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研究開発費税制の見直し

記事作成日2017/02/10 最終更新日2017/02/10

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 2020年までに官民合わせた研究開発投資を対GDP比4%以上とする政府目標も踏まえ、研究開発税制の見直しを行いました。

 具体的には、総額型の控除率を試験研究費の増減に応じたものとしました。また、IoT、ビッグデータ、人工知能等を活用した「第4次産業革命」による新たなビジネス開発を後押しする観点から、研究開発税制の対象に、「第4次産業革命型」のサービス開発のための試験研究に係る一定の費用を新たに追加しました。

◆現行と改正案の税額控除率変更

 

 現行

 改正案

 税額控除率

 大企業8%~10%

 中小企業12%

 大企業6%~14%

 中小企業(12%~17%)

 控除限度

 法人税額×25%

 法人税額×25~35%

 上記は試験研究費の増加額等に係る税額控除制度が廃止になり、総額型に投資増加インセンティブを組み込み、税額控除率に試験研究費の増減を加味しています。

 また、その損金の額に算入される試験研究費の額が、その事業年度の平均売上金額の10%相当額を超える場合の高水準型の税額控除の適用期限は2年間延長されます。

◆試験研究費の範囲の拡大

 現行の製品の製造技術の改良・考案・発明にかかる試験研究のために要する費用に加え第4次産業革命型の新たなサービスの開発にかかる試験研究費を対象に追加しました。 

◆具体的なサービス開発のイメージ

 データの収集としてセンサー等を活用して、自動的に種々様々なデータを収集、データの分析として専門家が、AI等の情報解析技術によってデータを分析、サービスの設計としてデータの分析によって得られた一定の法則性を利用した新たなサービスを設計、サービスの適用としてサービスの再現性を確かめる。これらがサービス開発のイメージになります。

 また対象となる主な事例として自然災害予測サービス、農業支援サービス、ヘルスケアサービス、観光サービスなどが考えられます。

 今回の見直しにより、従来の試験研究費の税額控除を拡大するとともに、ビッグデータなどのイノベーションに関する試験研究費に対して税制面で優遇しようとしているのが特徴です。この税制の活用を検討されるケースも多くなりそうです。

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