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「収益認識に関する会計基準(案)」と平成30年税制改正大綱 TOMAシンガポール支店

記事作成日2017/12/26 最終更新日2017/12/26

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2017年12月14日に平成30年税制改正大綱が発表されました。

その中で法人税における収益の認識等に関する記載があり、原則論の法令化・原則目的物の引渡し又は役務の提供日に属する事業年度で益金として認識・一般に公正妥当と認められる会計基準に従った場合の例外処置・返品調整引当金の廃止等が記載されています。これは、国際財務報告基準(IFRS)の第15号に影響を受けている「収益認識に関する会計基準(案)」との調整のための記載と考えられます。

私見ですが、法人税法と会計基準で同じ考えをとることで、実務担当者の負担を緩和しようとしているように読めます。しかし、今回の税制改正大綱では消費税についての記載がありませんでした。消費税については課税資産の譲渡等をしたときに課税売上として認識しますが、現状、「収益認識に関する会計基準(案)」との調整が未了となっています。

例えば、ポイントの付与を伴う販売をした場合、今後の会計基準では販売対価のうちポイントの対価に基づく売上はポイント行使時まで負債として繰り延べるのに対し、現行の消費税法では販売時に販売対価のすべての金額を課税売上げとして処理することが求められます。

上記の例では、特に小売業の皆様にとっては大きな話ですので、おそらく来年度の税制改正でなんらかの改正があるかと思います。しかし、今回の税制改正では消費税については触れられておらず、実務上の扱いが不透明な状態が続くこととなりました。

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