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テレワーク設備の税額控除または即時償却

記事作成日2020/06/10 最終更新日2021/04/23

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新型コロナウィルス感染拡大の影響により、テレワークの重要性が高まってきています。中小企業庁は従来の中小企業経営強化税制を拡充し、特定経営力向上設備の対象に、新たにデジタル化設備を加えることを発表しました。

今回は中小企業経営強化税制についてご紹介すると共に、新たに追加されたデジタル化設備の内容についてご紹介します。

 中小企業経営強化税制とは

中小企業経営強化税制とは、青色申告書を提出する中小企業者などが、指定期間内に、経済産業大臣の認定を受けた経営力向上計画に基づき取得等をした一定の規模の設備について、指定事業の用に供した場合、即時償却又は取得価額の7%(資本金の額が3,000万円以下の法人などは10%)の税額控除をすることができる制度です。

即時償却とは

即時償却とは、減価償却の対象となる固定資産を取得した年度に一括で償却できる制度です。

即時償却を行う一番のメリットは、取得年度に全額損金計上できるため、節税効果を早い段階で得ることができる点にあります。しかし、初年度に全額損金計上してしまうため、翌年度以降は節税効果がありません。つまり、即時償却は、利益が多い年などを狙って実行しないとあまり効果を発揮しないと言えます。

 税額控除とは

税額控除とは、一定の条件を満たした場合に法人税が減額される制度です。中小企業経営強化税制では、特定経営力向上設備等の取得価額の7%相当額(資本金の額が3,000万円以下の法人などは10%)を限度に法人税を減額することができます。ただし、その限度額が、その事業年度の法人税額の20%相当額を超える場合には、その20%相当額を限度に減額することができます。つまり、

・設備投資額の7%
・法人税額の20%

のいずれか少ない額が法人税から減額できます。

中小企業経営強化税制では、税額控除限度超過額の繰越しをすることができます。具体的には、取得価額の7%相当額が、法人税額の20%相当額を超えてしまい、7%相当額の全額を減額しきれなった場合には、減額しきれなかった金額について1年間の繰越しができるというものです。

中小企業経営強化税制では、即時償却と税額控除の選択適用ができるため、慎重に検討した上で選択することが望ましいでしょう。

 テレワーク等を促進するための中小企業経営強化税制の拡充について

これまで中小企業経営強化税制の対象設備は、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)でしたが、新たにデジタル化設備(C類型)が加わりました。

ただし、ここでいうデジタル化設備とは、下記のいずれかに該当する投資計画を達成するための必要不可欠な設備をいいます。

遠隔操作

1)デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること
2)以下のいずれかを目的とすること

A)事業を非対面で行うことができるようにすること
B)事業に従事する者が、通常行っている業務を、通常出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること

可視化

1)データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと
2)1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
3)1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化を行うことができるようにすること

自動制御化

1)デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
2)1)の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること

以上の要件を満たす設備は、中小企業経営強化税制の適用を受けることができます。

なお、中小企業経営強化税制を利用するためには、経営力向上計画の認定を受ける必要がありますが、デジタル化設備を取得する経営力向上計画の認定を申請する場合は、事前に経済産業局によるデジタル化設備に関する確認書が必要になります。

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