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経営者が残すべき遺言書とは? 書き方や保存法、経営者が注意すべき点とは何か

2021.10.12

2021.10.12

事業承継をスムーズに行う上でも重要となる遺言書。そもそも遺言書とは何なのか、なぜ残すべきなのか。経営者が後継者に対して遺言書を残す際に注意したほうが良い点も含めて徹底解説したいと思います。

遺言書とは何か?書くべき内容は?

そもそも遺言書とは何なのでしょうか。
遺言書とは、生前に行った自己の相続財産の処分などに関する意思を示す書類です。
遺言を残さない場合、あなたが残した財産は民法で決められた割合で相続されます。以下のような方は遺言書を残すことをお勧めいたします。

1.相続人が大人数となる場合
相続人の数に比例して相続争いが起きる可能性が高くなるからです。

2.相続人間の感情的対立が予想される場合
①夫婦の間に子供がいない場合
②再婚をし、先妻の子と後妻(の子)がいる場合…etc

3.相続人の中に行方不明者がいる場合
行方不明者に相続される遺産をめぐり争いが起きるからです。

4.相続人同士が遠方に住んでいる場合
相続人全員が集まり、遺産相続協議をしなければならないからです。

5.相続人の中に認知症や精神障害等で、判断能力を欠く者がいる場合
遺産相続協議に参加することが難しいからです。

6.相続人以外の人に財産を渡したい場合
長男の妻(お嫁さん)や内縁の妻など

7.相続人の相続割合を調整したい場合
生前にお世話になった相続人に、より多く遺産を残すことができます。

8.事業を行っていて、株式を持っている方
自社株式を所有している場合、経営に大きな影響を与えます。

遺言書に記載することで、法的に効果があるのは『遺産分割方法の指定』や『相続分の指定』など限られています。 遺言執行者の指定だけをすることも可能です。

遺言書を残すタイミングはいつが良いのか?

遺言を残すことができるのは、『15歳以上で遺言を作る意思能力のある人』。 日本は長寿大国ですが、健康寿命は平均寿命より男性が9.13年、女性が12.68年も短いというのが現状です。中でも脳の機能が著しく衰える「認知症」には注意が必要です。認知症が進行した状態で遺言書を書いても「遺言能力なし」と判断されることがあるからです。

その他にも、持病の症状や遺言作成までの経緯、状況で遺言が無効になるケースがあります。また、日本人の死因の10〜20パーセントがいわゆる『突然死』※1と言われており、誰もが終活の時間を十分に取れるわけではありません。遺言書はなるべく “健康”な時に作成するのが良いでしょう。

※1 参考:日本職業・災害医学会会誌JJOMT Vol. 62, No. 1「全国労災病院データからみた急死例の検討」http://www.jsomt.jp/journal/pdf/062010057.pdf

遺言書を残すメリット、残さないデメリット

では、なぜ遺言書を残したほうがいいのでしょうか。

遺言書を残すメリット


1.相続争いを回避できる

遺産相続をめぐる争いは、ドラマの出来事ではなく、実際に頻発しています。

2.財産を自分の意志に合わせて分配・処分できる

法律的に相続人ではない人生の恩人や後継者に自分の遺産を分配できます。

3.相続手続を簡便にできる

遺産分割協議の手間が省けるだけでなく、法務局の保管制度を活用したり、公正証書遺言にすることで家庭裁判所の検認が不要となります。

遺言書を残さないデメリット


1.家族同士の相続争いが起こる可能性がある

普段仲が良さそうな親族同士であっても、争いになるのが遺産相続です。

2.相続人以外に財産を譲ることができない

遺言書を残さないと相続人以外に遺産を譲ることはできません。

3.相続手続きがうまく立ち行かなくなる

相続人が遠方に暮らしていたり、たくさんいると相続手続きが複雑になります。 遺産分割協議を行い、相続人全員が合意しなければ相続は完了しません。 相続人に未成年者がいると、家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければなりません。

経営者は必ず遺言書を残すべき

遺言書のメリット・デメリットを理解すると、「やっぱり残しておくべきだな」と感じるでしょう。 中でも、会社を経営している方は必ず遺言書を残すべきです。

では、一般の方と経営者が残す遺言書に大きな違いはあるのでしょうか。内容や記述手順、保管方法の違いはありませんが、経営者は一般の方よりも多角的な視点で遺言書を作成する必要があります。

経営者は不動産や特許権、許認可といった権利関係、株式などの金融資産と財産の内容が多岐にわたることが多いためです。また、事業を継続するために借入金やリース未払金などマイナスの財産があることも少なくありません。それらは相続人の負担となるため、対策を講じておく必要があります。

自社株式を100%取得している場合は、さらに注意が必要です。

中小企業オーナーにとって、株式は「個人の資産」であると同時に、「会社の経営権」でもあります。相続によって株式が分散すると、経営面において思わぬリスクが発生しかねません。

例えば、持ち株比率が50%(2分の1)を超える場合、取締役の選任や解任など会社の意思決定のほぼ全てを行うことができます。経営者が親族ではなく、社内の生え抜き社員や外部から招いているという場合は、自社株は全て経営者に引き継ぐといった遺言書を残すべきです。

以上のように、経営者は経営面と資産面の両方を考慮に入れて相続を検討するようにしましょう。

自筆証書遺言の書き方、気をつけるべきポイントは?

では、遺言書はどのようにして書くべきでしょうか? 遺言書を開封するとき、被遺言者は現世にいないため、内容の真意を確かめられません。

そのため、遺言書は被相続人の意志がはっきりと伝わるように記載する要件が法律で厳しく定められています。 法的に有効と判断される「遺言事項」が守られていない場合、遺言書は無効となってしまいます。

その他の遺言書作成で注意すべき事項についてのチェックリストをご用意しております。是非ご活用ください。

「遺言書作成の注意事項チェックリスト」の資料はこちら

遺言書の作成方法

現在、遺言書の作成方法は3種類あります。

その1.自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者自身がその全文、日付を自書し、印(認印でも可)を押して作成する遺言のことです。 財産目録だけはパソコンで作成することができます。

費用もかからず、自宅で作成できるのが最大の特長です。 しかし、書き方には厳密なルールがあり、不備があれば遺言書として認められません。 また、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認手続きが必要です。

その2.公正証書遺言

遺言者が公証役場の公証人に遺言内容を口で伝え、公証人が遺言者から聞いた内容を遺言書として作成する方法です。 遺言の専門家が作成するため無効になることが少なく、遺言の内容について公証人の助言を受けられます。 一方で、公正証書遺言は作成に時間や費用がかかり、作成費用は相続人の人数や遺産総額によって変動します。

その3.法務局における自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度です。 自筆証書遺言を保管することで、紛失・廃棄・隠匿・改ざんを防げるだけでなく、家庭裁判所での検認が不要となります。 被相続人が他界すると、遺言書保管所から相続人に遺言書がある旨の通知が行われます。

遺言書を預かる際、法務局員は民法で定められている自筆証書遺言の形式要件を満たしているかどうかを確認します。 形式不備による遺言書の無効リスクを軽減することが可能です。

デメリットは法務局に本人が遺言書を提出しなければなりません。 また、チェックはあくまで簡便的で内容についてはチェックされないので、専門家の意見を聞きたい場合には公正証書遺言がおすすめです。

TOMAでは公正証書遺言または法務局における自筆証書遺言保管制度をすすめています。

自筆詔書遺言書は紛失・改ざんのリスクがあるのに加え、遺言の法的要件を満たせない可能性が高いため、おすすめできません。

生兵法は怪我の元!遺言書は専門家に相談すべき

遺言書は、相続税などの観点からとりあえず会社の税理士に相談しようと思う人も多いと思います。もちろんそれもありですが、税理士のアドバイスは相続税など金銭面がメインになることが多いのが現状です。

遺言書には事業承継をはじめ、相続争いの回避、家族への想いなど多角的な視点で作成しなければなりません。もし、相談をした際に「金銭面のみのアドバイスだったな」と感じたら、遺言書の作成に精通した専門家に相談して見てはいかがでしょうか。

TOMAでは創業から40年、税務、民法、会社法とあらゆる観点から遺言書に関するアドバイスを続けてきました。過程で得た知見やノウハウを活用してお客様にとって最善のアドバイスを提供致します。

どんな些細な質問でも構いません。初回相談は無料なので、遺言書の作成を検討している方はぜひ一度ご相談ください。

監修 TOMA行政書士法人

中小企業のビジネス法務に特化した業務を担当。
経験豊富な行政書士が在籍し、分かりにくい行政手続きの相談から実際の手続きまで幅広く業務を行っている

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