人事労務なんでも質問集

異動

【転勤命令】会社には人事権があるため、社員に転勤を命じることができる？

就業規則に、転勤（配置転換）に関する条文があり、かつ、雇用契約において勤務地の限定について合意が無い場合は、原則として本人の同意を得ずとも転勤させることができます。
但し、次のような場合は、権利濫用として転勤命令は無効と判断される恐れがあります。
①業務上の必要性がない場合
②業務上の必要性があっても、他の不当な動機、目的を持ってなされた場合
③社員に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合

【出向命令】関連会社への出向は、会社から一方的に命じることができる？

出向命令は、転勤命令同様、就業規則又は雇用契約書において出向を命じることがあると明記していれば、原則として、本人の同意を取ることなく出向させることができます。

【転籍命令】関連会社への転籍は、会社から一方的に命じることができる？

転籍命令は、雇用主である会社が変更となるため、たとえ就業規則に転籍を命じることがあると明記したとしても、本人の同意を取らなければ無効となります。

労働時間

【直行直帰の移動時間】訪問先へ直行直帰する時間は労働時間として賃金を支払わなければならない？

原則として、直行における自宅から客先までの移動時間は通勤時間となるため、賃金の支払いは不要です。また、客先から直帰する場合も、同様の扱いです。
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。つまり、移動時間について、移動中の業務指示を受けず、業務に従事することもなく、自由な利用が保障されているような場合には、労働時間に該当しません。

【残業命令と36協定】従業員に残業を命令する場合の必要な手続きは？

法定労働時間（1日8時間・1週40時間）を超えて残業させる場合は、事前に次の手続きが必要です。
　 ①労働基準法第36条に基づく労使協定（36協定）を締結する
　 ②所轄労働基準監督署長へ届出する
　 ③就業規則において残業を命じる旨を規定する

【振替休日】同一賃金計算期間内に休日を振り替えれば、割増賃金を支払わなくてよい？

1日の所定労働時間が8時間、かつ、時間外労働もない場合で、同一週内で休日を振り替えたときは、労働時間が週40時間を超えないため、割増賃金（時間外労働又は休日労働）の支払いは不要です。
なお、異なる週に振り替えた場合において、週40時間を超えた時間については、割増賃金と通常の賃金との差額（0.25時間分または0.35時間分）の支払いが必要です。
（注：変形労働時間制、フレックスタイム制の場合などを除く）

休日・休暇

【年次有給休暇の半日付与】会社は、年次有給休暇を半日単位で付与する制度（半日単位年休）を定めなければならない？

労働基準法上、半日単位年休を制度として定める義務はありません。但し、半日単位年休を導入する際には、その旨を就業規則に明記する必要があります。あわせて、半日単位年休を取得した場合の始業・終業時刻についても、就業規則に明記することをお勧めします。

【パート社員の年次有給休暇】パート社員に対して、年次有給休暇を与える必要はない？

次の要件を満たす労働者には、雇用形態にかかわらず、年次有給休暇を与える必要があります。
①雇い入れの日から6ヶ月継続勤務
②6ヶ月間の出勤率が8割以上

また、法令上、週所定労働時間30時間未満かつ週所定労働日数4日以下のパート社員については、所定労働日数・時間に比例した日数の年次有給休暇を付与する必要があります。（週所定労働時間30時間以上または週所定労働日数5日以上の場合は、通常付与が必要です）。

【年次有給休暇の当日取得申請】急な体調不良で年次有給休暇の取得日当日に申請をしてきた社員に対して、取得を認めなければならない？

年次有給休暇は、遅くとも取得する前日までに時季を指定しなければならないため、当日の取得申請を認める必要はありません。しかし、急な体調不良など理由によっては、当日の取得を柔軟に認めている会社も多くあります。

【夏季・年末年始休日】夏季休日や年末年始休日は与えなければならない？

法律上与えなければならない義務はありません。労働基準法において、週1日または4週で4日の休日が確保されていれば、夏季休日や年末年始休日、祝日などに休ませる必要はありません。

私傷病休職

【休職の適用】病気で働けなくなった社員は、必ず休職させなければならない？

法律上、私傷病の社員を休職させなければならない義務はありませんが、会社の就業規則に休職制度に係る規定があり、対象者がそれに該当する場合は、休職させなければなりません。
私傷病等で労務提供ができないことを理由に直ちに解雇することは困難なため、多くの会社で休職制度が設けられ、一定期間私傷病の社員の労働義務を免除しています。

【私傷病休職中の賃金】私傷病休職中の社員の賃金は、復職するまで会社が補償しなければならない？

会社が賃金を補償する義務はありません（その会社の休職制度によります）。なお、私傷病により働くことができず無給となる期間は、最長1年6か月間、標準報酬日額の2/3相当額が傷病手当金として支給されます。

【私傷病休職の要件】連続して欠勤していないが、休みがちな社員に休職を命じることはできる？

就業規則上に、断続的な欠勤であっても休職を命じられるように規定されていれば可能です。出勤と欠勤を繰り返すことが多い精神疾患に対応できるように、断続的な欠勤であっても休職を命じられるように規定を作成することが望ましいです。

育児・介護

【育児休業】育児休業は、子が何歳になるまで取得できる？

通常の育児休業は、原則として、子が1歳に達する日まで取得可能です。
ただし、保育所に入所できない等、子が1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合は、最大、子が2歳に達する日まで取得可能です。

【介護休業】介護認定を受けていない家族を介護するための介護休業はできる？

介護保険上の介護認定を受けていなくても、「常時介護を必要とする状態に関する判断基準※」に該当すれば、介護休業は認められます。
常時介護を必要とする状態に関する判断基準（厚生労働省）
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/img/common/youkaigo.pdf
なお、介護休業等制度の対象となる家族の範囲は次の通りです。（対象家族であれば、同居の有無は問われません。）
・配偶者(事実婚を含む)
・父母
・子
・配偶者の父母
・祖父母
・兄弟姉妹
・孫

【介護休業】介護休業は、何日間取得できる？

介護休業は、対象となる家族1人につき、通算93日を超えない範囲で最大3回まで分割して 取得可能です。

服務規律懲戒

【就業規則に定めのない懲戒処分】無断で遅刻や早退・欠勤を繰り返す社員に対して、就業規則に懲戒事由の定めは無いが、懲戒処分できる？

懲戒処分は刑法と同様に罪刑法定主義であり、原則として、就業規則の懲戒事由にない懲戒は行うことはできません。
また、問題が起こった後で就業規則に懲戒事由を定め、遡及して処罰することもできません。
想定できる問題言動は、予め懲戒事由として具体的に定めておくことが望ましいです。

【男性に対するセクハラ】女性から男性に対するセクハラは成立する？

セクハラ行為は性別に関係なく成立します。なお、セクハラ行為があった場合に、会社は適切な措置を講じる義務があり、義務を怠った場合は不法行為または債務不履行責任に基づき損害賠償責任を負うことがあります。（男女雇用機会均等法　第11条第1項　参照）

【減給処分の金額】減給処分の額は、会社の判断で自由に決めることができる？

減給処分は、労働基準法によって次の範囲内と規定されています。
1回の減給処分　　　平均賃金の1日分の半額まで
複数の減給処分　　　総額が1賃金支払期の給与総額の1/10まで

【損害賠償請求】社員が会社の高価な備品を壊した場合、損害賠償として全額請求できる？

会社は、明らかに故意または重過失があった場合を除き、原則として社員に対して損害の全額を賠償請求することはできません。これは、会社は社員の労務提供により事業を営み、利益を上げていることから、原則として社員に対して実際の損害額をそのまま弁償させることは難しいとの考えからです。

退職解雇

【解雇予告手当】30日分の解雇予告手当を支払えばいつでも解雇できる？

解雇予告手当を支払ったとしても、解雇の理由が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となります。
その他、業務上の怪我や病気の治療のために休業する期間とその後30日間、及び女性社員の産前産後の休業期間とその後30日間は、原則として解雇が禁止されています。

【仕事中にネットサーフィンをする社員】仕事中に会社のインターネットでネットサーフィンをしている社員を直ちに解雇できる？

直ちに解雇することは困難ですが、仕事中にネットサーフィンをしていた時間は労務を提供していないことになる（労働契約不履行である）ため、解雇理由として合理性はあります。
ネットサーフィンの行為が発覚する都度、注意・指導・懲戒処分を行ったものの、複数回行ってもなお改善の見込みがないため、やむを得ず解雇した場合等であれば、合理性のあるものとして、原則として解雇が認められると考えられます。

賃金

【割増賃金の算定基礎～住宅手当】30,000円を社員に一律に支給している住宅手当は、割増賃金の算定基礎として含めなければならない？

住宅手当といえども、下記のような性質を有する住宅手当は、割増賃金の算定基礎から除くことはできません。
①社員全員に一律に支払われる手当
②住宅の形態ごとに一律に定額で支給することになっている手当
たとえば、賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持ち家居住者にはローン月額の一定割合を支給するような住宅手当であれば、割増賃金の算定基礎から除外することが可能です。

【歩合給】営業社員の成績に応じた歩合給は、割増賃金の算定基礎に含めなくてもよい？

歩合給制であっても法定労働時間を超えて労働した場合は、その部分について割増賃金が必要です。ただし、通常の算定方法によらず、次の通り、総労働時間に応じて算定します。
歩合給÷総労働時間×0.25×時間外労働時間

【時間給制のパート社員に対する残業代】時間給制のパート社員が残業した場合は、時給×労働時間数で計算した額を支給すればよい？

時間給制のパート社員であっても、法定労働時間（原則として1日8時間、1週40時間）を超える場合、その部分に対しては、法令上25％（月60時間超の部分に対しては50%）増しの割増賃金を支給しなければなりません。

【許可なく行った残業】会社の許可なく残業した場合に、割増賃金の支給をしなければならない？

残業を明確に命じていなくても、例えば残業しなければ到底終わることのできない仕事を与えていたり、残業を黙認するなど、黙示の命令があると判断されれば、たとえ自主的に残業した場合でも、割増賃金の支給をしなければなりません。労働者が会社の許可なく残業しないような業務量調整や労働時間管理に取り組みましょう。

【管理職の深夜手当】部長職に対しては割増賃金を支払う必要がない？

労働基準法上の管理監督者に該当する管理職の場合、労働時間・休憩・休日に関する労働基準法の規定は適用されません。但し、深夜業に関する規定は適用除外となっていないため、労働時間が深夜（22時から翌5時までの時間帯）に及んだ場合は、深夜割増賃金の支給が必要です。

【30分未満の残業時間】1日30分未満の残業時間を切り捨てているが、問題ないか？

時間外労働時間の切り捨ては、原則として認められていません。ただし、給与計算処理の簡便化のため、1か月における時間外労働等の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる端数処理は認められています。

【仕事が遅い社員の残業】仕事が遅い社員が所定時間に仕事が終わらず残業した場合は残業代を払わなくて良い？

他の社員よりも仕事が遅いことで所定労働時間内に仕事が終わらず残業をした場合であっても、法定労働時間（または所定労働時間）を超えて労働した場合は、残業代を支給しなければなりません。
残業代を支給しないためには、仕事が遅い社員に対して教育的指導をして能力を上げてもらうことや、残業にならないように業務量を調整するなどの対策が必要です。

【固定残業代の相当性】残業代を毎月固定で支給する「固定残業代」は、認められる？

固定残業代は、下記要件を全て満たしていれば、認められるとされています。
①賃金（基本給や手当）に含まれる残業代を明確にし、それが何時間分の割増賃金にあたるのかが就業規則や雇用契約書に明示されていること。
②実際の残業が固定残業代に含まれる時間を超える場合は、その差額を支払うこと。

安全衛生

【健康診断費用】定期健康診断の診断費用は会社が負担しなければならない？

労働安全衛生法第66条等に基づき、企業は常時使用する全ての社員に対して、毎年1回医師による定期健康診断を実施しなければならないと義務付けられています。労働者に徹底して受診させる必要があります。

【産業医の選任義務】産業医は必ず選任しなければならない？

労働安全衛生法第13条等に基づき、産業医は、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに選任しなければなりません。

【長時間労働者の対応】長時間労働となっている労働者に対し、会社が果たすべき義務はある？

労働安全衛生法第66条の8等に基づき、月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労蓄積があり、医師の面接指導を申出た労働者（管理監督者含む）に対し、会社は医師の面接指導を受けさせなければなりません。なお、医師の面接指導実施後は、医師から意見聴取し、必要な措置を講じなければなりません。

【ストレスチェック結果の閲覧】ストレスを抱えている社員を把握したいため、各人のストレスチェック結果を会社が閲覧しても良い？

本人の同意なくストレスチェック結果を会社が閲覧することはできません。

労災保険

【臨時アルバイトのケガ】臨時で雇ったアルバイトが仕事中にケガをした場合は業務災害となる？

労災保険は、雇用形態（社員、アルバイト、パ－ト）や名称にかかわらず、労働の対価として賃金を受ける者すべてが対象となります。したがって、夏休みだけアルバイトをしているような者や学生なども仕事中に事故・ケガがあれば、労災保険の請求ができます。（通勤災害も同様）

【通勤経路と異なる経路上での事故】会社に報告した通勤経路と異なる経路で通勤中にケガをした場合、通勤災害となる？

通勤として、異なる経路が、合理的な経路および方法であれば通勤災害と認められる可能性が高いです。合理的な経路および方法は、社会通念を著しく逸脱したものでなければ認められますが、当日の交通事情により迂回して取る経路、マイカー通勤者が貸切りの車庫を経由して通る経路など、通勤のためにやむを得ず取る経路も合理的な経路となります。
しかし、特段の合理的な理由もなく、著しい遠回りとなる経路を取る場合などは、合理的な経路とはなりません。

【独身者の帰宅時の事故】独身者が退勤後、自宅近くのレストランで食事し、その後ケガをした場合は通勤災害になる？

通勤の途中で通勤に関係のない行為をした場合は、原則としてその後の経路は通勤となりませんが、下記のような行為であれば、その行為中を除き、元の通勤経路に戻った後は通勤となります。
①日用品の購入その他これに準ずる行為
②職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
③選挙権の行使その他これに準ずる行為
④病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
独身者の場合、食事後に通勤経路に戻った場合は、通勤災害として認められます。

【妻帯者の帰宅時の事故】退勤後、妻が自宅にいるにも関わらず、帰宅途中で食事をし、その後事故にあった場合は通勤災害になる？

妻が自宅で夕食を作っているにもかかわらず、帰宅途中で食事を取った後の事故は認めらません。

【帰宅時に飲酒後の事故】会社を退勤し、長時間の飲み会に参加して自宅へ帰る途中に事故にあった場合に通勤災害になる？

長時間飲酒後の帰路は通勤災害とはなりません。なお、労災となるかは飲酒後、通常の通勤経路に戻った場合で、下記のような事例により判断されます。
①認められた事例：帰宅中、喉の渇きを覚え、短時間、通勤経路上で缶ビール等を飲んだ
②認められなかった事例：帰宅途中、喫茶店やバーなどで長時間飲酒をした

【自宅の庭先でのケガ】自宅の庭先でつまづいて転んでケガをした場合は通勤災害になる？

戸建の自宅と通勤の境界線はその住宅の「門戸」のため、戸建住宅の玄関ドアを出た後の事故であっても、そこが、門戸より中である場合（庭など）は、自宅敷地内の事故ということで、労災保険法上の通勤災害とは認められません。

【マンションの共有部分でのケガ】マンションの共用部分である階段を踏み外してケガをした場合は通勤災害になる？

マンションと通勤の境界線はそのマンションの「玄関ドア」のため、マンションの玄関ドア前の共用部分である階段での災害は通勤災害となります。

【会社に無断で車通勤したときの事故】会社に無断で車で通勤したときに、事故を起こした場合、通勤災害になる？

鉄道、バス等の公共機関、自動車、バイク、自転車、徒歩等、通常考えられる通勤手段は、社員が常日頃、用いているか否かにかかわらず一般的に合理的な方法と認められます。したがって、たまたま自動車で通勤したとしても、そのことだけをもって、合理的な方法でないとはみなされません。

雇用保険

【自己都合退職者の離職理由変更】自己都合で退職する社員の希望で、失業給付がすぐにもらえるように離職理由を会社都合としてもよい？

自己都合退職の場合、雇用保険の失業給付は、離職後、２ヶ月間の支給制限期間があり、すぐに失業給付が受給できません。一方、会社都合による退職の場合、支給制限期間が無く、その分早く失業給付を受給することができます。
こうした理由から、離職者本人が、会社都合扱いで離職票を作成するよう申し出がある場合があります。本来であれば自己都合である離職理由を会社都合にすることは、不正手続きとなり、受給者は、支給された失業給付の返還を含め、最大3倍返しをしなければなりません。
また、会社にとっても、不正の届出をしたことになりますので、6ヶ月以下の懲役又は30万円未満の罰金に処せられる可能性があるだけでなく、離職理由を会社都合にしたことで、受給中またはこれから受給する予定の助成金の支給が受けられなくなる場合があります。

【有期雇用者の雇い止め】3年で満了の社員が更新を希望したが、会社が更新しない時の雇用保険上の離職理由は会社都合となる？

雇用契約の更新により、3年以上雇用されている場合と、3年未満雇用されている場合で取扱いが異なります。
①3年以上の雇用：
会社都合の退職として特定受給資格者となり、支給制限期間無しに失業給付を受給
②3年未満の雇用：
正当な理由のある自己都合退職として、特定理由離職者となり、支給制限期間無しに失業給付を受給（2025年3月31日までの離職の場合、特定受給資格者と同様の給付日数）

【使用人兼務役員の雇用保険】役員でありながら一般の社員と同様に勤務している使用人兼務役員は、雇用保険に加入できる？

登記簿上役員であっても業務執行権を有さず、実際は社員と同様に仕事をし、就業規則や給与規程の適用、タイムカードなど労務管理上も同様に取り扱いを受けている場合は、雇用保険の適用があります。ハローワークに「兼務役員雇用実態証明書」を提出し、確認を受けます。その際、出勤簿や賃金台帳、登記簿謄本、役員となることを決定したときの議事録、就業規則などを添付します。（詳細は管轄はハローワークへ確認）

【雇用保険の加入】2か月間の期間雇用なので雇用保険に加入させなくてもよい？

雇用保険は、次の条件を満たせば、期間雇用であっても加入義務があります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
②31日以上雇用される見込みがあること。

社会保険

【社会保険の加入】パートタイマーが希望しない場合、社会保険に加入させなくてもよい？

社会保険（健康保険・厚生年金保険）の加入は、本人で任意に選択できるものではないため、要件に該当した場合、会社は必ず加入手続きをとらねばなりません。
本人が加入したくない、という理由で会社が社会保険に加入させなかった場合は、加入の届出を怠った会社に責任が及びますので、注意が必要です。

【未加入者の社会保険加入】社会保険の加入要件を満たした社員を、加入させていなかった場合、最大2年前まで遡及加入となる？

社会保険の加入要件を満たしている社員を加入させていなかったことが発覚した場合、最大2年前まで遡及加入となります。また届け出義務を怠った会社には、罰則が適用されることがあるため、注意が必要です。

【傷病手当金の請求】自分の不摂生で風邪を引き、1週間寝込んだ場合、傷病手当金の請求ができる？

傷病手当金は、下記要件に該当すれば、自己の不摂生や不注意による病気やケガの場合も支給されます。
①療養のためであること（医師の指示による自宅療養を含む）
②労務に服することができないこと（医師の証明による）
③連続4日間以上欠勤していること（公休日や有給取得日を含む）
したがって、一週間の欠勤であれば、4日間分の傷病手当金を申請できますが、この4日間に、会社から給与を貰っている場合（有給休暇を含む）は支給されません。
なお、最大1年6ヶ月支給されます。

【退職後の傷病手当金】社員が在職中に私傷病で欠勤し、仕事ができないまま退職した場合、傷病手当金をもらうことができる？

下記の要件に該当すれば、退職後も引き続き傷病手当金が支給されます。（最大1年6ヶ月）
①退職日までに、1年以上被保険者であること
②退職日までに傷病手当金の支給を受けていたこと（又は受けられる状態であったこと）
受けられる状態であったこととは、退職日において、Q「自分の不摂生で風邪を引き、1週間寝込んだ場合、傷病手当金の請求ができる？」の要件に該当していることを指します。

その他

【労働組合との交渉】社外の労働組合からの団体交渉は応じなければならない？

労働組合から団体交渉の申入れがあった場合、その組合が社外の労働組合であっても、会社は原則として交渉に応じる義務があります。これは、労働組合法第7条において、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否することは不当労働行為とされているためです。

【業務委託契約への切り替え】正社員から業務委託へ契約を切り替えることは可能？

契約を切り替えることは可能です。しかし、次に該当する場合は、労働者として判断され、残業代の支払いやその他労働基準法等の規制の対象となる恐れがあります。
・仕事量や配分、進め方など具体的な指示している場合
・会社から就業場所や就業時間を具体的に指示している場合
・報酬が働く日数や時間あたりで決まっている場合
・他者からの仕事を受けさせないように制約している場合　など

【労働条件明示】アルバイトにも労働条件明示は必要？

アルバイトであっても、労働契約を締結、更新する際には労働条件の明示が必要です。労働基準法第15条第1項により、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとされています。

【面接時の質問】採用面接時に病歴、妊娠の有無を質問してもよい？

病歴については、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」に該当するため、応募者本人が同意した場合に限り、取得が可能です。また、同意を得る際に、利用目的を明確にし、回答は任意であることを明示することが重要です。妊娠の有無についても個人の心身の状態に関する情報であり、原則として本人の同意なしに取得・利用することはできません。また、妊娠の有無を採用選考の判断材料とすることは、男女雇用機会均等法に抵触する可能性があり、差別的取扱いとみなされるおそれがあります。従って、妊娠の有無を面接時に尋ねることは、避けるべきと考えられます。