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有給休暇取得の義務化と対策について

記事作成日2016/02/06 最終更新日2016/04/06

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◆年次有給休暇取得義務化について
 労働基準法改正案の一つに有給休暇取得の義務化があります。
いつ改正案が施行されるか、まだ決定していませんが、厚生労働省は2016 年度から有給休暇の取得を義務付けるよう動いています。有給休暇取得の義務化とは、企業に対して、従業員に有給休暇を取得させることを義務付けるものです。取得日数は年5 日とする方針で、有給休暇の付与日数が10 日以上である従業員が取得義務の対象となる予定です。有給休暇未消化の従業員が多い企業については罰則規定も設けられる予定のため、義務化に伴う対応が必要となります。

◆年次有給休暇取得義務化の背景
 年次有給休暇取得義務化の背景には、有給休暇取得状況の改善と、過重労働の抑制にあります。厚生労働省が発表した平成27年「就労条件総合調査」の結果(平成27 年1 月1 日時点)によると、労働者1 人あたりの有給休暇平均付与日数は18.4 日、そのうち従業員が取得した日数は8.8 日で、取得率は47.6%となりました。政府は2020 年までに有給休暇の取得率を70%にする目標を掲げており、目標達成は厳しい現状にあると言わざるを得ません。また、過重労働の抑制には、有給休暇の取得率が低い労働者ほど長時間労働となっている比率が高いという傾向にあります。以上のことから、有給休暇の取得義務化が改正案に盛り込まれたという背景があります。

◆義務化に伴う企業の対策とは
 有給休暇取得義務化の方針に伴い、今後企業は、各従業員の有給休暇の取得状況を確実に把握する必要が生じます。このような状況を把握した上で、従業員の取得時期について情報共有を行い、業務量を調整する仕組みをつくること、有給休暇の計画的付与制度を導入すること、記念日休暇などの特別休暇と有給休暇を効果的に組み合わせることなどを通じて、従業員が有給休暇を取得しやすい環境整備を行っていくことが重要です。

◆有給休暇に関するトラブル防止
 有給休暇取得義務化の対応と併せて、重要なことは有給休暇取得に関するトラブルの未然防止です。よくある代表的なトラブルは、退職時に大量の未消化分の有給休暇を請求されることや、繁忙期に有給休暇を請求されてトラブルになるケースなどです。いずれも有給休暇の取得ルールが不明確であることや、就業規則にきちんと規定が設けられていないことで発生するトラブルです。

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