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経営者が抱え続ける未完了とは

記事作成日2026/10/14

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経営者の皆さんの中には、夏休みを取ってみたものの、やらなければいけないタスクが頭から離れず、休んでいるのに休んだ気にならないという人も多いのではないでしょうか。

実は私たち人間には、未完了の物事ほどより強く記憶に残りやすいという性質があります。

ツァイガルニク効果といいますが、この性質を理解し上手く利用することは、私たちの仕事においても私生活においても、とても大切なことだと思います。

ツァイガルニク効果

ソ連の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクはある時、レストランのウェイターが、まだ料理を出していない客の注文は完璧に覚えているのに、料理を出し終えた途端に注文内容を忘れてしまうことに気づきました。

そこである実験を行います。集めた被験者に複数の課題を与え、半分のグループには最後まで課題を完了させたが、もう半分のグループには途中で課題を中断させ、未完了のまま次の課題に取り掛からせたのです。実験後に課題の内容を聞いてみると、課題を中断させたグループの方が、課題を完了させたグループより2倍も多く内容を覚えていました。

人間の脳は、未完了の物事については緊張感を維持し活動し続けますが、完了した途端に緊張感から解放され、記憶が薄れていくのです。

タスクが頭から離れず休まらないというのは脳のこの性質によるものなので、考えないようにしようと思ってもできないのは当然のことなのです。

考えてみると、仕事に限らず私たちは、とても多くの未完了を抱えていることに気付くと思います。

いつか片づけよう、いつか掃除をしようと思っているのにできていないこと。人間関係においても、解決しなければいけないこと、果たさなければいけない約束など、些細なことから重要なことまで、実にたくさんの未完了を抱えているのではないでしょうか。

私たちは、そうした未完了に対しエネルギーを費やし続けていますから、抱えすぎてストレスを感じないよう注意が必要です。未完了をたくさん抱えていると、目の前のことに集中しようとしても気を取られて集中することもできません。

仕事でも私生活でも、何か新しいことに取り組み成果を出そうとするなら、未完了を抱えすぎないよう完了させていくということが重要です。大事なのは意思を持って主体的に完了させるという感覚です。完了させたと感じられるかどうかが、私たちの健全な精神のためには、とても大切なことなのです。

未完了を上手に利用する

私たち人間が持つこの性質は、上手く利用すれば勉強やマーケティングに活かすことができます。あえて未完了の状態をつくることで、完了させたい、続きが気になるという力を働かせるのです。

勉強でもマーケティングでも、あえてきりが悪い所でやめたり、次のステップを明確にすることで、次の内容への興味を引き出すことができるのです。スタンプカードのスタンプを集めたくなるのは、完了させたい、続きが気になるという脳の性質によるものなのです。

重要なのは、経営者にとっての未完了は、会社の未来の理想の姿と現状とのギャップでなければいけないということです。私たち経営者は常に未来に目を向け、理想とのギャップという未完了を完了させるための原動力とならなければいけません。

私たちの言葉や態度が未来に向けたものであり、少しずつ理想に近づいていると感じられるからこそ、社員も続きが気になる、何とか完了させたいと共感できるのではないでしょうか。完了させるべきタスクは確実に完了させ、その上で自分の精神エネルギーを未完了のタスクに注ぎ込むのです。

理想を追い続けるということは、完全には完了させずに未完了を抱え続けるということでもありますが、これが経営者の姿勢として大切なことだと思います。

未完了の抱えすぎには注意が必要ですが、人間のこの性質は上手く利用してください。経営者にとって、夏休みだからといって休んだ気にならないのは仕方のないことかもしれません。しかしそれは、確実に理想の未来に向かって前進しているということなのです。


TOMAコンサルタンツグループ株式会社
代表取締役社長
市原 和洋
代表メッセージはこちら

<チェックポイント>

□人間には、未完了の物事ほど強く記憶に残りやすい性質がある
□新しいことに取り組み成果を出すには、未完了を抱えすぎないことが重要
□会社の理想の姿と現状のギャップという未完了に精神エネルギーを注ぎ込む