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株券発行会社と不発行会社について

記事作成日2021/02/25 最終更新日2023/06/26

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株券は発行することも、不発行とすることも可能ですが、それぞれどのようなメリットがあり、何が異なるのでしょうか。この記事では、そもそも株券とは何かという点から、株券の発行・不発行によるメリット・デメリットなどを説明します。

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■株券について

株式とは、非上場会社の株式(株主の地位)を表象する有価証券です。出資者が投下資本を回収しやすくするように株式の自由譲渡性を確保し、譲渡を容易にするため、株券という形で有価証券化が認められています。

2004年の法律改正以前はすべての会社で株券の発行が義務付けられていましたが、現在は株券不発行が原則です。株券不発行とすることで得られるメリットの方が大きいので、法改正以前に設立した会社はこの機会に株券不発行とすることをお勧めいたします。

■株券発行会社と不発行会社

本来は株式譲渡の手続き+株主名簿の書き換えがあって初めて株式の譲渡が成立しますが、株券を発行している場合は株主が株券を第三者に譲渡することで株式の譲渡が成立してしまいます。

そのため、会社にとっては全く知らないところで株券の譲渡が行われていて、新たに株券を取得した者から突然株主たる権利を主張されるといったリスクが考えられます。株主にとっては譲渡のし易さ、株券を持っている者が株主というわかりやすさがありますが、トラブルを避けるという意味では、株券不発行とすることは双方にとって有意義であるといえます。

株券不発行の場合でも当事者間の合意で株式の譲渡は可能ですが、株主は株券を保有していることによる権利がなく、会社に対して株主たる権利を行使するには株式譲渡の手続き+株主名簿の書き換えが必要となり、株主が明確化されトラブルが起きにくいです。

ただし、株券不発行とする分株主は会社が作成する株主名簿でしか把握できないため、株主であることが対外的にわかり辛いことがあります。

■株券発行、不発行によるメリット・デメリットまとめ

■株券発行会社

・メリット

①株券を保有している者が株主なので対外的にわかりやすい
②当事者間での株式の譲渡がしやすい

・デメリット

①株券発行、保管にかかる手間やコストがかかる
②株券を譲渡することで株式の譲渡が成立してしまう
③会社の知らないところで株主が変更となることでトラブルになりやすい

■株券不発行会社

・メリット

①株券発行、保管にかかる手間やコストがない
②株券の偽造や紛失等のトラブルがない
③株式の譲渡を会社が把握しやすく、トラブルが起きにくい

・デメリット

①株主が対外的にわかり辛い

■株主名簿とは

上記でもお伝えしておりますが、株主たる地位を主張するときに大切なのが株主名簿です。株主は配当があったり株主総会で議決権を持っていたりと様々な権利を行使できますが、その権利を行使できる株主となるには株主名簿への記載が必要です。

株券不発行会社は株主名簿に記載がある者が株主ということで明確に把握できますが、株券発行会社の場合は当事者間での株券の譲渡で株式の譲渡が成立してしまう為、株主名簿上の株主と株券を持っている株主とが異なり、トラブルとなりやすいです。

株券発行会社、株券不発行会社共にメリット、デメリットはありますが、全体的に見れば株券不発行とするメリットの方が会社、株主双方にとって重要です。

株券発行会社が不発行とするには定款変更が必要となり、法務局への登記申請も発生しますので、手続きにお困りの際は専門家に相談することをお勧めいたします。

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