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株主総会とは何か?種類、開催時期、開催までの流れなどを解説します

記事作成日2023/03/12 最終更新日2023/09/06

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会社の最高意思決定機関とされる株主総会。上場企業ともなればその準備にもかなりの時間を割かれるので、毎回大変な思いをされている方も多いことでしょう。

今回のブログでは、その株主総会について会社法での位置づけやその種類、開催の流れなどについてわかりやすく解説します。コロナ禍によってその在り方も変わってきていますが、感染対策を考慮した新しい形での開催方法も解説しています。

実際に運営を担当されている方も、これから関わっていく予定のある方にもお役立ていただける内容になっていると思います。ぜひご覧ください

株主総会とは

株主総会とはそもそも何か

会社は人ではないため、活動をしていくには意思決定を行う機関が必要です。会社法では、株主総会、取締役会、取締役・代表取締等、さまざまな機関を用意しています。この中でも、もっとも基本的な方針を決める機関が、株主で構成される株主総会です。株主総会は、会社の最高意思決定機関となります。

取締役会との違い

取締役会は、3人以上の取締役により構成された機関で、業務執行についての意思決定を行います。公開会社(発行する株式の全部又は一部につき譲渡による株式の取得について、株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社)では、取締役会の設置が必須となります。

本来、株主総会は、会社の運営、管理等に関する一切の事項について決議ができるとしています。しかし、決議の度に株主総会を開催するのは大変手間がかかり、合理的ではありません。

そこで、取締役会を設置する会社においては、株主総会は、会社法または定款で定められた事項のみを決議する機関とし、意思決定の範囲を限定しています。ただし、会社の基礎的で重要な事項(定款変更、事業譲渡、取締役や監査役の選任、計算書類の承認、組織再編、資本金の減少等)については、株主総会で決議する必要があります。

したがって、株主総会が会社の最高意思決定機関であることに変わりはありません。

株主総会の種類

(1)定時株主総会とは?

毎事業年度の終了後、一定の時期に招集される株主総会を定時株主総会といいます。開催の時期について法令による定めはありませんが、事業年度終了後3ヶ月以内の開催を定款に定める会社が多いです。

日本の多くの会社は決算月末日を基準日としており、基準日の有効期限が3ヶ月以内であるため、決算月の3か月後に株主総会が開かれるケースが多いです。6月が株主総会の季節と言われているのは、3月決算会社が多く、3月が基準日となっているためです。

定時株主総会では、当期事業年度の決算承認、事業報告、剰余金の配当等が議題となります。

(2)臨時株主総会とは?

必要に応じていつでも開催することがすることができる株主総会を臨時株主総会といいます。特定の総会決議事項について承認を得ることを目的に招集されます。臨時株主総会は、定時株主総会と異なり、開催すべき日時が定められていません。

株主総会の招集手続き

(1)招集者

取締役非設置会社の場合、取締役が招集します。そして、取締役会設置会社の場合は、取締役会が招集を決定し、代表取締役が招集通知を発送します。

(2)招集通知の発送

招集通知は、公開会社においては株主総会の日の2週間前までに、非公開会社の場合は株主総会の日の1週間前までに発しなければなりませんただし、株主全員の承諾があれば、招集手続きなく株主総会を開催することができます。

招集通知には、以下の事項を記載します。

①株主総会の日時・場所
②株主総会の目的である事項
③書面により議決権を行使できる場合には、その旨
④電磁的方法により議決権を行使できる場合には、その旨
⑤その他法務省令で定められている事項

また、招集通知を送付する際、原則として株主が議決権を行使する際に参考にできるように、計算書類や事業報告などの株主総会参考書類や議決権行使書面を添付します。

株主総会開催の流れ

株主総会を運営するにあたり、どのように進めていくか解説します。

(1)株主総会招集の決定

取締役会設置会社の場合、取締役会を開き、株主総会招集を決定します。取締役非設置会社の場合は、取締役が招集します。決議すべき具体的な招集事項は、株主総会の日時および場所、株主総会の目的事項、書面投票制度または電子投票制度を採用する場合はその旨などです。

日時や場所については、株主の人数や立地、設備などを確認し、できる限り株主が出席しやすい日時や会場を選ぶようにしましょう。

(2)招集通知の発送

招集事項が決定したら、その内容を記載した招集通知を株主に発送します。招集通知の方法は、記録が残る書面で行うのが一般的です。

(3)株主総会の実施

株主総会を実施します。株主総会に出席し、議決権を行使できる株主は、基準日現在で議決権を有する株主であり、株主名簿に登録された者に限定されています。

当日の流れは、一般的に以下のような流れで進行していきます。

・会議成立の確認
・議長の就任
・開会宣言(議長挨拶)
・議事進行に関する説明
・出席株主数と議決権数の報告
・監査報告
・事業内容の報告・計算書類の報告
・議案上程
・質疑応答
・議案の採決
・審議終了・閉会

会社からの報告と議案の説明を行い、株主からの質問に回答してから必要な決議を採るのが一般的な株主総会の流れです。決議は、原則として議決権の過半数の賛成で可決されます(普通決議)。議決権は1株あたり1個となります。

なお、定款変更や組織再編等の重要な議題については、議決権の3分の2以上の賛成が必要とされています(特別決議)

(4)議事録の作成・保存

株主総会が終わると議事録を作成し、株主総会の日から本店(登記上の会社の本拠地)に10年間備え置く必要があります。また、支店がある場合、支店にもその写しを5年間備え置かなければなりません。

そして、株主と会社債権者は、会社の営業時間内はいつでも、株主総会議事録の閲覧・謄写の請求をすることができるとされています。

感染症予防を考慮に入れた対策

(1)書面決議や電子的な方法による議決権行使への誘導

招集通知において、書面や電子的な方法による議決権行使を積極的に促し、来場は控えていただくよう案内する会社が増えています。

(2)事前登録制を採用

株主総会の出席について事前登録制を採用し、事前登録者を優先的に入場させる方法も可能です。

なお、事前登録を依頼するに当たっては、全ての株主に平等に登録の機会を提供するとともに、登録方法について十分に周知し、株主総会に出席する機会を株主から不公正に奪うものとならないよう配慮が必要です。

(3)株主総会の短時間化

人と人との距離が近い対面での接触や、一定時間以上の会話は、感染を拡大させるリスクが高いとされています。株主総会の短時間化を図ることも、感染を防ぐのには有効です。

ただし、株主の質疑を短縮することは、取締役の説明義務の観点から問題とされることがあるので、どの事項を短縮するかは注意しましょう。

(4)インターネット等の手段を用いた株主総会

取締役や株主等がインターネット等を活用して遠隔地から株主総会に参加・出席する開催方法を取り入れる会社が増えてきています。通称、バーチャル株主総会と言い、現実の総会(リアル株主総会)を開催しつつ、同時に配信により株主の参加・出席を行うものを「ハイブリッド型バーチャル株主総会」と言います。

これに対して、リアル株主総会をまったく開催しないものを「バーチャルオンリー株主総会」と言います。

まとめ

株主総会は株式会社における最も重要な意思決定機関です。スケジュールや決議の種類等、決められている事項が多く、ルールに沿って開催する必要があります。しっかりと理解し、余裕をもって準備を進めるようにしましょう。

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