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過労死自殺訴訟で1億円!長時間労働是正に必要なものとは?

記事作成日2016/07/08 最終更新日2016/07/08

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◆労働基準監督署による指導の対象が拡大

厚生労働省は、「時間外労働・休日労働に関する協定(通称:36協定)」の特別条項で定める時間数が100時間超となっている事業所を指導対象にすると発表しました。同時に、労働基準監督署が立ち入り調査に入る残業時間の基準を、従来の「100時間」から「80時間」に引き下げました。

◆過労死ラインは80時間

現在、健康障害の発症2~6ヶ月間で平均80時間を超える時間外労働をしている場合、健康障害と長時間労働の因果関係を認めやすいとして、過労死ラインは80時間(月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業・1日12時間労働)とされています。近年、長時間労働に起因する心疾患や脳疾患、うつ病などの発症件数が増加しており、従業員の過労死や、後遺障害を負った場合には、高額の損害賠償金が請求されることになります。仮に働き盛りの40歳男性労働者が、長時間労働に伴う過労死、または後遺障害を負った場合は、3000万円から6000万円の損害賠償を請求されるおそれがあります。

●金額モデル(TOMA試算)

※事故前の年収600万、大学卒、一家の支柱、就労可能年数67歳<金融庁・国土交通省告示の基準>、障害等級第1級(労働能力喪失率35%)、生活費控除率40%と仮定

区分

計算式

金額

過労死 (収入-生活費)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数 61,500,600円
後遺障害 収入×労働能力喪失率×能動能力喪失期 30,750,299円

実際、過去の過労死自殺訴訟では、後遺障害で3000万円、死亡で6000万円程度の損害賠償金が支払われているようです。これらの高額な損害賠償金が実際に会社へ請求された場合、会社経営への影響は極めて甚大です。

●主な過労死・過労自殺の損害賠償事件

事件名 判決日 損害賠償額・和解金
電通過労死事件 最高裁(H.12.3.24) 1億6,800万円
・長時間にわたる残業を恒常的に伴う業務に従事していた従業員がうつ病に罹患して自殺。・最終的には、企業が自殺した従業員の遺族に対し、1億6,800万円を支払うとの和解が成立。
事件名 判決 損害賠償額・和解金
システム・コンサルタント事件 最高裁(H.12.10.13) 3,200万円
・コンピュータソフトウェア開発に従事していた従業員が、脳出血により死亡。・過重な業務に従事したことが原因の過労死であり、同社には安全配慮義務を尽くさなかった債務不履行がある旨主張。逸失利益・慰謝料等の損害賠。

事件名

判決

損害賠償額・和解金

富士保安警備事件 東京地裁(H8.3.28) 6,294万円
・警備業務中に、脳梗塞で警備員が死亡し、遺族が、雇用契約上の安全配慮義務違反等を理由として損害賠償を請求。・健康診断の不実施による会社の安全配慮義務違反および、代表取締役個人の不法行為責任が認められ、6,294万円の損害賠償を負わせた。

◆7/20(水)に長時間労働是正対策セミナーを開催します

昨年4月、労働局内に「過重労働撲滅特別対策班(通称・かとく)」が新設され、長時間労働の厳格な取り締まりが始まりました。企業は具体的な長時間労働削減対策を行う必要があります。7/20(水)に「長時間労働削減&未払い残業代完全対策セミナー」にて対応策をお伝えしますので、是非ご参加ください。

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