深刻化する人手不足を背景に、「もはや日本人採用だけでは現場が回らない」と、外国人材の採用を進める中小企業が増えています。しかし、外国人材の採用がうまくいくかどうかは、「どんな人を採用するか」だけではなく、「どんな組織で迎え入れるか」で大きく変わります。
また、採用を決定した際に、
・日本人社員はどう接すればよいのか
・言葉や文化の違いで職場が混乱しないか
・早期離職にならないか
と不安を感じることも少なくありません。本記事では、外国人材が安心して定着・活躍できる受け入れ体制づくりのポイントを解説します。
目次
外国人材の定着率が低い本当の理由
厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」では、外国人労働者の雇用に関する課題として、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」と回答した事業所が43.9%に上り、最も多い結果となりました。また「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」も20.9%となっています。
ただし、コミュニケーションの問題の原因を外国人材の日本語能力だけに求めるべきではありません。業務上の指示や報告の方法が明確になっているか、日本人社員が分かりやすく伝える準備ができているかなど、受け入れる組織側の体制も見直す必要があります。
具体的には、以下のような問題が挙げられます。
■ 役割・業務が不明確
何をすべきか、どこまで責任を持つのかが曖昧なまま配置されている。
■ コミュニケーションルールが整備されていない
報告・連絡・相談の方法やタイミングが明確でなく、認識のずれやトラブルが生じやすい。
■ 管理職のマネジメント力が不足している
日本人社員と同じ伝え方や指導方法を続けることで、外国人材が戸惑い、モチベーションの低下につながる。
■ 社員の受け入れ意識が醸成されていない
外国人材への接し方や受け入れの目的が共有されず、職場全体で迎え入れる体制が整っていない。
外国人材の定着・活躍において、本人の日本語教育だけでなく、役割や業務、コミュニケーション方法を明確にし、日本人社員を含めた職場全体の受け入れ体制を整えることが重要です。

外国人材採用・定着の課題は、採用前の準備不足
採用後には、こんなことが実際に起きています。
事例1「伝えたつもり」が離職につながる
【業種】製造業(従業員50名)
【何が起きた?】入社3か月で退職、その後3か月で同じ理由で2名離職
外国人材を受け入れたものの、職場内で「報告・連絡・相談」のルールが明確になっていませんでした。
先輩社員は「分からなければ聞いてくるだろう」と考え、外国人材は「最後まで独力でやるべきだ」と受け止めてしまい、認識のズレが発生。報告漏れや作業ミスが続き、現場では「何度教えても伝わらない」という不満が募りました。
一方で、外国人材は「何が悪かったのか分からない」「相談しづらい」と感じるようになり、入社からわずか3か月で退職してしまいました。「本人の問題」ではなく、受け入れ側のコミュニケーションルールが整っていなかったことが原因だったケースです。
事例2 日本人と同じ指導が、逆効果になってしまった
【業種】サービス業(従業員30名)
【何が起きた?】モチベーション低下により、生産性が30%低下
現場の管理職は、日本人社員と同じように「できて当たり前」という前提で指導を行っていました。
しかし、外国人材は、「正確に仕事をしたのに評価されない」「なぜ注意されているのか理由が分からない」と感じ、不安や不満を抱えるようになります。
一方、管理職も「どう指導すれば伝わるのか分からない」と悩み、双方のコミュニケーションは次第に減少。結果として、外国人材のモチベーションが低下し、本来の能力を十分に発揮できない状態が続いてしまいました。外国人材のマネジメントでは、「日本人と同じように接すること」が必ずしも最適解ではありません。

どちらの事例も、外国人材の能力や意欲が原因ではありません。また、採用「後」に対応しようとしても手遅れです。外国人材が活躍する環境を作るには、採用「前」から組織全体で受け入れ準備を進める必要があります。
外国人材が定着する会社の4つの特徴
外国人材の定着率が高い企業には、共通する特徴があります。
特徴1:ジョブディスクリプションとキャリアパスが明確
外国人材にとって、「何をすべきか」と「将来どのように成長できるのか」が明確であることは、安心して働き続けるための重要な要素です。
外国人材の定着率が高い企業では、ジョブディスクリプション(職務記述書)や職務定義書、業務マニュアルを整備するとともに、キャリアパス(今後のキャリアの見通し)も明確に示しています。
【仕事内容を明確にする】
・職務の目的と期待される成果
・日々の業務フロー(図解を含む)
・判断基準と報告ライン
・安全衛生ルールと遵守事項
【将来のキャリアを明確にする】
・昇進・昇給の基準
・スキル習得のための教育計画
・中長期的なキャリアパスの提示
・帰国後のキャリア形成を見据えた支援
これにより、外国人材は自身の成長や将来のキャリアを見据えながら働くことができます。
特徴2:管理職がマネジメントスキルを備えている
外国人材のマネジメントは、日本人社員と同じアプローチでは機能しません。定着する会社の管理職は、以下のスキルを身につけています。
・各人の文化的背景の理解と尊重
・明確で具体的なフィードバック(ポジティブ・ネガティブ両方)
・承認と評価の言語化
・相互理解を深めるコミュニケーション
これらのスキルは研修を通じて習得可能です。採用前に管理職向けの異文化マネジメント研修を実施することで、受け入れ後のトラブルを大幅に削減できます。
特徴3:職場全体でコミュニケーションルールが統一されている
言語の壁を越えるには、コミュニケーションルールの統一が不可欠です。外国人材が定着する会社では、以下を整備しています。
・報告・連絡・相談の方法(誰に、どのタイミングで、どの形式で報告するか)
・メール・チャット・口頭の使い分けルール
・緊急時の連絡体制
・質問しやすい職場環境の構築
これにより、誤解やトラブルが減少し、外国人材も日本人社員も働きやすい環境が実現します。
特徴4:外国人材を受け入れる組織文化が醸成されている
外国人材の定着には、制度やルールだけでなく、受け入れる日本人社員の理解と協力も欠かせません。定着する会社では、外国人材だけに適応を求めるのではなく、職場全体で受け入れる意識づくりに取り組んでいます。
具体的には、次のような取り組みを実施しています。
・外国人材を受け入れる目的や期待する役割を社内で共有する
・文化や価値観の違いを理解する機会を設ける
・外国人材が相談しやすい環境を整備する
・必要に応じてメンター制度などのフォロー体制を構築する
このような取り組みにより、日本人社員と外国人材の相互理解が深まり、安心して働ける職場づくりと長期的な定着につながります。
あなたの会社は全て備えていますか?
以下の4つをチェックしてみてください:
□ ジョブディスクリプションとキャリアパスが明確に整備されている
□ 管理職が異文化マネジメントスキルを備えている
□ コミュニケーションルールが職場全体で統一されている
□ 受け入れ体制(全社員の意識醸成含む)が整っている
【簡易診断結果】
✅ 4つすべてにチェックがついた方
→ 受け入れ体制が整備されています。
継続的なサポートについてはこちらの人材開発・組織開発サービスをご覧ください。
❌ 1つもチェックがつかなかった方
→ 外国人材の定着リスクがあります。
まずは、組織課題整理の無料相談でお悩みを整理しましょう。専門家が貴社の現状を分析し、改善項目を特定いたします。
受け入れ体制構築の3つのステップ
外国人材の受け入れ体制を構築するには、採用前から段階的に準備を進めることが重要です。

【これから採用予定ならココから始めましょう】
STEP01:組織課題の整理(採用前3~6か月)
まず、現在の組織の課題を把握することから始めます。
・現場の業務フローの可視化
・既存のマニュアルやルールの整備状況の確認
・管理職のマネジメント課題の抽出
・社員の受け入れ意識の把握
STEP02:受け入れ準備の実施(採用1~3か月)
組織課題整理に基づいて、以下を実施します。
・ジョブディスクリプションと業務マニュアルの整備
・コミュニケーションルールの統一
・相互理解を促す対話プログラムの設計
例えば、以下の研修を実施:
管理職向け異文化マネジメント研修、職場コミュニケーション力向上セッション等
【既に採用しているならココから始めましょう】
STEP03:受け入れ後のサポート(入社後)
外国人材の配置後も、継続的なサポートが必要です。
・定期的なフィードバックと面談
・職場での課題の早期発見と対応
・必要に応じた追加研修の実施
・キャリアパス・育成体系の運用
TOMAが提供する外国人材受け入れ体制構築支援
TOMAでは、外国人材の採用後に向けた「受け入れ組織づくり」をトータルでサポートしています。

◆組織課題整理の個別相談
現状分析と改善項目の特定
◆ジョブディスクリプション・業務マニュアルの整備支援
外国人材にも分かりやすい資料作成
◆相互理解を促す対話プログラム(TOMAオリジナル)
外国人材と日本人社員の相互理解促進
・日本人社員の受け入れ意識醸成のための職場コミュニケーション力向上セッションの実施
・実践的なスキル習得のために、管理職向け異文化マネジメント研修の実施
◆キャリアパス・育成体系の構築支援
長期定着に向けた仕組みづくり
◆フィードバック・承認を取り入れたマネジメント支援
採用後の継続的なサポート
<支援の特徴>
・現場視点:制度よりも、現場で本当に機能する方法を提案します
・組織全体へのアプローチ:外国人材だけでなく、受け入れる組織そのものを整えます
・ 採用前から採用後まで:長期的なパートナーとして、継続的にサポートします
外国人材の長期定着と活躍を実現するには、「採用」よりも「受け入れ体制」が重要です。ジョブディスクリプションの整備、管理職のマネジメント力向上、相互理解を促す対話の場づくり——これらを採用前から段階的に準備することが、成功の第一歩となります。
「現場でうまく受け入れられるか不安」という悩みは、適切な準備と支援があれば、必ず解決できます。
初めて外国人材を受け入れる際の不安や課題がございましたら、ぜひTOMAコンサルタンツグループにご相談ください。組織の現状に合わせた、実践的な受け入れ体制構築支援をいたします。
その他についてもご不明な点があれば、下記よりお気軽に無料相談をお申し込みください。貴社の人材育成の課題解決に向けて、TOMAがパートナーとなります。
※外国人材の受け入れ時の法的要件(特定技能、技能実習、技人国など)については、弊社の行政書士法人でもご相談を承っております。
