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事業承継に役立つ資格とは

記事作成日2017/09/12 最終更新日2021/01/22

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事業承継には、様々な専門知識をもった専門家が関わります。どのような知識が必要で、どのタイミングで専門家の協力が必須かを認識しておくことは、自身の関わる事業承継問題にも役立ちます。

今回は、事業承継に役立つ国家資格・民間資格をご紹介します。

事業承継に必要とされる専門知識

事業承継には、様々な専門知識が必要となります。

・事業承継における計画の立案方法
・後継者の考え方や育成方法
・親族間トラブルや調整の対処方法
・相続税や贈与税などの税務知識
・申請手続きの方法
・遺言の活用方法
・会社や個人資産の評価方法
・国や自治体が行っている支援制度の知識

上記は多くの会社で想定できるもので、事業内容によっては、より詳細な知識も必要となります。これらの専門知識を経営者が個人で網羅することはできませんし、専門家の独占業務も多く存在します。次項で、これらの専門知識を持って事業承継に協力する、国家資格・民間資格を見ていきましょう。

事業承継に役立つ国家資格

・中小企業診断士
中小企業支援業務やコンサルティングを行う中小企業診断士。独占業務はありませんが、経営コンサルタントとして唯一の国家資格です。企業の経営管理経験者が取得することが多いため、事業承継の相談にも適しています。

・税理士
事業承継に必ず発生する相続税や贈与税の対策には、税理士が欠かせません。他人に対する税務相談や税務書類の作成は、税理士の独占業務のため、事業承継でも相談・協力が必要になります。

・弁護士
国家資格の中でも、最難関のひとつである弁護士資格。事業承継には、経営承継円滑化法や様々な規定、自社株や財産の相続など、様々な法知識が必要になり、依頼者(経営者や後継者)の代理人として法律行為ができるのは、弁護士の独占業務です。

・司法書士
法的手続きの専門家である司法書士。事業承継時には登記手続きも発生するため、登記を独占業務とする司法書士の協力が必要です。各種契約書の作成や、成年後見人制度を活用した事業承継のアドバイスなども行います。

・行政書士
飲食店業、風俗業、食品製造業、介護事業等、許認可の必要な事業には、行政書士の知識が求められます。事業承継を専門とする行政書士であれば、広範囲な業界知識と経験で相談に応じることが可能です。

・不動産鑑定士
相続時における、不動産の資産価値を正しく知るためには、不動産鑑定士への依頼が必要となります。土地や建物等、不動産の鑑定評価は、不動産鑑定士の独占業務です。

・ファイナンシャル・プランナー(FP技能士)
家計に関わる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などの幅広い「くらしとお金」の相談に対応するのがFPです。事業承継の相談相手としても考えられますが、自分自身が知識を蓄えるために取得することも有効です。

事業承継に役立つ民間資格

・事業承継士
急増する中小企業の事業承継という問題を総合的に解決するために、一般社団法人事業承継協会が認定している資格です。中小企業診断士、弁護士、司法書士、行政書士等限られた有資格者や、同等の知識を有すると認められた者が対象であり、事業承継専門の資格として、その信頼性に注目されています。

・相続カウンセラー
相続で悩む方にヒアリング・カウンセリングをして、弁護士や税理士、行政書士等の専門家へコーディネートします。初級・上級・相続コンサルティングマスターの三段階となっており、初級は、自身の相続の勉強にも適しています。

・事業承継アドバイザー
金融機関業務において、事業承継のアドバイスをするための資格です。主に金融機関支店長等の支店幹部を対象としている資格のため、銀行等で事業承継の相談をするのであれば、この資格の有無も判断基準となるでしょう。

・事業承継・M&Aエキスパート認定制度
金融財政事情研究会と㈱M&Aセンターが共同で企画・運営しており、その名の通り、急増しているM&Aに関する知識を習得するための認定制度です。M&Aの基礎知識から会計・税務・法務、手順などの知識を問われます。

以上、事業承継に役立つ資格をご紹介しました。50代以上の経営者割合が80%を占めることを考えると、近い将来、事業承継ラッシュのような状態が発生することも想像に難くありませんし、経営者の急病等で、事業承継を余儀なくされることも考えられます。常日頃から、信頼できる専門家を見つけ、備える気持ちが必要でしょう。(東京商工リサーチ『2016年全国社長の年齢調査』)

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