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有限会社を株式会社に変更する場合どのような手続きが必要か

記事作成日2018/09/06 最終更新日2021/06/24

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平成18年5月1日の「会社法」施行とともに「有限会社」という会社形態は廃止され、新たに「有限会社」を設立することはできなくなりました。会社法施行時にすでに存在していた「有限会社」は、「特例有限会社」として存続することになります。

1)特例有限会社から株式会社へ

まず、株主総会で「有限会社」を「株式会社」に変更する定款変更の手続きが必要です。定款変更を決議する場合、特別決議が必要ですが、特例有限会社の場合、総株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合はその割合以上)であって、当該株主の議決権の4分の3以上の多数の賛成が必要です。

株主総会の特別決議によって定款を変更して株式会社としたあと、本店の所在地においては2週間以内に、支店の所在地においては3週間以内に、特例有限会社については解散の登記を、株式会社については設立の登記をしなければなりません。この場合、特例有限会社の解散の登記と株式会社の設立の登記は、同時に申請しなければならず、いずれかに却下事由があるときは、共に却下されることになります

また、株式会社への移行のために商号を変更する定款の変更と同時に、目的、役員、発行可能株式総数、株式の譲渡制限に関する規定、その他の登記事項の変更が生じる場合には、同時に登記申請することができます。株式会社への商号変更の登記と同時にする登記事項の変更登記には、別途登録免許税は課せられないので、その他の登記事項に変更が生じる場合には、株式会社への移行と併せて変更しておいたほうが費用軽減となります。

ただし、本店移転登記については、管轄外への移転かどうかを問わず、一括申請できません。設立される株式会社の履歴事項全部証明書は、有限会社の商号・商号を変更した旨が登記されますが、有限会社の本店を移転した旨の登記がされないため、登記簿上の連続性が確認できないという不都合が生じるからです。

なお、設立の登記とはいえ、株式会社を新設するわけではないため、定款認証は不要です。

印鑑カードについてですが、特例有限会社が株式会社に組織変更する場合、印鑑カードを引き続き使用することはできなくなります。

特例有限会社には役員の任期制限はありませんが、株式会社には任期があります。特例有限会社から株式会社へ移行後の定款の任期規定に基づき、特例有限会社の設立時からの役員は設立登記時から、設立後に就任している役員は選任時から起算した任期が適用されます。

よって、特例有限会社から株式会社への移行時に定款の任期を超えている役員は、任期満了により退任することになります。このような場合には、株式会社への移行に関する定款変更の決議を行う株主総会において、移行が効力を生じることを条件とする役員選任を行います。

2)株式会社へ商号変更することのメリットとデメリット

【株式会社に商号変更することのメリット】

①株式の譲渡制限に関する定款の定めを廃止し、公開会社となることができる。
②取締役会の設置、会計参与の設置、会計監査人の設置等が可能となる。
③他社を吸収合併すること、他社の事業を吸収分割により承継することができるようになる。
④株式交換、株式移転をすることができるようになる。
⑤特別清算制度の適用がある

など

【株式会社に商号変更することのデメリット】

①取締役の任期(選任後2年、定款で10年まで伸長可)、監査役の任期(選任後4年、定款で10年まで伸長可)定期的に役員の変更登記が必要になる。
②休眠会社のみなし解散の規定が適用される。
③決算公告が必要。

など

株式会社に移行の手続をした後は、有限会社に戻すことはできませんし、株式会社へ移行することで発生するデメリットもありますので、これらを充分考慮した上で、株式会社へ移行をするかを判断するべきでしょう。