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株式会社の機関にはどのようなものがあるか

記事作成日2018/03/30 最終更新日2022/08/03

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会社法では、株式会社の機関として、株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、会計監査人、会計参与、委員会及び執行役が定められています。会社が行う事業や目的、規模に応じて、ある程度自由に機関設計が出来るようになっています。ここでは、機関設計でよく設置される以下の5つの機関について詳しく述べます。

会社法で定められている会社の機関で最低限必要なものは、非公開会社においては、株主総会と取締役1名以上のみです。

株主総会

会社の実質的な所有者である株主により構成され、その総意によって会社の意思を決定する株式会社の機関です。つまり、株式会社では必ず設置しなければならない機関です。

会社に関する一切の事項について意思決定権を持ちますが、全ての事項を株主総会で決議していては、迅速で合理的な経営を行うことは現実的に困難です。

そこで、取締役会設置会社では、法律で特に定められた重要な事項と定款で特に定められた事項についてのみ、株主総会で決議できることになっています。ここでいう「法律で特に定められた重要な事項」とは、取締役らの選任・解任、報酬の決定、定款変更、資本金額の減少、合併・解散などが該当します。

株主総会には、決算期ごとに開催される「定時総会」と必要があるときに臨時に開催される「臨時総会」の2種類があります。

取締役・取締役会

会社の経営に関わる機関です。また、取締役の中でも会社を代表し業務を執行する人のことを「代表取締役」といいます。取締役が1名の場合には、その1名が自動的に「取締役兼代表取締役」となります。 取締役会非設置会社で取締役が複数名いても代表取締役を選定しない場合は、各取締役が代表権を有することになります。

以下の場合には、取締役になることはできません(会331)。

・法人
・成年被後見人・被保佐人
・会社法など一定の法律上の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
・一定の法律以外の法令に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

破産手続開始決定を受けたからといって、取締役になれないわけではありません。会社法上、取締役の欠格事由とは定められていません。破産手続開始の決定を受けた者について、経済的再生の機会を再度与えるという目的があるからです。したがって、破産手続開始の決定を受け、復権していなくても、­取締役になることができます。

しかし、既に取締役の地位についている者が破産手続開始決定を受けた場合は、取締役を退任することとなります。株式会社と取締役の関係は民法の委任に関する規定に従うこととされているため、民法上の委任の終了事由に該当するからです。

また、未成年が取締役になることも可能です。この場合には、未成年者には単独で契約を締結する能力がないため、親権者の同意が必要となります。

取締役会は、取締役3名以上から構成される合議体です。

取締役会の権限は以下の3つです(会362)。

①会社の業務執行の決定
②取締役の職務の執行の監督
③代表取締役の選定および解職

監査役・監査役会

監査役は、取締役及び会計参与の業務の執行を監査する機関です。また、監査報告を作成し、計算関係書類及び事業報告書・その付属明細書の監査をする役割を担います。

会社経営の業務監査及び会計監査によって、違法または著しく不当な職務執行行為がないかどうかを調べ、もし、あれば阻止・是正することが職務です。また、会社と取締役の間での訴訟においては取締役に代わって会社を代表する役目も担います(会386)。

監査役の役割には、大きく分けて、業務監査と会計監査があります。定款の定めにより、監査役の監査の範囲を会計監査に限定することも可能です(会389)。

監査役はその業務の性質上、取締役・使用人または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人を兼任することができませんし、就任する会社およびその親会社の会計参与とも兼任することができません。

監査役会は、監査役3名以上からなる合議体です。そして、そのうち半数以上は社外監査役でなければならないとされています(会335)。

監査役会の権限は以下の3つです(会390)。

①監査報告の作成
②常勤の監査役の選定及び解職
③監査の方針、監査役会設置会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項の決定

会計参与

取締役と共同して会社の計算書類を作成する機関です。会計参与になることができるのは、税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人に限られます。この資格要件の趣旨は、会計・税務の専門知識を有する国家資格者に会社の計算書類の作成に深く関与させ、計算書類の正確性を高めることにあります。

また、会計参与にも監査役と同様、兼任禁止規定があります。会計参与は、株式会社又はその子会社の取締役、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人との兼任はできません(会333)。また会計監査人との兼任もできません(会337 )。

会計監査人

取締役・会計参与が作成した会社の計算書類を監査する人です。会計監査人になることができる者は、公認会計士、監査法人に限られます。会社法では、役員は取締役、監査役、会計参与に限られます(会329)ので、会計監査人は役員に該当しません。

会社法により、委員会設置会社または大会社である株式会社では、会計監査人の設置が義務づけられ(会327、328)、それ以外の会社では、任意に設置できます。

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