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基本給連動型の退職金制度の弊害
約40%の企業で退職時の基本給と勤続年数に基づいた退職金を支給しています。(令和4年 東京都 中小企業の賃金・退職金事情)
一般的な基本給連動型の退職金制度の算定方法
算定式: 退職時基本給 × 勤続年数に応じた係数 × 自己都合退職係数(自己都合退職場合のみ)
[例]
退職事由:定年退職
退職時基本給:50万円
勤続年数:35年(勤続年数に応じた係数:25)
50万円×25=1,250万円
この基本給連動型の退職金制度は、次の問題点がありました。
・基本給が退職金額に影響を及ぼすため、賃金制度の見直しやベースアップを柔軟に実施することができない
・退職時の基本給と勤続年数が同じであれば、早く出世し長い間、会社に貢献した社員と遅く出世した社員とで退職金額に差がつかない
・短期間の頑張りや成果などが反映されない(貢献度が積み上がる仕組みでない)
以上のように賃金制度の改定の足枷となり、貢献度が適切に反映されない仕組のため、ポイント制に切り替える企業の割合が増えてきています。
貢献度が適切に反映されるポイント制退職金制度
ポイント制とは、毎年、等級や評価、勤続年数などに応じてポイントを社員に付与し、退職時に溜まったポイントに基づいて退職金額を決定する方法です。
一般的なポイント制の退職金制度の算定方法例
算定式:退職時累積ポイント × ポイント単価 × 自己都合退職係数(自己都合退職場合のみ)
[例]
退職事由:定年退職
退職時累積ポイント:1,250ポイント
ポイント単価:1万円
1,250ポイント × 1万円 =1,250万円
ポイントの仕組みについて
毎年、溜まるポイントについては、会社が重視する要素から決定します。
具体的には、下記の要素を組み合わせたりしてポイントを設定します。但しポイント管理が負担とならないよう、2つほどに絞ることが肝要です。
主なポイントの要素
・勤続ポイント:勤続年数に比例して付与するポイントも多くなります。
・等級ポイント:役割、職能、職務などの等級が上位になるほど付与するポイントも多くなります。
・役職ポイント:上位の役職になるほど付与するポイントも多くなります。
・評価ポイント:1年間の評価結果が高いほど付与するポイントも多くなります。
よって、ポイント制退職金制度は、1年間の貢献度が積み上がる仕組みとなっています。
(等級・役職ポイントについても1年間、困難な役割を勤め上げたことが反映されます)
また、1年に一度、付与するタイミングにおいて、社員に累積のポイントや退職金額を伝えることで、退職金制度の「ありがたみ」や「頑張れば頑張った分、退職金が増える」ことが認識され、モチベーションや会社に対する帰属意識の向上が期待できるようになります。
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