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【就業規則のポイント②】労働時間と休日・休暇のよくある不備や対策をわかりやすく解説!

2022.06.21

2022.06.21

就業規則のポイント2回目の今回は、労働時間と休日・休暇のよくある不備を解説します。

賃金算定の根拠ともなる労働時間や休日・休暇は、就業規則の規定に不備があると、従業員とのトラブルに発展するリスクが高い項目です。
さらに労働時間などは、企業によって定めるべき内容が異なったり、法律の定めが複雑であったりと、正しく定める難易度も高めであると言えるでしょう。うっかり労働基準法に合わない就業規則を作ってしまうと、労働基準監督署の指導勧告などの対象となる危険性もあります。

「きちんと就業規則を作ったつもりでいたのに、不足していてトラブルになってしまった!」とならないためにも、よく不備がありがちなポイントから就業規則をチェックし補強していくことが大切です。

そこで今回は、手始めに確認しておきたい以下のポイントをわかりやすく解説します。

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【今回のポイント】
・【労働時間のよくある不備①】変形労働時間制に関する規定がない
・【労働時間のよくある不備②】休日数が少なく、所定労働時間が法定労働時間を超過
・【労働時間のよくある不備③】始業・終業時刻等の規定がない
・【休日・休暇のよくある不備①】法定休日数を下回っている
・【休日・休暇のよくある不備②】年次有給休暇に関する規定がない
・【休日・休暇のよくある不備③】年次有給休暇が法定を下回る基準となっている
・トラブル回避のために定めたい規定
・あわせて注意したいワンポイント

必ず押さえておくべき不備の多いポイントに加えて、「トラブルの未然防止のため定めるのがおすすめの規定」や、「労使協定の整備状況など就業規則に関連して注意しておきたいポイント」も合わせてご紹介しますので、ぜひご確認ください。

なお、就業規則の基本知識や適用範囲・試用期間のよくある不備について把握したい場合は、「【就業規則のポイント①】適用範囲・試用期間のよくある不備と影響をわかりやすく解説 !」を合わせて確認してみましょう。

よくある就業規則の不備|労働時間編

労働時間とは、従業員が会社の指揮命令下で業務に従事すべき時間のことで、賃金の支払い対象となる時間とも言えるでしょう。労働時間は、休憩時間とともに就業規則に必ず定めなければならない事項として法律で決められています。
就業規則に定めるべき主な内容は、次のとおりです。

・所定労働時間と休憩時間
・交代勤務制度や変形労働時間制度を取っている場合は、その内容

それでは、よくある不備を確認してみましょう。

【労働時間のよくある不備①】変形労働時間制に関する規定がない

よく見受けられるのが、実質的に変形労働時間制をとっているのに、就業規則に変形労働時間制の規定が無いというケースです。

【変形労働時間制とは】
・一定期間の所定労働時間を平均して法定労働時間内であれば、特定の日や週に法定労働時間を超えて働かせてもよいという制度
【例】4月の第1週は法定労働時間の40時間を超えるが、1ヶ月単位で平均すると、週40時間以内に納まる場合


「変形労働時間制を導入する労使協定を結んだから大丈夫!」と、規定を作るのをついつい忘れがちですが、就業規則にも同じ内容を定めるようにしましょう。
就業規則には、変形労働時間制を導入する旨や具体的な勤務シフト・法定労働時間を超える特定の週や特定の日・変形労働時間の起算日などを定める必要があります。

【労働時間のよくある不備②】休日数が少なく、所定労働時間が法定労働時間を超過

休日数が少ないなどの理由で、週の所定労働時間が法定労働時間を超過してしまっている場合なども、就業規則のよくある不備の1つです。

【所定労働時間と法定労働時間とは】
・所定労働時間とは、各企業で定める労働時間で、原則として法定労働時間を超えないように定める必要がある
・法定労働時間とは、労働基準法で決められた労働時間の上限で、1日8時間・1週間40時間


例を挙げると、所定労働日数が週6日の場合は、週の所定労働時間が40時間を超えるため、このままでは労働基準法に抵触するでしょう。
このような場合、速やかに所定労働時間・休日を見直す、または、変形労働時間制を導入するなどの対応が必要です。

1日当たりの労働時間ばかりに着目して就業規則を定めると、うっかり週の法定労働時間を超えてしまいがちになります。1日当たりと1週間当たりの両方の法定労働時間を遵守できているかどうか、必ず具体的に計算して確認しておくようにしましょう。

【労働時間のよくある不備③】始業・終業時刻等の規定がない

所定労働時間は定められているけれど、始業・終業時刻や休憩時間が就業規則に明記されていないというのも、ありがちな不備です。
「始業時間などは、別途シフト表で具体的に定めて従業員に渡しているので、就業規則には『始業・終業時刻や休憩時間はシフト表による』と定めておけばよいだろう」と、考える方も多いでしょう。
特に変則的な勤務シフトになる変形労働時間制などでは、就業規則に始業・終業時刻を定めてないケースが多く見受けられます。
しかし、労働基準法第89条で、始業・終業時刻や休憩時間は就業規則に規定することが義務付けられていることから、このような規定では不十分です。

法律違反の就業規則にしないためにも、必ず勤務時間のパターン(例:早番◎時~◎時、遅番◎時~◎時)まで就業規則に規定しておきましょう。

トラブル回避のために定めたい規定|労働時間編

ここでは、法的に義務づけられてはいないものの、トラブル回避のためにはぜひ定めておくべき労働時間関連の規定3つをご紹介します。

①始業時刻と終業時刻の定義

始業時刻と終業時刻の定義について規定しておきましょう。定義を明確にすることで、始業時刻ギリギリにタイムカードを打刻することや、終業時刻ジャストにタイムカードを打刻すること等のけん制につながるからです。
始業時刻には業務を確実に開始できるよう準備を整えた状態にしておく必要があり、終業時刻になるまで業務に専念する必要があることを、就業規則でも明確にしておくとよいでしょう。

②時間外労働や休日労働の事前申請・承認制

時間外労働や休日労働は事前申請・承認制としたうえで、タイムカード等に打刻された時間は、労働時間としては取り扱わないことがある旨を規定しましょう。
所定の休日に不必要に出社したり、ダラダラ残業をして残業代を稼ごうとしたりすること等のけん制につながります

③時間外労働削減の対策についての規定

時間外労働削減の対策として、喫煙・飲食・居眠り・私用電話等は労働時間とは認めない旨の規定を設けましょう
当たり前と思われるような内容も就業規則に明文化して従業員に共有しておくことで、不必要な時間外への抑止力となり、効率的な業務の遂行につながるからです。

労働時間に関して就業規則とあわせて注意したいポイント

労働時間に関わる就業規則の整備に関連する確認ポイントを2つご紹介します。
次のような就業規則の整備をした場合は、合わせて処理すべき内容があることを覚えておきましょう。

①休憩時間が一斉付与ではない旨の定めをしている場合

休憩時間を一斉付与しない場合は労使協定の締結が必要ですので、労使協定の整備状況を確認しておきましょう。

②1年単位の変形労働時間制を適用する場合

1年単位の変形労働時間制を適用する場合、事業場ごとに労使協定を締結し、所轄労働基準監督署に届出をすることが義務付けられています。手続等に不備がないか確認しておきましょう。

よくある就業規則の不備|休日・休暇編

休日とは、もともと労働しなくてよい日として定められている日のことです。週休二日制の休日などがこれに当たります。一方、休暇とは、従業員が申請することで労働する義務が免除される日のことです。年次有給休暇や育児休暇などが該当します。
休日・休暇関係で就業規則に定めるべき主な内容は、次のとおりです。

【就業規則に定めるべき主な内容】
・休日の日数や付与タイミングな
・休暇の種類や取得方法など

それでは、よくある不備を確認してみましょう。

【休日・休暇のよくある不備①】法定休日数を下回っている

就業規則に定められている休日の日数が法定休日数を下回っている場合も、よくある不備です。労働基準法第35条では、1週1休(または4週4休)以上の休日の付与を義務付けています。これを下回る規定になっている場合は、速やかに規定を見直しましょう。
なお、労働基準法では「週に1日以上の休みを設ければよい」と定められているからと言って、1日の労働時間が8時間なのに週の休日を1日としてしまうと、週の法定労働時間である40時間を超過してしまいます。
不備をなくすためには、法定休日数を上回ることに加えて、法定労働時間を超えないようにバランスを取って休日を定めるようにしましょう。

【休日・休暇のよくある不備②】年次有給休暇に関する規定がない

就業規則に年次有給休暇に関する規定が無い場合、速やかに規定を見直す必要があります。
労働基準法第89条では、就業規則に「休暇(年次有給休暇を含む)」について規定することを義務付けているからです。
また、2019年4月から「年次有給休暇の取得義務化」が施行され、10日以上の年次有給休暇が付与された従業員に対して、年5日の年次有給休暇を取得させることが義務化されていることにも注意しましょう。なお、夏季休暇など、もともと存在していた別の休暇の取得で、年5日の年次有給休暇の取得に代えることはできません。

年次有給休暇について「計画的付与」や「使用者による時季指定」を行う場合は、就業規則に規定する必要があるので、合わせて確認しておきましょう。

【休日・休暇のよくある不備③】年次有給休暇が法定を下回る基準となっている

年次有給休暇については、労働基準法第39条で付与日数や時効に関する定めがあるため、これを下回る規定となっている場合は、見直す必要があります。
労働基準法で決められている年次有給休暇の付与日数は、次のとおりです。

就業規則の規定は、上記の日数を下回らないように定めましょう。
また、年次有給休暇の時効は、労働基準法上2年です。これより早く消滅するような規定を定めないように気を付けましょう。

トラブル回避のために定めたい規定|休日・休暇編

法的に義務付けられてはいませんが、トラブル回避のために定めるべき休日・休暇関係の規定3つを解説します。無用のトラブルに巻き込まれないようにするためにも、ぜひ整備を検討してみてください。

①年次有給休暇の申請期限や確認書類に関する定め

年次有給休暇については、就業規則上で申請期限を定めておくことをおすすめします。
年次有給休暇の申請期限について定めがない場合は、当日や事後申請も認めなければならなくなる恐れがあるからです。
なお、申請期限の定めがない場合、従業員が取得希望日を前日までに指定すれば、無条件で与えなければならないことになっています。
取得希望日が集中したり取得日の間際に申請されたりすることなどによる業務混乱を避けるため、申請期限を設定する(例:「1週間前までに申請しなければならない」等を規定する)のが望ましいでしょう。

なお、私傷病を理由に当日又は後日の年休申請を頻繁に行う従業員に対応するため、確認書類(例:医師の診断書等)の提出を求めることがある旨も合わせて規定しておくことをおすすめします。提出がなければ無断欠勤や遅刻として取り扱う旨を規定することで、従業員に対するけん制効果があるからです。

②半日単位年休の規定を定める際の始業・終業時刻、休憩の有無等の規定

半日単位の有給休暇について、労務管理上のトラブルを回避するため、半休取得時の始業・終業時刻について規定することをおすすめします。
半休に関する半日の明確な定義はなく、各企業で定めることができるため、半日休むときのルールを明確にしておかないと従業員に誤解を生じさせるからです。

③特別休暇についての付与の起算日

特別休暇について規定する際は、付与の起算日を設けることをおすすめします。特別休暇の付与は法律で定められたものではなく、各企業の判断で設けるものなので、ルールを明確にしておく必要があるからです。
起算日を明確に定めておかないと、従業員は各自の判断で、バラバラのタイミングで申請してしまうでしょう。人によっては、企業側の想定とはかけ離れたタイミングで申請するなど、濫用されてしまうリスクもあります。

休日・休暇に関して就業規則とあわせて注意したいワンポイント

ここでは、休暇に関わる就業規則の整備に関連する確認ポイントを2つご紹介します。
就業規則に次のような内容の規定を整備した場合は、合わせて労使協定の確認を行うことを忘れないようにしましょう。
①時間単位年休
時間単位年休を定める際は、労使協定の締結が必要となっています。年休を取りやすくする時間休ではありますが、まとまった休暇を取得させるという年次有給休暇の趣旨からは、ずれるためです。
労使協定では、対象となる従業員の範囲や時間休として取得できる日数・1日分の年休を何時間の時間休に置き換えるかなどを決める必要があります。なお、労働基準監督署への届け出は不要です。
労使協定が適正に整備されているか、確認しておきましょう。

②5日を超える部分にかかる年次有給休暇の計画的付与
5日を超える部分にかかる年次有給休暇の計画的付与について規定する場合は、労使協定の締結が必要となります。年休の取得時期を一部とはいえ企業側が決めてしまうので、合意が必要なのです。
労使協定では、計画的付与の対象となる従業員の範囲、計画付与日数や方法・時季、対象外となる場合の取扱いなどを決める必要があります。なお、労働基準監督署への届け出は不要です。

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労働時間と休日・休暇について就業規則を不備なく定めるためには、法定労働時間や法定付与日数など、法律の複数の条件をきちんと確認しておくことが大切です。また、法律で義務付けられていなくても、トラブル回避に役立つ規定は積極的に整備することをおすすめします。
「不備があるかどうか、よくわからなくて不安」・「もっとリスクを予防できる就業規則にしたい」という場合は、TOMAコンサルタンツグループの就業規則無料診断サービスをご活用ください。

 

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 【監修】

渡邉 哲史

・TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役 
・TOMA社会保険労務士法人 代表社員 特定社会保険労務士

経歴

明治大学法学部卒業。大手人事コンサルティング会社において、アウトソーシング部門、顧客サービス部門等で数百社のクライアントに対し、人事・労務指導や人事コンサルティングに携わり多くの経験を積む。現在、TOMA社会保険労務士法人 代表社員として部門業績達成と部下育成のマネジメントのほか、顧問先20社超に対する労務管理指導、クライアントに対する就業規則をはじめとした諸規則作成、働き方改革指導、人事制度構築コンサルティング、セミナー講師等で活躍。中小企業の活性化こそが日本社会全体の活力を生むと考え、日々尽力している。

著書・執筆協力・監修

「会社の“本気”を後押しする 過重労働防止の実務対応」 (清文社)
「未払い残業代対策と残業代削減」 (日本経済新聞出版社)
「全社員・職員で学ぶ!マイナンバー漏洩対策 DVD」(日本経済新聞出版社)
「R&D部門の働き方改革とその進め方」(技術情報協会)
「Profession Journal (Web情報誌)」(清文社・TAC)
YouTube「事業継続のための希望退職募集方法」「雇止め・整理解雇の進め方」  ほか

主な講演実績

令和 3年 4月 はじめて取り組む『雇用シェア』の留意点と支援策(東京商工会議所主催)
令和 3年 4月 同一労働同一賃金を踏まえた制度設計セミナー(TOMA主催)
令和 3年 4月 事業継続のための人件費削減セミナー(TOMA主催)ほか

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