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株主総会での代理人による議決権行使、不統一行使

記事作成日2017/05/16 最終更新日2020/01/21

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株主総会で議決権を行使することは、株主の重要な権利の一つです。その議決権の行使の仕方に関して、特殊なケースを紹介します。

①代理人による議決権行使

株主総会の議決権は、株主が代理人を指名して、その代理人に行使させることも可能です。

これは、株主の権利である議決権行使をより確実にするためのものです。

代理人を指名して、代理人に議決権を行使させる場合、株主または代理人は、「代理権を証明する書面」を株式会社に提出しなければなりません。また、代理権の授与は株式総会ごとにしなければならないため、「代理権を証明する書面」も株主総会ごとに提出します。

(1)代理人を株主に限定する旨の定めについて

中小企業などでは、株主が指名する代理人を「株主に限定する」というように、定款に規定しているケースがあります。この趣旨は、見ず知らずの方が代理人に指名されて、株主総会の議事進行が乱されることを避けることにあります。

このように代理人に指定できる人を限定することも、「相当な制限」であるとして、判例では認められています。

(2)株主以外の議決権行使と「代理人を株主に限る」旨の定款の定め

代理人を株主に限ると定款で限定した場合でも、以下のケースでは定款に反しないと認定されました。

・株主である地方公共団体が、株主ではない職員を代理人とする場合

・弁護士を代理人とする場合

「代理人を株主に限る」と限定する趣旨が(1)に記載の通りですので、その趣旨に反しない限り、株主以外のものに代理権を行使させることも許容されます。

②議決権の不統一行使

例えば、株主Aが100株保有しており、取締役を選任する議案で、50株分を賛成票に投じ、50株分を反対票に投じることは、議決権を「不統一行使」するといいます。

原則として、会社法では不統一行使を認めていますが、以下の場合、会社は不統一行使を拒むことができます。

○株主が総会開催日の3日前までに、「不統一行使を行う旨」及び「その理由」を会社に通知しない場合(取締役会設置会社の場合)

○その株主が他人のために株式を保有している株主でない場合