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「就業規則」はテンプレートを使えばかんたんに作れるのか?

記事作成日2021/02/05 最終更新日2021/02/05

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「就業規則を新しく作りたい」、「時代に合わせて改定したい」と思った時、ゼロから作るのは大変です。そこで思い浮かぶのがテンプレートを使った就業規則の作成です。

厚生労働省のHPからもテンプレートをダウンロードできるくらいですから「みんな使っている」と思うかもしれませんが注意すべき点もあります。今回はテンプレートを使って就業規則を作る際のポイントを解説します。

就業規則はテンプレで作れる?

就業規則とは何かなぜ必要なのか?

そもそも就業規則とは一体何なのでしょうか。就業規則はシンプルに言えば、会社の「ルール」です。さまざまな個性を持つ社員が、自分の思うまま好き勝手に働いてしまっては、組織は維持できません。就業規則は企業の秩序を維持し、法令を遵守していく中で企業の力を最大限に高めるためのルールなのです。

労働基準法第89条では「常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届けなければならない」と規定されています。就業規則を変更した際にも、同様に提出が必要です。

では、なぜ企業は就業規則を作成する必要があるのでしょうか。勘違いしやすいのが、「社員を従順に働かせるもの」「社員を監視・罰するためのもの」といった会社都合の考えです。就業規則は会社と社員がお互いに協力しながら、会社の発展に尽力するためのツールでなければいけません。では、その他に就業規則が必要な理由はあるのでしょうか。

理由1.法律で決められている
前述しましたが、労働基準法において、就業規則の作成と届出が義務となっています。もし、届出を怠ると、30万円以下の罰金が課せられます。

理由2.危機管理のため
会社と社員のトラブルを回避するために就業規則は必要です。就業規則に記載する内容が曖昧だったり、中途半端だと、犯罪を犯した社員を解雇できない、残業代の未払いを社員から訴えられて裁判になるケースもあります。

理由3.経営理念の実現のため
就業規則には経営者の思いを詰めることもできます。会社を理想像に近づけるための指南書・設計図のようなものと考えてもよいでしょう。

理由4.経営者と従業員の幸せのため
就業規則には会社から従業員に守らせたいルールだけでなく、休日や給与など従業員の権利についても明記されます。社員も自分がどれだけ頑張れば、どれだけ昇給するのかといった基準がわかればモチベーションアップにもつながります。

就業規則が必要な理由

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就業規則の雛形は無料で容易に入手可能
そこから唯一無二の就業規則を作るには?

現在、就業規則に関する書籍は多数販売されています。また、ネットには就業規則のテンプレートを無料でダウンロードできるサイトが複数あるため、容易に雛形を手に入れる事ができます。

ネットで無料ダウンロードができるフォーマットや、書籍の付録サンプルには1点注意すべき点があります。それは最新の情報ではない可能性があるということです。

ネットにあるフォーマットは、更新日が数年前ということはよくあります。書籍も「書いてある内容は大体同じだろう」と、古本で手に入れると同様に最新の情報を手に入れられません。法改正によって明記しなければならない事項が抜けていたりすれば、正しい就業規則を作ることはできません。

その点では、厚生労働省のホームページでダウンロードできるものを利用するのが安心です。更新の日付に注目してダウンロードすれば問題ないでしょう。

では、厚生労働省のホームページからダウンロードできるものをそのまま利用すれば大丈夫かと聞かれれば、答えはノーです。なぜなら、雛形とはどんな企業にも広く対応できるように汎用性が高い作りになっているからです。

小売業、製造業、サービス業、金融業、飲食業など業種はさまざま。同じ業種でも会社ごとに特徴がありますから、自社に合わせたカスタマイズが欠かせません。

自社専用の就業規則を作る際には、以下の点に気をつけましょう。

その① 明快な文章と内容で誰が読んでも理解できること
最も注意すべきは「読んでも内容がわからない」就業規則にならないこと。そして、読み方によっては異なる解釈ができるような曖昧な表現は使わないようにすべきです。

例えば、出張手当について。
・手当の金額はもちろんですが、役職によって金額が違う場合はどの役職からか。
・日帰りと泊まりではどう変わるのか。
・出張先での食事代はどうなるのか。
・国内出張と海外出張で金額は異なるのか。
・何キロの移動から出張手当がつくのか。
・その移動は会社からの距離か、それとも自宅からの距離か。
・申請の方法はどうすればいいのか。
・入金はいつになるのか。
など、明確にわかりやすい文章で書くことが大切です。

つくと思って申請した出張手当が「会社からの移動距離なので申請できません」と言われたとします。
でも就業規則にはその旨が書いてありませんでした。あなたならどう思いますか?
お金がもらえないという点で「がっかり」するでしょうし、会社に対する不満にもつながります。
就業規則作成のポイント・文章と内容

その② バランスを重視する
就業規則を作るのは現場ではなく経営層や管理職であることがほとんどだと思います。そのせいか、会社からの要求が多くなりがちです。前述しましたが、就業規則は企業と従業員双方が幸せになるためのものです。たとえ会社を発展させていくためだとしても、社員の義務や罰則規定ばかりにならないよう注意しましょう。
就業規則作成のポイント・バランス感覚

その③ PDCAを繰り返し、ブラッシュアップする
「最初に作った就業規則=完璧なもの」である必要はありません。もちろん、完成度は高いに越したことはありませんが、会社が大きく発展するにつれて新しい制度が生まれることもあるでしょう。また、法律が改正されて追記するべき内容が増える可能性もあります。定期的に見直し、ブラッシュアップを図りましょう。
就業規則作成のポイント・定期的なブラッシュアップ

その④ 絶対的記載事項と相対的記載事項
就業規則には必ず記載しなければならないこと【絶対的記載事項】と、定めをする場合には記載しなければならないこと【相対的記載事項】があります。

絶対的記載事項は労働時間に関すること、賃金に関すること、そして退職に関することです。相対的記載事項は退職手当の計算方法や支払時期、労働者の食費、作業用品費などの負担に関すること、職業訓練に関すること、安全・衛生に関することなどです。
就業規則作成のポイント・絶対的・相対的記載事項

就業規則の作成に迷ったらTOMAにご相談ください

いかがでしたか?就業規則の作り方、テンプレートを利用する際の注意点がご理解いただけたと思います。

ただ、就業規則には法令で定められた内容を記載しなければならない項目もありますから、労働基準法をはじめとした最新の労働法を熟知していないと、個人で作ることは困難です。また、自社の特徴を客観的に捉え、何を記載すべきかを冷静に判断することも大切なので、専門家に協力を仰ぐのが安全です。

TOMAでは、「会社良し」「社員良し」「社会良し」の発想のもと、新しい時代に適応し、労使間でのトラブルの発生リスクを限りなくゼロに近づける就業規則のご提案を行っています。

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初回相談は無料です。就業規則の抜本的な見直しを検討している、ちょっと自社の就業規則をチェックしてもらいたいなど、どんなことでも構いません。お気軽にご相談ください。

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