ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチで、井上尚弥選手は中谷潤人選手を判定で破り、4団体統一王座の防衛に成功しました。
世界中が注目したこの試合は高度な技術戦となり、緊張感あふれる素晴らしい試合でした。
井上選手のあの強さの理由は何でしょうか。私が注目したのは、父親でありトレーナーでもある井上真吾氏の存在でした。
努力は天才に勝る!
真吾氏の経歴を調べてみると、塗装業を経営する傍ら24歳でボクシングを始めたようです。アマチュアで2戦2勝の成績を残していますがプロとしての経験はありません。
更に興味を持った私は、真吾氏の著書『努力は天才に勝る!』(講談社現代新書)を読んでみました。
驚いたのは「尚は決して天才ではありません。」という真吾氏の言葉です。センスについても「普通よりやや上」だと言います。ずば抜けた資質があった訳ではなく、積み重ねた努力によるものだそうです。相手の急所をパンチで的確に打ち抜くことは、時間を要するものの、日々の積み重ねでできるようになると言います。
すぐには信じられませんでしたが、読み進めていくとその意味が分かってきました。井上選手がボクシングを始めたのは6歳の時です。33歳の現在まで実に27年間もの間、日々努力を積み重ねてきたということなのです。
現在の井上選手の優れた技術は、最初はできなくても、できるまでコツコツと地味な練習を繰り返すことで身につけてきたものであり、その積み重ねの結果が、先日の勝利だったのです。
著書の中で真吾氏は、「積み重ねのために必要なのは、本人のやる気が第一」だと言います。そして「強くなるために最もしてはならないことが、驕ること」だとも言います。遊びたい盛りの小学生や多感な中学生が、やる気を維持し、驕ることなく毎日厳しい練習を継続することができたのは、やはり真吾氏という指導者の存在が大きかったということが良く分かりました。
他にも、褒め方や叱り方、本人の意思を尊重することなど、人材育成の観点から学べることが沢山紹介されています。「努力は天才に勝る!」とは、とても勇気づけられる言葉ではないでしょうか。
i f – t h e n プランニング
「基礎が大事であり近道はない」という真吾氏の指導方針のもと、井上家ではボクシングが生活の一部になっていました。6歳から毎日練習をしているので、朝起きたら当たり前のように「走ろう」となるのです。
毎日の習慣にするには、強い意志の力が必要だと思いがちですが、実は脳の性質を知ることで上手く習慣化することができると言われています。
if-thenプランニングという方法をご存じでしょうか。「if-then」とは「もしこうなったら、こうする」という意味です。事前に「いつ」「何を」やるかを具体的に決めておくことで、それが実行できる確率が2~3倍も高くなることが心理学の研究から明らかになっているのです。
例えば私の場合、(if)朝起きたら(then)コーヒーを淹れる、(if)コーヒーを飲んだら(then)5分間の瞑想をする、(if)瞑想が終わったら(then)4分間のバーピージャンプをする、といったことを毎朝行っています。井上選手の練習とは比べ物にもなりませんが、運動不足の私にとっては息が上がり辛い運動を、これまで5年以上も続けることができています。
このようなシンプルな行動計画が効果的であるのは、この方法が強く脳に訴えかけるからです。脳は「もしこうなったら、こうする」という文章を記憶しやすいので、無意識にそれに従って行動することができるのです。

どんな目標であっても、それが挑戦的な目標である以上、誘惑に打ち勝ち努力を積み重ねることが必要です。会社では、井上家のように指導者が付きっきりでいられないからこそ、上手く自分自身で習慣化する方法を教えることも重要です。
実は真吾氏は、井上選手のプロデビュー後も引き続き自分が指導すべきか、それともプロのトレーナーに預けるべきか悩んだそうです。トレーナーを続ける決心ができたのは「父さんも一緒じゃないと意味がない」という美穂夫人の言葉でした。今後も井上家の挑戦を応援していきます。
TOMAコンサルタンツグループ株式会社
代表取締役社長
市原 和洋
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<チェックポイント>
□積み重ねた努力は天才に勝る
□努力を積み重ねて結果を出すためには、やる気が大切であり、驕りは禁物
□習慣化には、シンプルな行動計画が効果的

