支店とは
「支店」とは、本店とは別に独自に営業活動を決定し、対外的な取引などができるなどの実質を備えるものとされていますが、会社法においても厳密に定義されているわけではありません。
例えば、営業担当者の詰所、営業所や出張所は通常、上記のような実質的な機能を有していないので「支店」とはいえず、そのような拠点について支店登記はできません。
支店として登記することのメリットは、支店には支配人を置くことができ(会10条)、本店とは独立して支店の支配人に法律行為や訴訟行為を行う権限を与えることができる(会11条)という点にあります。
支店を設置する場合
支店設置の登記申請をするためには、具体的な設置場所や設置時期など支店設置に関する事項を決定する必要があります。これらの事項については、取締役会設置会社においては、取締役会の決議で、取締役会非設置会社においては、取締役の過半数の一致で決定します。
会社の支店を設置したときは、その支店を設置した旨の登記申請をしなければなりません。支店設置の効力発生日から本店の所在地においては2週間以内に、支店の所在地においては3週間以内に登記申請をしなければなりません。
ただし、本店所在地の法務局宛ての分と、支店所在地の法務局宛ての分を一括して、1通の申請書を作成し、本店所在地の法務局に申請することで、本支店一括登記申請をすることもできます。
支店登記簿に登記されるのは、以下の5つです。
① 商号
② 本店所在地
③ 会社成立年月日
④ 支店所在地
⑤ 登記記録に関する事項
本店と支店の管轄法務局が異なる場合に、支店を設置している会社が商号を変更したとき、本店の管轄法務局で商号変更の登記をしても支店の登記簿の商号は、自動的に変わることはありません。支店を設置している会社が支店の登記簿に記載されている事項を変更するときは、本店だけではなく支店の登記簿の変更登記申請も同時にしておかなければなりません。
支店を廃止する場合
支店の登記をしている会社がその支店を廃止したときは、その支店を廃止した旨の登記申請をしなければなりません。登記期間は、支店設置の場合と同じです。支店廃止は、取締役会設置会社においては取締役会、取締役会非設置会社においては取締役の過半数の一致で決定します。
本店の管轄法務局とは異なる法務局が管轄する場所に支店を設置したときは、本店所在地を管轄する法務局及び支店所在地を管轄する法務局の両方に登記申請が必要になります。
支店を管轄する法務局においての登記を怠ると、本店の登記簿上は支店が廃止されているのにも関わらず、支店の登記簿が存在することになってしまいます。支店廃止の登記申請も支店設置申請と同様に、本支店一括登記申請をすることもできます。
廃止すべき支店に支配人を置いている場合は、本店所在地の法務局に対して
①支店廃止の登記
②支配人の登記(支配人を置いた営業所の廃止登記)
を同時に申請する必要があるので、注意が必要です。