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国外関連者に関する明細書[法人税申告書別表17(4)]と移転価格税制について

記事作成日2021/04/13 最終更新日2022/08/17

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雇用冊子

国外関連者に関する明細書と移転価格税制について、Q&A方式と具体的なケースにて説明いたします。

海外子会社の役務提供について

Q.海外子会社の役務提供に対する支払いをした場合、国外関連者に関する明細書[法人税申告書別表17(4)](以下、別表17(4))の提出は必要ですか?

A.国外関連者である子会社であれば、必要です。
別表17(4)には、法人が当該事業年度中に取引関係のあった国外関連者(※)に関する事項を記載します。

(※)国外関連者についての英字ブログはこちら↓
https://toma.co.jp/blog/jtg/schedule-174/

この別表は確定申告書に添付して税務当局に提出しますが、提出しなかったり、記載内容が不十分であれば、税務当局は税務調査においてこの別表を提出するよう強く指導をすることがあります。なぜなら税務当局はこの別表17(4)を、移転価格税制に関する調査事案を選定するのに活用するからです。

転価格税制とは、国外関連者である海外子会社との取引を行うにあたり、税務当局がその取引対価が適正な水準であるかどうか税務上検討し、所得の海外移転を防止するために定められたものです。

つまり別表17(4)の提出に加え、海外子会社との取引価格については、移転価格税制に反しないような適切な取引価格にしておく必要があります。

国外関連取引の具体的なケース

例えば、日本本社が第三者の非関連法人の役務提供に支払う対価が100万円であるとします。一方で海外子会社の同種同規模の役務提供に対しては150万円支払い、上乗せした50万円分多く費用計上します。この結果、日本本社の利益が減るため税務当局は課税額が少なくなります。

そこで、税務当局は別表17(4)の記載されている国外関連取引が適切な水準であるかどうか判断します。

このケースでは、子会社との取引価格は適切な水準ではないと判断される可能性があります。その場合、日本本社は独立企業間価格(赤の他人同士だったら、この価格で取引をしたであろう価格=この例だと100万円)に基づいて法人税を申告納付しなければなりません。

このような指摘をされないためにも、あらかじめ合理的で説明可能な取引価格の算定と正確で不足のない別表17(4)の準備をしておくことが重要となります。

企業の多国籍化が進んだ今日では、各国の税務当局の租税回避に対する目は厳しくなっています。税務調査等の場で無用な誤解や指摘をされないよう事前に準備しておきましょう。

詳細は、お問い合わせ下さい。

 

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