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M&Aと事業承継

記事作成日2016/11/08 最終更新日2022/01/26

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昨今、事業承継に関してのご相談を頂く事が多くあります。概ね、経営者にとって事業承継の手法は4つ考えられます。

手法その1:上場

成長企業には非常に有効。しかし業績や内部管理に関して、クリアすべき基準が多く、簡単ではない。

手法その2:親族内・外への承継

そもそもお子様が居られない、社長の重責を継げる社員が育っていない、株式を譲り受ける資金がない、等の壁も多い。

手法その3:廃業

抱えている従業員、取引先や顧客、多方面への影響が大きく、デメリットの方が多い。

上記3つに加え、後継者問題も解決でき、事業発展も見込め、非上場株売却でキャッシュを生むことができる、【M&A】を事業承継の有効策としてご提案させて頂くケースが増えています。

事例

昨年、歴史あるチョークメーカーの廃業が話題となりました。

ホワイトボードを始め、学校に電子黒板が浸透する時勢。急激な需要低下を前に、廃業選択せざるを得なかったのです。このチョーク、硬度と粘性を備え、硬くて折れにくい、でも滑らかな書き味で濃い。「チョーク界のロールスロイス」との異名も持ったそうです。実は、経営者の創意工夫で「うどん製麺技術」を踏襲したオリジナル製造機で作られていました。そんな高品質商品も時勢に追われた訳です。

ところが廃業決定後、スタンフォード大学の天才数学者から15年分の受注が舞い込みます。「難問に挑む際、このチョークでなければ思考が中断される」と。他の数学者からも注文が殺到し、その数は重さにして1トン分。最後の花道を飾り、歴史を閉じました。

廃業後、処分対象となったこの機械。今は韓国にあるそうです。韓国受験予備校の大人気講師が処分品を買い付けたのです。受験競争激しい韓国では、生徒の声一つが講師を追い去ります。チョーク一つがまさに命とり。それを知る予備校講師自身がこの機械を買い、今はチョーク販売に専念しているそうです。

廃業決定前に、M&Aで企業価値に正当な評価を下すことができていたら、廃業も、技術流出も免れたのかもしれません。

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