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取締役会の開催にはどのようなルールがあるか

記事作成日2018/03/29 最終更新日2022/03/10

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取締役会とは、株主総会で選任された3以上の取締役で構成される、会社の意思決定機関です。取締役の全員をもって構成され、その会議における決議によって業務執行に関する会社の意思を決定します。また、取締役の職務執行を監督する重要な機関であるため、そのあり方が会社法で細かく規定されています。

決議事項

取締役会では、以下の「会社の業務に関する重要事項」を意思決定します。

会社法362条で定められているものは、以下のとおりです。

・取締役会設置会社の業務執行の決定
 ・取締役の職務の執行の監督
 ・代表取締役の選定及び解職
 ・重要な財産の処分及び譲受け
・多額の借入
・支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
・支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止

会社法362条以外に定められている主な取締役会決議事項は、以下のとおりです。

・株主総会の招集(会98条4項)
・取締役の競業取引の承認(会356条)
・取締役の利益相反取引の承認(会365条1項)
・計算書類等の承認(会436条3項)
・その他、重要な各種契約締結の承認

取締役会の開催、招集権限

代表取締役その他業務執行権のある取締役は、3か月に1回以上職務執行の状況報告をしなければならないため、3か月に1回以上は取締役会を開催する必要があります。(会363条2項)。

取締役会の招集は、各取締役が行うことができます。ただし、取締役会を招集する取締役を定款または取締役会で定めている場合は、その取締役が招集します(会366)。

取締役会の1週間前に取締役及び監査役に対してその通知を行う必要があります。この招集期間は、定款で1週間未満の招集期間を定めた場合はその期間内で招集することも可能です(第368)。また、取締役の全員の同意がある場合には、招集の手続き自体を省略することができます(368条第2項)。

議決方法

取締役会は、決議に参加できる取締役の過半数が出席し、出席した取締役の過半数により決議します。したがって、必ずしも取締役全員が集まる必要はありません。

では、取締役の一人が取締役会に参加できないため、議案について賛成の旨を「書面に記載」して提出した場合、取締役会決議の効力はどうなるでしょうか。

取締役会は、各取締役相互の議論により適切な業務意思決定をすることを目的としているため、事前に書面で決議の賛否を提出しても無効になります。一部の取締役のみ、書面で議決するという決議方法は認められません。

例外的に書面での決議が認められる場合として(会370)、

・定款に定める
・ある取締役が取締役会の議案を提案
・その提案について取締役全員が同意し、かつ監査役全員が異議を述べないとき

上記の3つの条件に該当する場合のみ、その議案について取締役会決議があったものとみなすことができます。

取締役会で決議される事項に関して特別な利害関係のある取締役がいる場合、該当する取締役は議決に参加できません。取締役は会社に対して忠実義務を負っているため、当該議決に個人的な利害関係を有している場合は、当該議決に際して適切な判断がなされない恐れがあることから、その取締役はその議決には加わらないこととしたものです。

決議について「特別の利害関係」を有する取締役は、議決に加わることができず(会369条2項)、その決議事項について、定足数からも除外されます 。このような場合に、特別利害関係取締役が議決に加わったときは、その決議は無効となります。

取締役会開催の流れ

取締役会は、以下の流れで開催します。

締役会の招集を決定する

1.取締役会の議案、開催日時、場所を決めます。
2.議決権の行使方法について決定する 

議決権の行使は、次の2つの方法を選択できます。

・取締役会へ出席し意思表示を行う
・電話会議等で出席し意思表示を行う

なお、株主総会とは異なり、取締役会での議決権は代理人に委任することはできません。取締役は、それぞれの資質、能力により株主総会で株主によって選任された者であるため代理人による議決権の行使は認められないのです。

3.取締役・監査役に招集通知を送付する

各役員への招集通知手段は、書面、電磁的方法も可能です。招集手続きを省略することもできます。

4.取締役会を開催し決議、議事録の作成

取締役会での意思決定がどのように行われたかを明確にするため、各取締役及び監査役の発言の要旨について後日取締役会議事録に記載する必要があります。取締役会議事録の場合、出席した取締役・監査役は必ず署名又は記名押印、もしくは電子署名をしなければなりません(会369)。

取締役会議事録を作成する意義は、 取締役会の議事の経過等の要領を書面又は電磁的記録によって明らかにすること、取締役、監査役、株主又は債権者等に閲覧・謄写させることにより、取締役相互又は監査役若しくは株主による取締役の業務の監督の実効性を高めること及び会社債権者による役員等の責任を追及することになります。

また、代表取締役選定の登記などの取締役会設置会社の登記の際に、取締役会議事録等が添付書類として要求されているものがあります。取締役会議事録等を作成することは登記手続上でも重要です。

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