください。TOMAの遺言書作成・相続手続き支援サービスはこちらからご覧いただけます。