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合併によるグループ会社の青色欠損金の引継ぎ

記事作成日2020/07/14 最終更新日2020/07/14

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青色欠損金とは?

法人税法には、青色欠損金の繰越控除という自社で発生した過去の損失と当期の利益の通算を可能にする制度があります。

平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる青色欠損金の繰越期間は10年間となります。原則として、他の法人の青色欠損金の引継ぎは認められません。ただし、一定の要件を満たす場合には、他の法人の青色欠損金を自社で引継ぎ、繰越控除を適用できるケースがあります。

今回は、完全支配関係があるグループ会社が合併した場合の青色欠損金の引継ぎについて説明します。

合併によるグループ会社の青色欠損金の引継ぎ

完全支配関係があるグループ会社が合併した場合に青色欠損金を引き継ぐには、以下の2 つの要件を満たす必要があります。

[1] 完全支配関係があるグループ法人間の適格合併であること

合併により欠損金を引き継ぐには適格合併に該当しなければなりません。適格合併の要件は、合併法人と被合併法人との間の支配関係に応じて異なります。
完全支配関係がある場合の適格合併に該当するには「金銭等不交付要件」と「完全支配関係継続要件」を満たす必要があります。

 金銭等不交付要件:合併の対価として合併法人の株式以外が交付されないこと
 完全支配関係継続要件:合併法人と被合併法人との間の完全支配関係が、合併後も継続することが見込まれていること

[2] 支配継続要件

支配継続要件は「合併法人の合併事業年度開始の日の5年前の日、被合併法人の設立の日、合併法人の設立の日のうち、最も遅い日から合併の日まで継続して支配関係(50%超の株式等の保有関係)があること」が必要とされています。これは欠損金の引継ぎのみを目的とした租税回避行為に一定の歯止めを掛けるために設けられた要件です。

まとめ

合併により青色欠損金を引き継ぐには、上記のほかにも支配関係に応じて様々な方法があります。
ただし、引き継ぐための要件は複雑であるため検討されている場合には事前にご相談ください。

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