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現地法人・支店・駐在員事務所の違い

記事作成日2015/10/16 最終更新日2021/10/13

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今回は、海外進出するときに検討する、駐在員事務所・支店・現地法人の一般的な違いについて、私見を交えてご説明します。なお、具体的に検討をされる場合は、各国によって法律等が異なりますので、進出国の法律等をご確認ください。
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駐在員事務所とは

駐在員事務所とは、一般的に市場調査や情報収集など、事業そのものを行わない事務所を指します。

私見ですが、ポイントとしては、以下の点です。

・事業そのものはできない、いいかえれば売上につながる活動が出来ない。そのため、市場調査や情報収集活動等に限定される

決算書の作成義務や納税義務など細かい点は、各国によって異なりますので、別途調査されることをお薦めします。

支店とは

支店とは、一般的に外国の法人が拠点を設けるものの、法人格の取得まではおこなわない事業所を指します。

たとえば、日本法人のシンガポール支店の場合、シンガポール支店が主体となって契約したことによって生じた債権・債務は、日本法人に帰属する(=シンガポール支店で独自の法人格を持っていないことから、シンガポール支店の契約の効果も日本法人に及ぶ)こととなります。

私見ですが、ポイントとなるのは以下の点です。

・現地法人と比べ、撤退が楽なことが多い

・同一会社内のため本店からの資金移動が楽

・損失が生じたとき、支店の欠損金を日本本店の所得と相殺して税務申告できる

進出時において、黒字化するまでに時間がかかりそう、もしくは進出先の規模は小規模でよい場合は、支店の設置も選択肢に入るでしょう。

現地法人とは

現地に設立された別会社を指します。会社を作るということは、法人格を取得し、株式を発行し、日本法人などの親会社などが株式を保有するということです。

現地法人で、取締役や秘書役(セクレタリー)など、各国の会社法で定められている機関を設置する必要があります。海外進出でもっとも多い進出パターンです。

私見ですが、ポイントとなるのは以下の点です。

・現地法人を設立することによって、得意先や仕入先、その他の関係者に本気度を示すことができたり、見た目が良い(=印象が良い)

ただし、日本のタックスヘイブン税制の適用対象となる子会社に該当しないか確認が必要です。

また、企業グループ内での組織再編においても、株を異動するだけで再編が可能です。さらに現地法人は、その国の会社法が全面的に適用されることから、日本の会社法にはない制度の適用をうけ、ビジネス上有利な行動をとることができるケースもあります。

検討してみましょう

お客様と接していると、当たり前のように現地法人を作って進出するケースが多くみられます。しかし、支店や駐在員事務所を選択できるケースもありますので、一度検討されても良いのではないでしょうか。

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