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M&Aの価格算定

記事作成日2017/07/10 最終更新日2017/07/10

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◆身近になったM&A

 M&A(Mergers and Acquisitions:合併と買収)の市場が急速に広がっていくのを感じます。中小企業の皆様や地方金融機関から、M&Aの話題が当たり前に上がります。さらに、近頃ではどなたでも会社の売買をご自身でマッチングできるインターネットサイトまで存在します。まるで、企業をインターネットショッピングできるようなものです。このようにM&Aが身近になったということは、裏を返せば「よし、自分もやってみるか!」というスタンスで、市場参入しているプレイヤーも多く存在することを意味します。そこにはリスクも多々存在していると言えます。

◆ M&Aの適正価格

 そもそも、売る側、買う側、双方にとって適正な売買価格はどのように設定するのでしょうか? 企業評価の方法には幾つかの理論があります。ですが、絶対的な評価方法というものは存在しません。実態の決算数字のみならず、時代背景、タイミング、交渉力といったさまざまな要因によって譲渡価格は変化するのです。

◆適正価格の算定方式

 多様な適正価格算定方式の一部を次に取り上げてみます。

(1)DCF(Discounted Cash Flow)方式
 一定期間の利益計画から、将来見込まれるキャッシュ・フローを、適切割引率で現在価値に還元します。投資採算性検討には望ましい方式と言えますが、精緻な将来見通しが非常に重要になります。
(2)収益還元方式
 事業計画書に基づいた将来の予想利益(税引後利益)を基本に、1株あたりの予想利益を適切な資本還元率によって還元します。
(3)市場価値方式
 株式市場の株価により算定します。算出済の株価を基礎とするため評価が簡易ですが、必ずしも企業価値を適正に表しているとは限らないので注意が必要です。
(4)類似会社比準方式
 対象企業と比較的類似する会社を複数選択し、これらの株価と比較することで算定。対象企業が未上場会社である場合に利用します。上場会社や類似性が少ない未上場会社には不適切な場合もあります。

 企業の実態精査を入り口に、最適な手法で、適正評価を下す。身近になった世界だからこそ、相談先は慎重にお選びください。

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