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消費税の選択届出の特例

記事作成日2020/06/17 最終更新日2021/10/08

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新型コロナウィルス感染拡大の影響により、国税庁は消費税の課税事業者選択の変更に関する特例について発表しました。今回は、(1)消費税の課税事業者選択届出についての原則と(2)今回発表された特例について順にご紹介します。

課税事業者選択届出の原則

課税事業者選択届出とは、消費税の納税義務のない免税事業者が、「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで、あえて納税義務のある課税事業者になることを選択することをいいます。

一見、免税事業者のままの方が有利なようにも思えますが、あえて課税事業者になることを選択することで、有利になるケースもあります。例えば、支払った消費税が受け取った消費税よりも多かった場合、課税事業者の場合は還付申告ができますので、この場合は、課税事業者の方が有利になります。(免税事業者は還付申告をすることができません。)

この選択届出書には提出期限があり、「適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(適用を受けようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)」となっていますので、注意しましょう。

ちなみに、届出によって課税事業者になった場合でも、免税事業者に戻ろうとする課税期間の初日の前日までに「消費課税事業者選択不適用届出書」を提出することで免税事業者に戻ることができます。ただし、原則として2年間(消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後)は「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出することはできないことになっています。

以上を踏まえて、今回発表された新型コロナウィルスによる消費税課税選択の特例についてご紹介します。

特例

結論から言うと、特例対象事業者は、税務署長の承認を受けることで、特定課税期間以後の課税期間について、課税期間の開始後であっても、課税事業者を選択することができます。以下、詳しくご説明します。

まず、今回の特例で注意する点は、以下の3つです。

・特例対象事業者であること(※1)

・特定課税期間以後の課税期間であること(※2)

・税務署への提出期限があること(※3)

(※1)「特例対象事業者」とは、新型コロナウィルス感染症等の影響により、令和2年2月1日から令和   3年1月31日までの間のうち任意の1ヶ月以上の期間の事業としての収入が、著しく減少(前年同期比概ね50%以上)している事業者を言います。

(※2)「特定課税期間」とは、新型コロナウィルス感染症等の影響により事業者としての収入の著しい減少があった期間内の日を含む課税期間を言います。

(※3)提出期限は、原則として、特定課税期間の確定申告期限までとなっていますので、それまでに承認申請書を税務署に提出しましょう。

また、今回の特例では、免税事業者に戻る場合、前述した2年間の継続適用要件等は適用されません。つまり、今回の特例を利用して免税事業者から課税事業者に変更したとしても、翌期の課税期間の初日の前日までに「消費課税事業者選択不適用届出書」を提出すれば、翌期から免税事業者になることができます。

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今回の特例で、一定の要件を満たせば、課税期間開始後でも課税事業者を選択することができるようになりました。免税事業者の方は、今回の課税選択の届け出の特例を利用することで、消費税の還付が受けられるかもしれません。とても重要な手続きとなりますので、慎重に検討してみてはいかがでしょうか。

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