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本店移転をする場合、どのような手続きが必要か

記事作成日2018/09/06 最終更新日2021/04/07

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1)本店移転をすると定款変更が必要か

会社の本店所在地は、定款の絶対的記載事項です。

ですが、会社の本店所在地を移転する場合に、必ず定款の変更が必要になるわけではありません。というのも、定款では、最小行政区画まで(東京都の場合には特別区、政令指定都市は市まで)を記載すれば足りるからです。

例えば、定款に「本店を東京都千代田区に置く」と規定されている場合、同じ東京都千代田区内で本店を移転するのであれば、定款の変更は必要ありません。

一方、定款に具体的な住所の末尾までを記載している場合や、他の市町村に移転するような場合には、定款を変更しなければならないことになります。本店移転に伴い定款変更が必要なケースでは、移転登記手続きを行う前に、株主総会を開催し、特別決議によって定款を変更する手続きを行わなければなりません。特別決議とは、議決権を行使できる株主の過半数が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成で行う決議です。

例えば、以下のような場合は定款変更が必要です

①定款記載:「東京都千代田区丸の内A番B号」→「東京都千代田区丸の内A番D号」に移転
②定款記載:「東京都千代田区」→「東京都港区」に移転

また、本店を移転するときには、取締役会において、本店の具体的な移転場所及び移転日を決めることになります。取締役会を設置していない会社では、取締役の過半数の一致をもって決議を行います。

2)本店移転と登記申請

本店移転の登記申請のパターンは、「移転前の本店(旧本店所在地)と移転後の本店(新本店所在地)を管轄する法務局が同一か否か」によって大きく分けられます。

①同一管轄内で本店移転する場合

移転前の本店(旧本店所在地)と移転後の本店(新本店所在地)を管轄する法務局が同一である場合は、その法務局に本店移転の登記申請をします。

②異なる管轄内で本店移転する場合

本店を他の法務局の管轄区域内に移転する場合は、移転前の本店(旧本店所在地)の法務局あての申請書と、移転後の本店(新本店所在地)の法務局あての申請書の2通を作成し、両申請書を同時に旧本店所在地の法務局に申請します。

必要となる主な書類は以下のとおりです。

【旧本店所在地申請】

・本店移転登記申請書
・株主総会議事録
・取締役会議事録又は取締役の決定書
など

旧本店所在地の法務局から印鑑カードの交付を受けている場合は、本店移転登記により使用することができなくなるので、本店移転の登記申請の際に、旧本店所在地の法務局に返納しなければなりません。

【新本店所在地申請】

・本店移転登記申請書
・印鑑届書
など

管轄の法務局が変わった場合には、印鑑カードを引き継ぐことができないので、新たに印鑑カードを発行してもらうために、印鑑カード交付申請書も必要になります。