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在留資格 ①技術・人文知識・国際業務について

記事作成日2015/11/30 最終更新日2015/11/30

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前回まで2回にわたり在留資格に関する手続きの概要を説明しました。今回からは27種類の在留資格のうち、就労することのできる在留資格を中心に、それぞれの在留資格の概要、取得のための要件、申請に際して必要となる書類等について解説していきます。今回は「技術・人文知識・国際業務」について解説します。

◆在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは

「技術・人文知識・国際業務」は、外国人が日本の企業や各種団体と雇用契約等を締結し就労する場合に取得する在留資格です。業務内容については、①自然科学の分野に属する技術や知識を要するもの(具定例:機械工学等の技術者)、②人文科学の分野に属する技術や知識を要するもの(具体例:経営コンサルタント、マーケティング業務従事者、心理カウンセラー)、または③外国の文化に基盤を有する思考や感受性を必要とするもの(具体例:翻訳、通訳、語学学校の講師、デザイナー)に限られます。入管法では、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動」と規定されています(入管法別表第一の二の表)。以前は、自然科学の分野と人文科学の分野を区別し、「技術」、「人文知識・国際業務」と別個の在留資格として規定されていました。しかし、企業における人材活用の在り方が多様化し、どちらに分類されるのか不明確なケースが多く発生したことから、平成26年改正において一本化されました(平成27年4月1日施行)。在留期間は、5年、3年、1年又は3月です。

◆在留者数、上陸者数について

 入管協会が公表している統計資料によると、平成25年における「人文知識・国際業務」及び「技術」での新規入国者数は、それぞれ5,354人(「人文知識・国際業務」)、5,387人(「技術」)です。平成22年以降、増加傾向にあります。平成25年末現在、「人文知識・国際業務」での在留者数は7万2,319人、「技術」での在留者数は4万3,038人であり、この二つの在留資格で専門的・技術的分野での就労を目的とする在留資格者の過半数を占めています(構成比:56.3%)。

◆許可要件について

 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が許可されるためには、以下の①から③までの要件を全て満たす必要があります。

①自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、必要な技術又は知識を修得していること

具体的には、従事しようとする業務について、(ア)必要な技術又は知識に関連する科目を専攻して大学を卒業していることや(イ)日本の専修学校の専門課程を修了していること、(ウ)10年以上の実務経験を有していることなどです。

②外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事し、従事しようとする業務について3年以上の実務経験を有すること

ただし、大学を卒業している者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合には実務経験は不要であり、新卒者でも許可取得は可能です。

③日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること

◆必要書類について

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で外国人を日本に招聘しようとする場合は、同在留資格にて在留資格認定証明書交付申請を行います。外国人が所属することになる機関は、その状況により「カテゴリー1」から「カテゴリー4」に分類され、申請の際に必要となる書類もこのカテゴリーによって異なります。

「カテゴリー1」(日本の証券取引所に上場している企業や、保険業を営む相互会社、地方公共団体、独立行政法人等)の場合は、①在留資格認定証明書交付申請書、②写真(縦4cm×横3cm)1枚、③「カテゴリー1」に該当することを証明する文書(例:四季報の写し等)、④返信用封筒1通のみで足り、その他の資料は原則不要です。

「カテゴリー2」(前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中,給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,500万円以上ある団体・個人)及び「カテゴリー3」(前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人)については、上記の書類に加えて前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)が必要となります。

さらに、「カテゴリー3」及び「カテゴリー4」(カテゴリー1~3のいずれのカテゴリーにも該当しない団体・個人)については、申請人の労働条件を明示する文書や役員報酬を定める文書、申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書、所属機関の登記事項証明書、所属機関の決算書の写しなど、多くの書類の提出が求められます。

詳しくは、下記リンクの法務省ホームページもご覧下さい。

法務省ホームページ

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