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【認知症と相続対策】相続人が認知症になることのリスクについて

記事作成日2022/09/05 最終更新日2023/10/17

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認知症は、相続対策で注意すべきことの一つです。認知症になり意思決定能力が失われると、契約や手続きなどの法律行為が行えなくなります。認知症と診断された方が相続対策を行った場合、それが無効になることもあります。今回は相続対策における認知症のリスクについて解説します。

認知症になると行えない法律行為

内閣府が公表している令和3年版高齢社会白書によると、日本の65歳以上人口は、3,619万人となり総人口に占める割合(高齢化率)は28.8%となっています。また、上記白書によると、認知症にかかる65歳以上の高齢者数は、2025年には700万人を超えると予想されています。これは、65歳以上の高齢者の約5人に1人ほどで、認知症はかなり身近にある病気といえます。

認知症になると、徐々に判断能力が低下していきます。認知症になり、法律上“意思能力がない”と判断されると、法律行為を行うことができなくなります。例えば以下のような意思能力の必要な契約、取引を行うことができなくなります。

・不動産の売買
・生命保険の契約
・子供や孫への生前贈与
・遺言書の作成
・預金口座の引き出しや振込み
・相続放棄

これらの行為は、行ったとしても無効であり、たとえ家族であっても代わりに行うことができません。

相続人に認知症の方がいる場合には、必ず相続対策を

自身が認知症ではないとしても、たとえば夫の相続の際に、相続人である妻が認知症の診断を受けていた場合、妻は判断能力がないため、遺産分割協議に参加することができません。遺産分割協議は相続人全員の同意が必要で、一人でも参加できないと成立しません。また、認知症を発症している相続人は、相続放棄をすることもできません。判断能力が減退していて、自分自身の判断ではないとみなされるからです。

この場合、法定後見人等の代理人を選定しない限り、全ての相続財産を法定相続分で分けるしかなくなってしまいます。亡くなった方が不動産を所有していた場合には、相続人全員の共有名義にしなければならず、例えば空き家になってしまったから売却しようと考えても、共有者全員の承諾がないと売却ができません。共有者に認知症の方がいる場合には、認知症の相続人が亡くなるまで放置せざるを得ないというケースも出てきてしまいます。

そのような事態を回避するために有効なのが、遺言です。遺言による相続は、相続人側が行う法律行為ではないので、認知症で意思能力がない相続人の方であっても、代理人を立てることなく相続財産を受け取ることができます。

認知症を発症する前に、相続対策をしましょう

意思能力があるかどうかの判断は、医師の診断や介護記録、家族の証言などをもとに行われます。認知症が軽度であれば、個別の判断にはなりますが、意思能力があると判断されることもあります。しかし、認知症になってしまうと、症状が進行するにしたがって、できることが限られてきます。自分の財産を思い通りに遺したいなら、意思能力があるうちに遺言を残すなどの対策が必要です。

認知症を他人事と捉えず、もしもの時に備えて早めに相続対策を心掛けましょう。TOMAの専門家にご相談いただくこともできます。無料WEB相談も受け付けていますので、下記よりお気軽にご連絡をお願い致します。

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