税務調査は拒否できる？任意調査の真の意味とは

記事作成日2020/03/25 最終更新日2021/03/29

節税方法を検討している時に突然現れる税務調査。しかし、税務調査と聞くと何だか不安になる方も少なくありません。そんな時に、拒否することはできるのでしょうか？そこで今回は、税務調査は拒否できるかを中心に解説していきます。

税務調査は拒否できるの？

では、果たして税務調査は拒否できるのでしょうか？早速見ていきましょう。

まず税務調査の種類は大きく分けて強制調査と任意調査の2つがあります。

強制調査はマルサ(国税局査察部)によって、納税者の意思とは否応なしに行われる調査です。それに対して任意調査は、予告しない無予告調査と前もって予告する事前予告調査にわかれますが、どちらも納税者の許可が要ります。

その中で、実施される税務調査のほとんどが任意調査です。そのため、任意なら拒否しても大丈夫なのではと思う方もいるでしょう。

しかし税務調査が任意だったとしても簡単には拒否することはできません。その理由は、税務職員が「質問検査権」を有しているからです。

この質問検査権に関する法律条文(国税通則法第74条の2)を要約すると

税務職員は調査に関して必要な場合は、帳簿書類やその他の物件の検査を行う。また帳簿書類の提示や提出を求めることができる。

と言う旨の文言が記されています。要するに、税務職員は税務調査のために検査、提示、提出などを求めることができるのです。このように税務職員は納税者に対して強い権限を持っています。

ですが、そこで気になるのが条文の最後の部分である「できる」という文言です。あくまで「できる」というのは「しなければならない」という強制の表現ではないので拒否できるのではと思ってしまいます。では、実際に拒否できるのかと言われるとなかなか難しいところがあります。

税務調査が任意となっている場合でも、ほぼ強制で拒否することはできません。なぜなら、納税義務者には受忍義務があるからです。

この受忍義務に関する法律条文(国税通則法第128条)を要約すると以下の通りです。

次に当てはまる人は1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科される可能性があります。

したがって、上記のように拒否したり虚偽の報告をすると罰則を受けてしまうのです。一般的に罰則を受けたい方はいないので拒否はできません。ですので、任意でも事実上は強制に近いといえます。

ほぼ強制の税務調査。その際に何でも言う事を聞かなければいけないのでしょうか？例えば、税務調査の際に「私物を見せて」などと言われた場合は見せる必要はあるのでしょうか？

たとえば法人税の調査の際に「社長個人が使っている預金通帳を見せてください」と言われたときに見せる必要はありません。なぜなら税務調査は、事業に関するものだけ認められているからです。

税務調査はあくまで事業に関する申告が正しくされているかをチェックするために行う調査です。そのため、代表者の所有物を何でも調査して良いわけではありません。

税務調査のときには、税務職員は見たいものに対して必ず許可を求めてきます。その際には、納得できるなら受け入れて、疑問に思った場合は「どうして見るんですか？」と理由を聞いてみるといいでしょう。そうすれば開示するものが必要最小限で済みます。

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