今回は、不動産を移転させる際に通常の売買ではなく、組織再編を活用する方法をご説明いたします。
組織再編を利用することのメリット
不動産を他の法人に移転させる方法として売買により移転する方法があります。不動産を売買した場合には、不動産取得税や登録免許税、消費税などの流通税が課されます。
不動産取得税については、土地の取得の場合には固定資産税の課税標準額の3%(平成33年4月1日以後に取得したものについては4%)、建物の取得の場合には固定資産税の課税標準額の4%(平成33年3月31日以前に取得した住宅については3%)が課されます。
売買以外にも不動産を移転させる方法として、合併や分割などの組織再編を利用する方法があります。不動産を所有している法人が他の法人と合併することにより、結果的に不動産を他の法人に移転させたり、所有する不動産を分割により他の法人に移転させたりといった方法です。
組織再編を利用した場合のメリットは、売買のときと比べ不動産取得税などの流通税が安くなるという点です。合併や一定の分割の場合には不動産取得税は非課税となり不動産取得税は課せられません。
また、登録免許税については、売買の場合は不動産の価額の1,000分の20(土地の場合には平成31年3月31日までの登記に関しては1,000分の15)の税率が課せられるのに対して、合併の場合には不動産の価額の1,000分の4の税率と軽減されています。消費税については売買の場合には消費税が課せられますが、合併等の場合には消費税は課せられません。
組織再編を行う際の注意点
不動産を移転させる際に組織再編を活用すると、流通税が安くなるなどのメリットがあります。そのため多くの不動産を移転させたり、地価が高い地域にある不動産を移転させたりする場合には有効かと思います。
しかし、組織再編を利用する場合には、不動産だけではなく他の資産や負債なども移転することになり、流通税以外の税金が課せられる可能性もあります。また、組織再編は会社の組織を大きく変更することになります。そのため組織再編を行う際は、税務だけではく、経営面、会計面、労務面、法務面などあらゆる角度から検証することが必要になります。
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