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間違いだらけのDXはなぜ起こる?成功への道は失敗事例から導く!【図解つき】

記事作成日2022/02/10 最終更新日2022/05/30

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近年、ビジネスのさまざまな場面で見聞きするようになったDX。新型コロナウイルス感染症の流行で実施率が上昇したテレワークをはじめ、デジタル化の波は急速に我々の生活に押し寄せています。

しかし、お客さまの相談に乗っていると、せっかくデジタル化を進めていたのにうまく活用できていない、一度の失敗でDXをやめてしまったという企業が多いようです。日本の労働生産性は世界から圧倒的な遅れをとっており、従来のマンパワー頼りの経営ではもう先がないと言っても過言ではありません。 そこで、今回はDXによく見られる間違った事例から、最も効果的なDXの導入方法をお伝えしたいと思います。

間違いだらけのDXで自社の成長にブレーキをかけていませんか?

近年急速に普及しているDX、すでにシステムなどを新たに取り入れているという企業も多いと思います。ところが、想定していた効果が得られていないと感じたことはないでしょうか?また、そもそも「DXとは何か?」という点についても曖昧に捉えていないでしょうか。

そのため、ここでDXについて、あらためて経済産業省が定義した内容を確認してみましょう。経済産業省が2018年に公開した「DXレポート」では、DXは以下のように定義されています。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスぺリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること。

引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討

少し硬い表現なので、もう少し噛み砕いてまとめると…

(1)まず、デジタル技術を駆使し、ペーパーレス化などデジタル化を進めましょう。
(2)次に、デジタルの力を利用して、新しいサービスや製品、ビジネスモデルを構築しましょう。
(3)最終的に、顧客へ新たな価値を提供することで同業他社を圧倒する競争力を確立しましょう。

このように理解して頂ければとりあえず問題ないと思われます。

DXとは何かを解説する図

実際に自社でDXを進めている場合、実施しているDXはこの表のうち(1)〜(3)のどの地点まで進んでいますか。

TOMAでは新型コロナウイルスによる緊急事態宣言でテレワークを一度試みた結果、うまくいかずに志半ばでDXをやめてしまったという話をよく聞くのですが、他にも(1)の時点で止まっているというケースも少ないないと思います。また、成果が出ているかどうか分からないが、とりあえず続けているというケースもありそうです。もしそうなっている場合は、再度DXの基本について考えてみましょう。

以下の記事で、DXの基本的な部分や、具体的なDXの事例について解説しています。

成長を続ける企業になるキーワード「DX」とは?

では、なぜDXがうまくいかないのでしょうか。それはDXを間違って理解・推進してしまっていることが原因だと思います。

間違ったDX①とりあえずシステムを導入してみた

DXで最も多くの失敗事例と言えるでしょう。新型コロナウイルスの感染拡大によって急遽導入しなければならなかったため、とりあえずシステムを導入してみたという企業も多いはずです。しかし、本来DXは綿密な経営計画を立て、それを実現させるために必要なシステムを導入し、投資対効果、PDCAを繰り返す中で業務の精度を上げていかなければなりません。

とくに、DXを導入する担当部署とのコミュニケーション不足が原因で、反発を買うこともよくあります。

・業務フローが大きく変わることへの不満
・自分の仕事がなくなってしまうのではないかという不安

DXを導入する現場ではこのような感情が生まれるのはごく自然なことなので、導入前に経営層と現場がしっかりとコミュニケーションをとって双方の意思を共有し、理解を求めなければなりません。

DXのよくある間違い「とりあえずデジタル化」の図解

間違ったDX②DX推進にかかる時間・資金を『コスト』と考えてしまう

DXは会社の未来への投資です。この考えを経営者が持っていないと、なるべくコストを抑えようというマインドになり中途半端なDXになってしまいます。投資した金額をどうやって回収するか、投資回収のシミュレーションがしっかりとできているかどうかもポイントです。例えば、経理事務の業務を自動化した場合、以下の計算方法で効果を測ります

投資対効果=導入にかかった費用−社員の人件費(@時間)×削減できた時間

欠けた費用を何ヶ月で回収できるか、そして削減できた時間を使って社員が何をするかによって投資の回収シミュレーションをします。

DXのよくある間違い「DXをコストと勘違いしている」の図解

間違ったDX③わからないことを理由にベンダーの言いなりになっている

旧態依然の経営を続けてきた企業がDXに取り組む場合、何から手をつければ良いのかわからないのは当たり前のことです。経営者を筆頭に、デジタルに精通した社員がいないという企業もあるでしょう。DXを推進するには自社のなかに内在する「よくわからないこと」を洗い出し、わからないことをなくす努力が必要です。

経営層の例
・まずは何から取り組めばよいか?
・導入による効果はどうやって測る?
・導入したいシステムの相場感は?
・導入に関する社員の意見、気持ちは?

DX推進担当者の例
・トップダウンでいきなりやれと言われても…
・いわゆる「丸投げ」でDXの目的設定、経営計画を経営層が立ててくれない…
・失敗したらどうしよう…

現場社員
・よくわからないシステムに対応できるだろうか…
・DXで仕事が減ったらリストラされるかも…
・慣れ親しんだ業務を変えたくない…

これらはあくまで一部の例で、実際に導入するとなったらもっと多くの不明点が出ることが予想されます。しかし、それは「普通のこと」で、決して「悪いこと」ではありません。わからないことは調べて学べば良く、専門家のサポートを受けて自分で判断できるようにすることも正しいといえます。不安な社員には経営層が寄り添い、丁寧に説明することで理解して貰えば解決するはずです。

最も悪いことはわからないことをITベンダーなどに丸投げすることです。(ITベンダーとはシステム開発やクラウドサービスを販売している企業) DXを推進するのは皆様の会社であり、第3者であるITベンダーはあくまでシステム開発担当と考えましょう。わからないからと全て丸投げし、自社にとっては不要なシステムを追加購入させられたというケースもあるようです。

DXのよくある間違い「わからないからベンダーの言いなり」の図解

間違ったDX④最新のシステムが必須と考えている

これも「わからない」が原因となって起こり得る間違いの一つです。また、DXの目的が明確になっていない場合にも起こり得ます。何のためにDXに取り組むのか?デジタル化やシステム導入はそのための手段でしかありません。目的を達成できるのであれば、最新である必要はなく、高額な付加機能も必要ありません。

例えば、社員に会社用の携帯電話を支給したいと思った時、携帯電話に求めるものは何になりますか?多くが通話、メール、インターネットくらいではないでしょうか? それであれば、型落ち機種で十分目的を達成できます。高機能なカメラがついた最新のスマホを支給する必要はありません。

同様に自社の目的を達成することができれば最新式でなくても構いませんし、市販されているパッケージソフトウェアを利用してもOKです。巧みな宣伝文句や勧誘によって本来の目的がぶれてしまい、余計な機能を付けてしまうケースもあるので、この点においても綿密な経営計画が必要になります。

DXのよくある間違い「最新システムが必須と勘違い」の図解

間違ったDX⑤システム導入がゴールになってしまっている

システムは導入して終わりではなく、導入してからが始まりです。冒頭に説明しましたが、DXとは自社の業務に変革を起こし、他者に負けない競争力を手に入れることが最終目的であることを忘れないでください。

「仕事で使う紙の量がかなり減ったね!」
「ハンコを押すために会社に行かなくてよくなった!」

といった点も確かに一つの成果ではありますが、それが最終ゴールではないと考えます。紙が減ったこと、生産性の低い業務のために出勤する必要がなくなったことで、自社にどんな変革を起こすのかが重要なのではないでしょうか。また、導入後はPDCAを回して業務効率の最大化を目指しながら、経営計画の達成に向けた効果検証が必須になります。

DXのよくある間違い「システム導入がゴールと勘違い」の図解

『間違ったDX』=『失敗』ではない

ここまでをまとめると、

(1)目的を明確にしていない
(2)DX推進の体制、準備不足
(3)経営層から現場まで、全体最適を意識できていない

間違いだらけのDXはこれらの要因で発生するといえます。

しかし、これらは「間違い」であって、「失敗」ではないことも忘れないでください。

●最初から何も取り組まない
●一度の間違いを理由にやめてしまう
●途中でDXの目的を見失う

この3つがDXの失敗です。もし自社がこれら間違ったDXに陥っているなと感じたら、それは失敗ではなく成功への第一歩と考えてください。間違いは正し、次に活かせば問題ありません。

間違えたDXに陥る要因の図解

今回は、DXの推進に関してよくある間違いについて解説しました。しかし、どう活かせばいいかわからない、どんな修正をすればうまくいくかわからない場合はTOMAにご相談ください。TOMAはさまざまな業種のDX化をサポートするだけでなく、自社でもさまざまなDXに取り組んでいるため、多くのノウハウを蓄積しています。

次回は、TOMAが考えるDXを成功に導く最も効率的な方法を解説したいと思います。

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