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DESを活用した事業承継とそのメリット

記事作成日2020/01/31 最終更新日2021/01/22

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DES(デッド・エクイティ・スワップ)を利用した事業承継も広く行われています。今回は、DESの特徴やメリット・デメリット、DESを利用した事業承継の方法についてご紹介します。

■DES(デッド・エクイティ・スワップ)とは

 DES(デッド・エクイティ・スワップ)とは、会社が金銭債権を有している債権者に対して株式を発行することにより、金銭債権と株式を振り替えることをいいます。DESによって、債務者である会社の負債は資本に変わり、バランスシートが改善されます。また、債権者側としては、債務者の株主になるという特徴があります。

■DESのメリット

DESのメリットとして、以下のようなものがあります。

◇借入金返済の利息負担が減る

DESによって会社の金銭債務が株式に変わるため、金銭債権を返済するときに生じていた借入利息が消滅します。借入金が大きいほど、利息負担の消滅による影響は大きいといえるでしょう。借入利息の負担が浮いた分を他の所に回すこともできます。

◇金融機関や取引先などの信頼が上がる

負債が資本に転化することで、バランスシートが改善されます。そのため、金融機関からの信頼が向上し、融資の審査にも良い影響を及ぼすことが考えられます。また、新規取引を開始したい場合にも、負債が少なく自己資本比率が多いということを示せるため、取引先からの信頼も向上します。

◇売却益や配当収入を得られる可能性

こちらは債務者ではなく債権者のメリットです。金銭債権の場合は、元金以外には利息による収益しか見込むことができません。しかし金銭債権ではなく株式として保有するため、将来的に債務者の株価が上昇したときには、インカムゲインの収入を見込むことができます。

また、株式を売却することによってキャピタルゲインを得られる可能性が残る点もメリットです。金銭債権の場合は、元金以外には利息による収益しか見込むことができません。

■DESのデメリット

一方で、DESのデメリットも確認しておく必要があります。

◇債権者が株主として会社経営に入ってくる可能性がある

デメリットの一つは、債権者が株主になることで、会社の所有者として経営に干渉してくる可能性が出てくることです。特に非上場会社の場合は、できるだけ外部者を経営に参画させたくないと考えている経営者も多いでしょう。この点はデメリットとして挙げられます。

◇法人税等の税負担が増える

DESによって資本金の額が増えることにより、法人税の税率が高くなるというデメリットがあります。法人税においては、資本金等の額によって税率が異なります。例えば東京都の場合、資本金等が1千万円以下で社員が50人以下あれば、法人税の均等割額は7万円です。しかし、1千万円を超えると18万円に増加します。

◇配当負担が増加

DESにより、金銭債務から生じる金利負担が減少しました。しかし一方で、債権者に対して株式を発行するために、単純に配当負担が増加するというデメリットが生じます。

■DESを活用した事業承継の方法

DESは事業承継においても活用されています。DESが事業承継時にもたらすメリットをご紹介します。

◇後継者に対する貸付金の返済が軽減できる

会社に債務が残っていると、事業承継で後継者に引き継いだ後でも貸付金を返済する負担が残ります。後継者がすぐに事業を軌道に乗せられれば良いですが、中には難航するケースもあるでしょう。そういった場合には、貸付金の返済負担はとても重くのしかかってくるものです。しかし、DESによって後継者のスタートアップ時の負担を軽減することができます。

◇相続税対策として活用

中小企業においては、経営者個人が会社に対して貸付金を行い、それを運転資金としているところも少なくありません。しかし、経営者の相続が発生した場合、この借入金も相続税の対象となります。

DESを行うことで経営者の貸付金を株式に変えておけば、株式の時価によっては相続税の評価額が下がり、納税額をおさえることができます。

■まとめ

DESのメリットやデメリットについてご紹介しました。DESは、金銭債権を株式に振り替えることができるため、会社としては自己資本比率が増えるという大きなメリットがある一方で、債権者が株主として会社に参加するというデメリットも生じます。それぞれの特徴をおさえ、上手に活用しましょう。

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