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税務調査の時は録音をしてもいいのか

記事作成日2020/03/25 最終更新日2021/01/22

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税務調査の際に気になることのひとつとして、税務官とのやり取りを録音していいのかどうか、という声がよく聞かれます。

これはなぜかと言うと、税務調査で税務官との言葉のやり取りにおいて相違が見られた場合、後々大きなトラブルになるケースもあるからです。

こちらでは、税務調査をより適正に、そして安心して受けるために、やり取りを録音してもいいのかどうかということについてご説明します。

 ■税務調査中に録音はしていいのか

税務調査は税務官が法人(納税者)を訪問する形で行われます。

事前に税務調査に入る旨の連絡はありますが、きちんとした税務処理をしている法人であっても、気は使ってしまうものですよね。

税務調査中には、税務官が帳簿類や売り上げ、経費に関する資料などを細かくチェックしていきます。

そうした状況の中で、納税者側が税務官から不明点についての質問を受ける形で進められていくケースがほとんどです。

そこで後々問題になりやすいのが、税務官と納税者側の「言った」「言わない」という意見の相違です。

特に重要なポイントになればなるほど、この傾向が見られる傾向にあり、時には争いのもととなってしまう場合もあります。

「言った」「言わない」たったそれだけの違いであっても、納税額が大きく変わってきたりすることも珍しくないことから、税務調査時のやり取りを録音したいという声もよく聞かれます。

では実際に、税務調査時のやり取りを録音することは可能なのでしょうか?

 ◇税務官に「録音意志」を伝える義務はない

結論から先にお伝えすると、税務調査の際のやり取りを録音することは、法律的には問題ありません。

ただし、税務官によっては「録音することによって、調査の内容が外部に漏れてしまうため許可しない」というケースもあるようです。

しかしそれは本来、「税務官が税務調査で知りえた納税者の情報や調査内容を外部に漏らしてはならない」というものであって、納税者側に対して課されているものではありません。

以前は税務調査時の録音は許可しないということが通例であったため、今でも録音していることがわかると、調査を打ち切り「納税者が非協力的だった」として、青色申告の取り消し処分などを課す税務官もいるようです。

税務調査時の録音については以前から論じられてきており、何度か裁判所に持ち込まれたこともあります。

その中には、明らかに違法と思われる税務調査によって、やむを得なく録音したというケースも含まれています。

判例からは「録音は問題ない」「録音は禁止」、どちらか一方だけを肯定することはできず、場合によりけりという意図が見え隠れしています。

しかし、ここで確認しておきたいのは、「税務調査時の録音を禁止している法律はない」ということです。

上記のような点を踏まえると、税務調査時のやり取りを録音するという「録音意志」をあらかじめ税務官に伝える義務はない、と言えるでしょう。

◇正確に音声を録音する方法

税務調査時の録音を行う場合には、できるだけ正確にクリアに行いたいものです。

そのためには、ICレコーダーなどの録音機器は、机の上に置いておくことをおすすめします。

「法的には問題がなくても、堂々と録音するのは気が引けてしまう」という気持ちから、ついついICレコーダーを内ポケットなどに入れてしまう方も多いのですが、それだと音声がクリアに拾えません。

ICレコーダーは、机の上に置いておいても自然である、(音が拾いやすいように)通気性の良い文房具や備品などの中などに忍ばせておくのがベストと言えるでしょう。

 ■まとめ

ここまでご説明してきたように、税務調査時の税務官とのやり取りを録音すること自体は、法律的には何ら問題はありません。

しかしながら、税務官の心証を必要以上に悪くしないということも同じように大切です。

そのようなことから、「税務調査時のやり取りを録音することは問題ないが、あまりにもあからさまに行わない」という点にも気を付ける必要があると言えます。

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