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配偶者控除の見直し

記事作成日2017/01/13 最終更新日2017/01/13

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 自民、公明両党の税制調査会は12月5日、専業主婦などがいる世帯の所得税を軽減する配偶者控除の見直し案の詳細を固め、2018年1月から配偶者控除を適用できる妻の年収要件を103万円から150万円に事実上引き上げる仕組みになりました。

現在の配偶者控除制度

 世帯主に控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。控除対象配偶者とは、次の4つの要件を全て満たす配偶者のことをいいます。

(1)民法上の配偶者であること。(内縁関係の人は該当しません)

(2)世帯主と生計を一にしていること。

(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること。

(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

(4)世帯主の事業に従事していないこと。

 控除対象配偶者の年齢によって、所得控除額が変わります。その年の12月31日現在の年齢が70歳未満であれば38万円の所得控除、70歳以上であれば48万円の所得控除となります。

 また、配偶者の合計所得金額が38万円超76万円未満である方については、最高で38万円(配偶者の所得により控除額が増減します。)の配偶者特別控除が適用されます。ただし、世帯主本人の合計所得金額が1,000万円以下である必要があります。

見直しによるメリット・デメリット

 今回の見直しの内容は、左記要件③にある、給与収入の限度額を、103万円から150万円に引き上げるものです。103万円を超えて働くパート主婦の世帯が配偶者控除の適用により減税となり、150万円を超えても徐々に控除額を縮小しながら201万円以下まで適用されます。現在103万円を超えないように働いているパート主婦の方は、働く時間を増やすことができます。

 ただし、世帯主の年収が1,120万円を超えると徐々に控除額が縮小し、1,220万円で完全に適用外にする方向です。また、配偶者控除の限度額が150万円に引き上げられても、社会保険に加入しなければならない年収は130万円(勤務先が従業員501人以上の企業の場合は106万円)のままですので、収入が増えても逆に手取りが減ってしまう可能性があります。

 今回の見直しをきっかけにパートの時間を増やしたのに、手取りが減ってしまうということがないように、社会保険加入や世帯主の収入を考慮しながら働く必要があります。

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