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在留資格における永住者と特別永住者の違いとは?

記事作成日2016/04/22 最終更新日2021/11/15

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日本に在留している外国人の中には、「永住権」を得ている永住者や「特別永住権」を得ている特別永住者がいます。では、「永住者」や「特別永住者」にはどのような違いがあるのでしょうか。

永住者とは

永住者とは、原則10年以上継続して日本に在留していて、下記の3つの要件を満たす外国人が対象となります。(日本人と結婚している場合は3年で良いなどの特例あり)

1.素行が良好であること
2.独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
3.その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(ただし、日本人・永住者または特別永住者の配偶者またはその子の場合は、1及び2に適合することを要しない)

上記に該当する方が「永住許可申請」をして法務大臣から許可されると、永住権を得ることになります。
よって、永住者は在留資格の更新が不要です。また、永住権を持つ外国人のことを、特別永住者の反対で一般永住者ということもあります。

「永住許可申請」は、居住地を管轄する地方入国管理官署に申請し、「出入国管理および難民認定法 第22条2項」を基に審査の結果、法務大臣から許可されます。

申請の際の注意点は以下の通りです。

・申請は在留期間の満了以前にする
・申請許可処理期間は約6カ月
・申請書、写真、在留カード、パスポートまたは在留資格証明書、収入を明らかにする書類等を準備する (資格外活動許可書の交付を受けていれば許可書の提示)
・申請時には手数料はかからないが、許可される際に収入印紙8,000円分が必要になる

特別永住者とは

1991年(平成3年)11月1日に施行された「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に定められた在留資格を有する者を、特別永住者といいます。

第二次世界大戦中に、日本の占領下で日本国民とされた在日韓国人・朝鮮人・台湾人の人たちが、敗戦後の1952年のサンフランシスコ平和条約で朝鮮半島・台湾などが日本の領土でなくなったことにより、日本国籍を離脱しました。その在日朝鮮人・韓国人・台湾人とその子孫について、日本への定住などを考慮したうえで、永住を許可したのが、特別永住権です。

特別永住者証明書の交付申請をして法務大臣から許可された人を、特別永住者といいます。申請先は、在留資格が地方入国管理官署なのに対し、特別永住者証明書の交付申請は居住地の市区町村窓口になります。

それぞれの違い

まず、根拠となる法律が異なります。

永住者は「出入国管理及び難民認定法」に基づき、特別永住者は「出入国管理及び難民認定法」、「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱したもの等の出入国管理に関する特例法」に基づいています。

また、永住者には「1.素行が善良であること」「2.独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」などの審査基準がありますが、、特別永住者は、入管法に「特別永住者の配偶者または子である場合においては、次の各号に適合することを要しない」と定められています。

つまり、特別永住者は、働かず生活能力がなくても、犯罪歴があっても、日本に住み続ける権利を法律が保障しているということです。また、永住者は在留カードの携行義務がありますが、特別永住者には証明書の携行義務がないなどの違いがあります。

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