BLOG

専門家によるブログ

人材・組織開発ブログ

管理職に任せたいのに任せられない会社に共通する3つの課題 ~管理職育成を「個人任せ」にしないために~

記事作成日2026/09/24

X
facebook
copy

「そろそろ、管理職にもっと任せていきたい」

会社が成長し、社員数や仕事量が増えてくると、多くの経営者がそう考えるようになります。
しかし実際には、

「結局、最後は自分が判断している」
「管理職がプレイヤー業務から抜けられない」
「部下の育成まで手が回っていない」

という状態になっている会社も少なくありません。

管理職を任命しているにもかかわらず、社長への相談や判断が減らない。
会社を大きくしていきたいのに、組織がなかなか次のステージへ進まない。

こうした問題は、管理職本人の能力だけが原因とは限りません。むしろ、会社として管理職をどのように育てるか、その仕組みが十分に整っていないことが背景にあるケースも多くあります。

今回は、中小企業においてなぜ管理職が重要なのか、そして管理職育成で起こりやすい3つの課題について考えていきます。

本ブログは「成功する管理職育成シリーズ三部作」としてお届けしています。
第一部 管理職に任せたいのに任せられない会社に共通する3つの課題
第二部 なぜ管理職研修をしても、現場の行動は変わらないのか?
第三部 管理職一人を育てるだけでは足りない。「管理職基盤」を強化する時代へ

社長一人で会社を動かし続けることには限界がある

創業期や会社の規模が小さいうちは、社長が現場の状況を把握し、一つひとつ判断することができます。

社員の顔も見える。
仕事の状況も分かる。
何か問題が起きれば、社長自身が対応する。

この状態は、決して悪いことではありません。むしろ、経営者と社員の距離が近く、意思決定のスピードが速いことは、中小企業の大きな強みです。

しかし、会社が成長すると状況が変わります。社員が増え、仕事量が増え、部門が増えても、以前と同じように社長がすべてを見続けていると、徐々に無理が生じます。

本来であれば、社長は将来の事業を考え、新しい投資や採用、顧客開拓、経営戦略などに時間を使いたいところです。ところが実際には、

「この案件、どうしましょうか」
「部下との関係がうまくいきません」
「このクレームにはどう対応すればよいですか」

といった現場の相談が、いつまでも社長に上がってきます。その結果、「社長が会社の成長に必要な仕事へ時間を使えなくなる」

これは、会社が次の成長ステージへ進む際に起こりやすい「組織の壁」の一つです。

チームで成果を出す会社ほど、管理職が重要になる

社長一人で会社を動かし続けることに限界があるとき、その先の組織のつくり方は一つではありません。

例えば、組織の階層をできるだけ少なくし、現場の社員一人ひとりの能力や自律性を高め、それぞれが自ら考え、判断するフラットな組織を目指す方法もあります。

一方で、多くの中小企業が目指しているのは、一人ひとりが単独で高い成果を生み出す「スター集団」ではないはずです。経験も、能力も、得意なことも異なる社員が、それぞれの力を活かしながら、チームとして一人では生み出せない大きな成果を出す。そのような組織を目指すのであれば、中間管理職の存在は極めて重要です。

現場の社員一人ひとりを育てることはもちろん大切です。しかし、個々の能力を高めるだけで、チームの成果につながるわけではありません。同じメンバーであっても、リーダーによってチームの成果は大きく変わります。

目指す方向を示し、一人ひとりの強みを活かし、仕事を任せ、成長を支援する。そして、それぞれの力を束ね、チームの成果へとつなげる。

その中心にいるのが、管理職です。だからこそ、チームで成果を出す組織をつくるうえで、管理職育成は欠かせません。

管理職が変われば、部下への関わり方が変わる。
部下への関わり方が変われば、チームが変わる。
複数の管理職が変われば、その変化は組織全体へと広がっていく。

管理職育成は、一部の社員を対象とした人材育成ではなく、組織改革の起点になり得るものなのです。

管理職に任せられない会社に起きている3つの課題

では、なぜ管理職を置いているにもかかわらず、社長はなかなか仕事や組織を任せきることができないのでしょうか。中小企業の現場を数多く見てきたTOMAが、管理職育成をご支援する中でよく直面する課題は、大きく3つあります。

課題1 管理職がプレイヤーから抜け出せていない

現場で高い成果を出した人が、その実績を評価されて管理職になるケースは多くあります。しかし、プレイヤーとして成果を出すことと、管理職としてチームで成果を出すことは、求められる役割が異なります。

管理職になっても、

「自分がやった方が早い」
「自分でやった方が確実」

という状態が続けば、仕事を部下に任せることができません。

本人は誰よりも頑張っているものの、本人に仕事が集中し、部下には経験が蓄積されず、チームとしてはなかなか育っていかない。

こうした「優秀なプレイヤーだからこそ抱える問題」は、多くの職場で起こっています。

課題2 管理職として何をすべきか教わっていない

営業担当者には、営業のやり方を教えます。製造担当者には、製造の仕事を教えます。ところが管理職になると、突然、

「部下を育ててほしい」
「チームをまとめてほしい」
「もっと経営者目線を持ってほしい」

と求められることがあります。しかし、

「管理職とはどのような役割なのか」
「部下とどのように関わればよいのか」
「チームとして成果を出すには何をすればよいのか」

を体系的に学ぶ機会を持たないまま、管理職になっている人も少なくありません。これでは、過去に自分が上司からされたことや、自分自身の経験を頼りにマネジメントするしかありません。管理職になった瞬間から、教わったことのない仕事を求められているとも言えるのです。

課題3 管理職育成が本人任せになっている

「部長なんだから、自分で考えてほしい」
「もう管理職なのだから、それくらい分かるだろう」

経営者としては、そう期待したくなるかもしれません。しかし、社長自身が長年の経験の中で身につけてきた判断や人との関わり方も、初めて管理職になった人にとっては未知の仕事です。

本人の経験だけに任せてしまえば、

部下に細かく指示を出す管理職
すべて自分で抱え込む管理職
部下に任せきりになってしまう管理職

と、管理職ごとにマネジメントの方法が大きく異なるようになります。つまり、管理職育成を本人任せにすることは、会社のマネジメントそのものを個人任せにすることでもあります。

これらの3つの課題は、それぞれ別の問題に見えます。しかし、共通していることがあります。それは、管理職として成長することを、本人の経験や努力だけに依存していることです。

「管理職が育たない」のではなく、「育つ機会がなかった」のかもしれない

管理職について社長からお話を伺うと、

「もっと部下を育ててほしい」
「もう少し経営者目線を持ってほしい」
「自分から判断できるようになってほしい」

といった声をよく聞きます。もちろん、本人の努力は必要です。しかし一方で、少し立場を変えて考えてみる必要があります。

その管理職は、これまでに「管理職としての役割」を学ぶ機会があったでしょうか。
部下との関わり方について、管理職同士で話し合ったことはあるでしょうか。
「この会社では、管理職に何を期待しているのか」を、会社として具体的に伝えたことはあるでしょうか。

もし、そのような機会がなかったのであれば、「管理職が育たない」というより、「管理職として育つ機会を、会社が十分につくってこなかった」と捉えた方が、次の打ち手を考えやすくなります。

特に中小企業では、外部から優秀な管理職を採用し続けることは簡単ではありません。

だからこそ、「この人には無理だ」と早々に判断するのではなく、今いる人に管理職として成長する機会をつくる。
そして、管理職として必要な役割や考え方を、会社として学べるようにする。

管理職育成を「本人任せ」から「会社として育てるもの」へ変えていくことが重要です。

管理職一人の成長を、会社全体の成長へ

会社の成長を支える管理職を育てるために必要なのは、「管理職本人にもっと頑張ってもらう」ことだけではありません。

会社として、管理職が学ぶ機会をつくる
自分の役割について考える機会をつくる
そして、学んだことを現場で実践する機会をつくる

こうした積み重ねによって、管理職の行動は少しずつ変わっていきます。そして、管理職の行動が変われば、その影響は本人だけにとどまりません。

部下が変わる
チームが変わる
組織が変わる

会社が次の成長ステージへ進むために必要なのは、社長一人がさらに頑張ることではありません。社長とともに組織を動かす管理職を育てていくことです。だからこそ、管理職育成は単なる「研修」の話ではなく、会社の未来を考えるうえで重要な経営課題なのです。

次回予告

では、管理職を育てるために研修を実施すれば、それだけで管理職の行動は変わるのでしょうか。実際には、せっかく管理職研修を実施しても、「その時は勉強になったけれど、現場に戻ったら元通り」となってしまうことがあります。

次回は、

「なぜ管理職研修をしても、現場の行動は変わらないのか?」

をテーマに、研修を「受けて終わり」にせず、管理職の行動変容につなげるために大切なポイントをお伝えします。

無料個別相談のご案内

「管理職にもっと任せたいが、なかなか任せられない」
「管理職がプレイヤー業務から抜け出せていない」
「管理職を育てたいが、何から始めればよいか分からない」

そのようなお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。貴社の管理職や組織の状況を整理しながら、今いる人材を活かし、管理職の成長を会社の成長につなげるために、何から取り組むべきかを一緒に考えさせていただきます。