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相続分野で40年ぶりの民法改正 ~ 配偶者居住権の創設 ~

記事作成日2018/09/11 最終更新日2018/09/11

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 2018年7 月6 日、相続分野の規定を約40 年ぶりに見直す改正民法が参議院本会議で可決されました。今回は、いくつかの改正項目から、「配偶者居住権」の創設についてご紹介します。

◆配偶者居住権とは

 配偶者居住権とは、被相続人の死亡時に、被相続人の住宅で同居していた配偶者が、原則としてその配偶者が亡くなるまでその住宅に無償で住み続けることができる権利のことです。所有権よりも財産としての評価額は低くなるので、他の遺産の取り分を増やすことができ、老後の生活資金を確保しやすくなります。

◆配偶者居住権を用いた具体的な計算のイメージ

 夫が亡くなり、妻と子1 人で2,000 万円の自宅と現預金3,000万円について遺産分割協議をするケースを例にみてみましょう。法定相続分(妻と子1/2 ずつ) で分ける場合、配偶者は自宅の所有権を相続すると、現預金の取り分は500 万円となります。
 改正後は、仮に居住権が1,000 万円と評価され、居住権を妻が、所有権を子が相続することにすると、現預金3,000 万円を配偶者と子で1/2(= 1,500 万円)ずつ相続することになります。
 なお、配偶者居住権の評価額については、配偶者の平均余命などを基に算出される予定で、第三者に権利を主張するには、登記が必要となります。

相続財産
自宅(評価額)  2,000万円
現預金      3,000万円
現在の制度
妻の相続分(1/2)

自宅の所有権  2,000万円
現預金      500万円

子の相続分(1/2)

現預金    2,500万円

改正後
妻の相続分(1/2)

自宅の居住権  1,000万円
現預金     1,500万円

子の相続分(1/2)

自宅の所有権  1,000万円
現預金     1,500万円


◆配偶者保護を手厚くし、相続争いの予防へ

 今回の改正は、配偶者が安心して自宅に住み続けることができるようにすること、高齢化に対応し、配偶者が住み家や生活資金を確保しやすくすることで、相続争いを予防・解消することを目的としており、2020 年7 月までに施行予定です。


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