経理効率化の事例に関しては以下のブログでもご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
・コンサル事例 ①会計ソフト選定支援
・コンサル事例 ②仕入・経費 発生仕訳自動化支援
・コンサル事例 ③会計ソフトコンバート支援
・コンサル事例 ④システム連携に伴う経理実務指導支援
・コンサル事例 ⑤グループ会社の会計ソフト統合支援
・コンサル事例 ⑥顧問税理士の協力による経理改善支援事例
・コンサル事例 ⑦仕訳入力の自動化事例
・コンサル事例 ⑧IB連携、会計ソフト導入支援
不十分な引継ぎ、日々の業務に追われ経理部門はがんじがらめ
この企業では、10名ほどの経理担当が在籍していましたが、なぜ業務過多の状態に陥ってしまっていたのか。ヒアリングをすると以下の課題が浮き彫りになりました。
課題1 日常業務・月次業務・年次業務の切り分けが出来ていない
まず課題としてあがったのが、経理担当全員がそれぞれの日常業務・月次業務・年次業務を把握できていませんでした。
【日次業務】仕訳記帳業務、振込入金確認業務、現金管理業務、固定資産台帳登録、電話対応etc…
【月次業務】売上・営業債権の確定、仕入債務の確定、従業員経費精算、給与計算etc…
【年次業務】決算書類作成、年末調整業務、算定基礎計算、各種納税業務etc…
各業務が切り分けられていないため、「誰が」「何の業務を」担当しているのかが分からない状況に陥ってしまっていました。管理職が、「誰が」「何を」担当しているかがわかっていないと、本来行うべき業務に漏れが発生し、納税業務や申告が間に合わなかったり、最終的に決算が組めないといった問題が生じてしまいます。
課題2 各業務における主担当・副担当が定まっていない
元々は担当者が決まっており、複数人で業務を担当していたのですが、退職の際に引継ぎがしっかりと行われなかったため、業務の切り分けが徐々に曖昧になってしまったそうです。その日の業務を手の空いている人がこなすという、自転車操業が続いていました。
そんな状態が続いていたため、取引先への支払いが遅れたり、未収入金の催促ができていなかったり、扶養人数が変わったことによる申告が漏れたりと業務の抜け、漏れが頻発していました。
課題3 クレームが来るまで業務の抜け・漏れに気づかない
業務の抜け・漏れに関して、取引先からのクレームが来て初めて気付くというケースも少なくありませんでした。退職した前担当者からの引き継ぎが不十分であったことが原因で、請求書を確定させるまでの手順ミスや、請求書発行の締め日のミスが発生していました。
課題4 各社員の持つスキルが把握できていない
主任以上の管理職の方々は、約10名の部下が持つスキルを把握できていませんでした。また、誰が何の業務を担当しているのかも把握できていないため、新しい業務が発生しても誰に任せれば良いかわからない状況でした。
問題を認識していても改善できない職務環境
ヒアリングを通じ、数々の課題が出てきました。担当者の方は「こんなにも引継ぎ漏れが発生しているのに、現場からは改善策が一向に出てこない」と驚かれていましたが、これは、一概に社員の勤務態度や意識の低さが原因がというわけではありません。
若い社員や勤務年数の浅い社員は問題に気づいていても、上司には進言しにくいケースがあるからです。普段から1対1面談を行うなど、部下が上司に相談しやすい雰囲気を作ることも大切です。
根本的解決策は現場社員への丁寧なヒアリングから
今回の事例では、経理にどんな業務があるのか、どういったフローで行われるのかを明確にすることから始めました。そのため、10名の経理担当一人ひとりに丁寧なヒアリングを実施。各担当者が「どんな業務を行なっているのか」、「普段の仕事において何に困っているのか」を明らかにした上で、何が起因してミスや漏れが発生しているのかを「見える化」することに注力しながら以下の策を実施ました。
効率化1 経理業務一覧表の作成
このお客様の会社では、1年を通してどんな業務があるのかが明確になっていなかったため、業務を「日次業務」「月次業務」「年次業務」に区分けすることから開始しました。経理業務は営業などとは異なり、会社が違ってもやることはある程度決まっています。
注意すべきなのは会社独自、もしくは担当者独自で行っている業務を見落さないこと。ヒアリングの際には各個人が管理している資料なども含めて「誰に何の資料を提出しているかを全てリスト化すること」に留意しました。
効率化2 スキルマップの作成
作成した経理業務一覧表を用いて、それぞれの業務がどの程度の知識・スキルを要するのかを明らかにします。それを元に、業務を遂行可能な社員を列挙し、スキルマップを完成させます。経理業務スキルマップを作成することで、「誰に」「どこまでの範囲なら任せて大丈夫か」が判断できるようになりました。
効率化3 それぞれの業務に対して「主担当」「副担当」を割り当てる
業務一覧表とスキルマップから各業務の「主担当」「副担当」を決めました。『誰が』『何を』『いつまでに』実施しなければならないかが「見える化」したことで、退職時の引継ぎ漏れを防ぐことができます。
クレームが減少し、業務効率が大幅に改善
このお客様は業務効率化を実施する前は、業務の漏れによるクレームが頻出していました。
クレームが入る=現状の業務をストップし対応に追われる
ということなので、その日、その時間に行うはずだった業務が後回しになり、さらなるクレームにつながるという負のスパイラルに陥っていました。
このような職務環境に身を置いている社員は精神的負担も大きくなり、退職者も後を経たない状況でした。
退職者が増加=引継ぎ漏れが発生=ミス・クレームの増加
となり、残る社員にとってはさらなる負担増となっていました。
離職率も低下し、業務が効率的に回るようになった
経理業務一覧表、スキルマップを作成したことで、クレーム発生件数が減り、社員の残業時間も減少しました。職務環境が改善したことで、従業員満足度が向上、離職率も低下しました。業務の引継ぎはどれだけ細かく行なっても、100パーセント正確にはできないため、まずは引き継ぎが発生しない環境をそろえることが大切です。
経理業務を整理したいときはTOMAにご相談ください
今回の業務効率化にかかった期間はヒアリングに1ヶ月、成果物作成までに1ヶ月と計2ヶ月で実施しました。TOMAでは業種や規模を問わず、「経理業務全般」における事例と知識体系を持っているため、試算表ベースの机上の空論ではなく、より現場に即した改善策のご提案ができます。コンサルタント自身が「実務」を理解しているため、担当者の悩みに真摯に向き合います。
また、発生した問題の根源を探ることで、課題の抜本的な解決が可能です。
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