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障害者雇用納付金制度の改正による申告期限と課題

記事作成日2016/03/06 最終更新日2016/04/06

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◆労働者50 人以上で障害者雇用が義務
「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、「障害者雇用率制度」が設けられており、事業主は常時雇用している労働者数の2%以上の障害者を雇用しなければならないこととされています。
つまり、常時50 人以上の労働者がいる事業主は、最低1 人以上の障害者を雇用しなければなりません。しかし、障害者を雇用するには、作業設備の改善や職場環境の整備などの経済的負担がかかることから、社会全体でその負担を調整するために「障害者雇用納付金制度」が設けられています。

◆障害者雇用納付金制度とは
「障害者雇用納付金制度」とは、事業主が雇用障害者数を毎年度申告し、障害者雇用率(2%)より不足している場合には納付金を納付し、超えている場合には調整金が支給される制度です。
不足している場合は、不足人数1 人につき月額50,000 円(100人以上200 人以下の事業主は当分の間40,000 円)の納付が必要となり、超えている場合には、超えた人数1 人につき月額27,000 円の調整金が支給されます。この「障害者雇用納付金制度」が平成27 年4 月1 日に改正され、申告・納付の対象となる事業主の範囲が、常時100 人以上の労働者を雇用している事業主に拡大されました。対象事業主は、平成28 年4 月1 日から平成28 年5 月16 日の間に申告・納付をしなければなりませんので、準備を進めておくようにしましょう。

◆企業に求められる対応
法定雇用率を満たすための障害者雇用の体制づくりとして、大きく3つの対応が求められます。まず、自社の障害者の雇用状況を把握することです。障害者の把握は、画一的な手段(社内掲示板や一斉メールなど)によって呼びかけ、かつ従業員が申し出をしやすいようにプライバシーに配慮して行う必要があります。次に、自社で障害者を受け入れられる業務がないか、業務を細かく洗い出します。障害者を雇用しづらい業種であっても、全ての作業工程を細かく洗い出すことによって、障害者に任せられる業務が出てくる場合があります。また、作業を細分化することにより、その作業に適した障害者の確保がしやすくなる等の利点もあります。そして最後に、障害者を受け入れる環境づくりが必要となります。障害者が作業を行いやすいように設備を改善したり、専任の担当者をつけるなどして障害者をサポートする体制づくりが求められます。
以上の観点から、企業としてどのように障害者雇用に取り組んでいくのか、再度検討する機会が求められています。

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