BLOG

専門家によるブログ

行政書士業務ブログ

種類株式を設定した場合、どのように定款に記載するか

記事作成日2018/02/16 最終更新日2022/01/21

X
facebook
copy

種類株式とは

会社法は、「特別の権利を与える株式」や「権利を制限する株式」など普通株式とは異なる9種類の株式を定めています(会社法108条)。これらを「種類株式」といいます。これらを発行する場合は、あらかじめ定款において各種の株式の「権利内容」や「発行可能種類株式総数」などを規定しておかなければなりません。

この記事では9種類の株式のうち、よく利用される以下の3種類の種類株式の定款記載方法を説明します。

(1)剰余金の配当についての種類株式
(2)議決権制限株式
(3)拒否権付種類株式

(1)剰余金の配当についての種類株式

剰余金の配当、つまり株主に対する株式会社からの利益の分配について、普通株式より多く配当したり、逆に普通株式より少ない配当にしたりする株式のことです。剰余金の配当を全く与えない種類株式も発行できます。

優先配当の定めについては、「参加型」と「非参加型」の2種類があります。「参加型」とは、所定の優先配当を行った後に、さらに配当可能利益がある場合に普通株式とともに優先株式も配当を受けることで、「非参加型」とは、優先配当を受けた後に残余の配当金額があっても、配当を受けないことをいいます。

次に、「累積型」と「非累積型」の2種類があります。「累積型」とは、特定の年度における具体的な配当金額が所定の優先配当金額に満たない場合に、その不足額を翌年度以降に繰り越して累積させていく方式で、「非累積型」とは、そのような繰越しを行わないことをいいます。

この種類株式を発行する場合には、以下の2点を定款で定めなければなりません。

①当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法
②剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取り扱いの内容

定款には、次のように定めます。

例1) 第〇条  A種類株式は、剰余金の配当について普通株式に劣後する。当会社が剰余金を配当する場合には、金銭を配当するものとし、A種類株式1株に対して普通株式1株に対する配当額の0.7倍の金銭を配当するものとする。

例2) 第〇条 非累積条項  ある事業年度において、優先株式1株あたりの剰余金の配当額が優先配当金の額に達しないときは、その不足額は翌事業年度に累積しない。

例3) 第〇条 非参加条項  優先株主に対しては、優先配当金を超えて剰余金の配当は行わない。

(2)議決権制限株式

議決権制限株式とは、株主総会において議決権を行使できる事項に関して制限を加える種類株式です。公開会社においては、議決権制限株式数が発行済株式数の総数の2分の1を超えて発行することはできません。(会社法第115条)

この議決権制限株式を発行する場合には、以下の2点を定款で定めなければなりません。

①株主総会において議決権を行使することができる事項
②当該種類の株式につき議決権の行使の条件を定めるときはその条件

定款には、次のように定めます。

例1) 第〇条  A種類株式を有する株主は、株主総会において決議すべきすべての議案について議決権を有しないものとする。
例2) 第〇条  B種類株式を有する株主は、取締役の選任について議決権を行使することができない。

(3)拒否権付種類株式

拒否権付種類株式を発行する場合には、以下の2点を定款で定めなければなりません。

①当該種類株主総会の決議があることを必要とする事項
②当該種類株主総会の決議を必要とする条件を定めたときは、その条件

定款には、以下のように定めます。

例1) 第〇条  当会社が消滅会社等となる、吸収合併等又は新設合併等を行う場合においては、A種類株式を保有する株主の種類株主総会の決議を経なければならない。

例2) 第〇条  取締役の選解任 当社の取締役の選任または解任については、当社の株主総会の決議に加え、A種類株式の株主による種類株式総会の決議を必要とする。

例3)第〇条 合併等 当社が合併、株式交換、株式移転をする場合には、当社の株主総会 の決議に加え、A種類株主総会の決議を必要とする。

初めての方 閉じる