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不正などの不祥事対応 その1 (日本取引所グループ 2016年度 上場会社セミナー 不祥事対応の質的向上を目指して) 【TOMAシンガポール支店 公認会計士駐在の会計・税務事務所】

記事作成日2017/04/18 最終更新日2017/05/09

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[小冊子03:海外赴任と外国人雇用]

【はじめに】

今回は、不正などを中心とした企業の不祥事をどのように防ぎ、または対応していくかについて、「日本取引所グループ 2016年度 上場会社セミナー 不祥事対応の質的向上を目指して」を紹介させていただくとともに、筆者の実務経験に基づく予防策、対応策をお話致します。

不祥事対応は上場会社のみならず、非上場の会社でも当てはまることが多いので、ぜひ一度下記の資料を閲覧されることをお勧めします。

http://www.jpx.co.jp/regulation/seminar/pastseminar/index.html

有名な弁護士と会計士の2名が講師となっています。

 

【経営者による粉飾決算は”詐欺”】

株式会社東芝をはじめ、経営者による経営の失敗を隠蔽する粉飾決算(不適切な会計処理)は、昔から数多くあります。

粉飾決算というと、売上や利益をでっちあげるイメージがありますが、粉飾の多くは売上や利益の先取りによるものです。上記のセミナーでも同じ説明をしています。

利益の先取りに過ぎないという意識があると、そんなに重大なことではないという意識があるかもしれませんが、決算書を利用する読者(たとえば銀行など)を欺く行為であることには間違いありません。上記セミナーの講師は”詐欺”といっています。

監査法人や公認会計士の監査が入っていない会社では、前受金を早く売上計上してしまったりするなど、売上や利益の先取りをしている会社が多いように思います。しかし、売上や利益の先取りは将来の売上や利益を減らす行為であるので、長期的に見るとその場しのぎな行為に過ぎず、抜本的な改善がされないばかりか、改善のきっかけも失うこととなります。

また、粉飾行為がばれると信用も失うことになります。失われた信用を取り戻すには相当の時間がかかるでしょう。

弊社は100年続く企業作りを支援していますが、100年の間には苦しい時が当然あります。苦しさに直面して、早めに次の手を打つのが真の姿ではないでしょうか。特にオーナー企業のように最終的な責任を負うのがオーナー一族であれば、比較的対応がしやすいかもしれません。

【経営者だからといって誠実性や倫理観が高いわけではない】

当然かもしれませんが、経営者も人の子ですので、社長の座に就任したとたん、誠実性や倫理観がアップするものではありません。ワンマン経営者という言葉があるように、逆に経営者のやりたい放題になってしまう恐れもあります。

普通の従業員であれば、上司や総務や経理の目があったりするなど、一定の監視下にありますので、不正行為をしようと思っても歯止めがかかるきっかけがあります。しかし、経営者については、そのような歯止めが聞く場面が多くないかもしれません。

現実として、経営者による不正を防ぐことは難しいといわれています。

【対応策】

では、どのようにすれば、経営者の不正を防止することができるのでしょうか?セミナーの資料にもいろんな方法が書かれていますが、ここでは筆者の私見を記載します。

・不正をしないという宣誓をしてみる、また、宣誓を定期的にし続ける

まずは心構えを宣言してしまいましょう。諸外国では大統領就任時に宣誓したり、筆者が勤務しているシンガポールでは、決算書を提出するときに自らの責任で正しく決算書を作成した旨を書面にして直筆のサインをしたうえで提出するという慣行があります。

しかし、日本ではそのような場面が少ないように思います。企業運営のお金については、借入金など外部の方から拠出している例も多いかと思います。彼らのお金を使い運用をしてその成果を正しく報告するという気持ちがあれば、上記のような宣誓ができると思います。

上場会社・非上場会社問わず、事業年度の最初のミーティングで、社長自ら従業員に対して宣言をするという習慣を導入してもよいかもしれません。

・外部の会計士と弁護士に定期的にチェックをしてもらう

常に監査を受ける必要はないかもしれませんが、3年に一度など外部の会計士と弁護士にお願いして会計や法律面の遵守状況をチェックしてもらうことも考えられます。

できれば法定監査のように毎年チェックしてもらうのがよいのですが、コスト面の負担もありますので、3年に一度など見てもらうのがよいと思っています。

また、毎年監査を受けているのであれば、簡単な内部管理等の報告書を提出してもらうのも手です。これをマネジメント・レターと呼ぶことがあります。

筆者はシンガポールでも、会計監査人がマネジメント・レターを作成し、クライアントがこれに改善する旨のサインをして監査人に戻すという行為が行われているのを目にしたことがあります。

社長の不正行為を直接指摘する弁護士や会計士は少ないと思いますが、外部の専門家にチェックされるという機会があることで、ちゃんとしないといけないという意識が芽生えることには間違いありません。

また、彼らは外部の人間ですし、様々な企業を見てきているので比較的相談しやすいと思います。

TOMAグループでは会計士も弁護士も在籍しておりますので、弊社に依頼するのも手かもしれません。

【次回】

粉飾以外の企業不祥事が発生した場合の対応について記載をします。

 

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