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事業承継における種類株式の活用方法

記事作成日2017/11/13 最終更新日2018/01/05

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現行の会社法が施行されてから11年が経過し、制度導入当初はあまり活用されていなかった種類株式ですが、現在では各会社のニーズに対応して、様々な活用がされるところまで広がってきました。今後も種類株式の有効な活用が事業承継において重要になると思われますので事業承継における主な種類株式の活用方法をお伝えしていきたいと思います。

事業承継で活用する主な種類株式とその活用方法

議決権制限種類株式

株主総会における議決権を行使することができる事項について制限がある株式です。 全ての事項について制限がある株式として発行することもできますし、一定の事項についてのみ制限がある株式としても発行することができます。
100%の株式を所有する現オーナーが亡くなり相続が起きた場合、後継者に所有株式の大部分を渡さなければなりません。仮に相続財産が株式のみであった場合、遺留分の主張により後継者に円滑に株式を渡していくことができません。そこで無議決権株式を発行して他の相続人に相続させ、後継者には普通株式を相続させることで、遺留分減殺請求による議決権分散リスクの低減を図ることが考えられます。

取得条項付種類株式

株主総会の特別決議により会社がその種類の株式の全部を取得することができる株式です。
相続が起こるたびに株式が分散していくため、その対策が必要であり、取得条項付種類株式の取得条項を株主の死亡にしておくことで株主が死亡した場合に会社が買い取ることができ、株式の散逸の防止を図ります。

譲渡制限株式

譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要する株式です。
例えばオーナー以外の株主が第三者に株を譲渡しようとする場合、株主総会や取締会の決議によりその承認をしないということができるため、株式の分散を防止することができます。

種類株式の導入手続き

種類株式を導入するためには、株主総会の特別決議による定款変更が必要になります。なお、既に発行している普通株式を種類株式に変更することもできますが、当該株主の利益を害するおそれがあるため、すべての株主の同意が必要になります。

おわりに

種類株式制度は事業承継において活用できる点が多くあると思いますが、特徴や会社法上の留意点だけを押さえるだけでなく、税務上の取扱いや留意点も十分に整理していかないといけません。早い段階で弁護士や税理士等に相談すべき項目であると考えます。

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