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経理を効率化させる!TOMAのコンサル事例 ④システム連携に伴う経理実務指導支援

記事作成日2023/03/09 最終更新日2023/04/20

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第4回目の経理効率化サポート事例は「システム連携に伴う経理実務指導支援」です。この記事でご紹介するお客様は、従業員約80名の製造業を営んでいる企業で、仕訳作業を会計事務所に全てアウトソーシングしていました。

そのため、月次決算の完成が遅く、会計が経営判断に活かせないという状況に長年悩みを抱えていました。 お客様の会社では経理業務を内製化できる状況が整っているため、メリットとデメリットを天秤にかけてアウトソーシングを継続するか、内製化に踏み切るかを判断したいという相談をいただきました。

今回は、システム連携などによる経理業務の内製化、そして実務指導を支援した事例をご紹介します。

なお、経理効率化の事例に関しては以下のブログでもご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。

・コンサル事例 ①会計ソフト選定支援
・コンサル事例 ②仕入・経費 発生仕訳自動化支援
・コンサル事例 ③会計ソフトコンバート支援
・コンサル事例 ⑤グループ会社の会計ソフト統合支援

経理業務のアウトソーシングによる課題

この企業の担当者にお話を伺ったところ、以下のような課題が浮き彫りになりました。

課題1:慣例化したアウトソーシング

社内人材が成長し、内製化が可能な状態になっていましたが、以前からの慣習という理由でアウトソーシングを継続していました。 このように、実際には経理の内製化が可能なのにアウトソーシングしている企業は少なくありません。敢えてアウトソーシングを選択する企業もありますが、慣例として外注をし続けているのであれば、内製化も検討する必要があるのではないでしょうか。

課題2:会計事務所の仕訳データ連動が一切ない

会計事務所で全ての仕訳入力を手入力で行っていたため、仕訳については一切、データの連携を行っていませんでした。 そのため、転記時にミスが生じたり、会計事務所の担当者が変わると、摘要等の書式ルールも変わってしまい過去の仕訳が検索しづらくなっていました。

課題3:月次決算の完成が遅い

アウトソーシングは月次決算の完成も遅く、約1か月のズレが発生していたため、せっかくの会計データを経営に活かすことが困難な状況でした。 月次決算が遅れたことで、海外送金等の為替レートの変動に気づくことができず、為替差損が発生したり、システム利用料等の経費使用額の把握が遅れ、解約すべき契約が更新されるといった不利益が生じていました。

課題4:不正確なデータによる二重転記業務の発生

基幹システムと会計システムが連動していないことが原因で、販売管理システム上の債権債務が不正確になってしまっていました。 そのためエクセルで手動管理をしていました。

債権債務がズレてしまうのは自社が把握している金額に対して、仕入先から届いた請求書に不一致が発生した場合、基幹システム上で金額のズレを修正せずに、仕入先の金額をそのまま支払っていたことが原因です。そのため基幹システムとエクセルの残高が不一致になっていました。

二重転記にかかる時間は月約50時間、基幹システムの残額を取引ごとに1件ずつ確認し、前月データを見ながら全て手入力するなど、とても労力のかかる業務でした。転記作業は生産性がないだけでなく、ミスの原因にもなるため、もしも経理業務に重複・転記作業があるなら、速やかに改善すべきと言えます。

経理業務のアウトソーシングは長所と短所を天秤にかけて

今回のお客様は内製化に踏み切りましたが、仕訳記帳をアウトソーシングすることにはメリットもあります。事実、内製化できるのにアウトソーシングしている会社は少なくありません。

例えば、会計に関する情報を社内に非公開にすることで、経理が不正を行えない体制を維持する場合です。
また、経理は事業部門からの数字をまとめる所までを行い、記帳のみアウトソーシングするケースもあります。外注化することで、記帳ミスを防ぐことが可能だからです。

その他、仕訳記帳など生産性の低い業務は、単価の高い社員には任せないと判断する会社も少なくありません。
その場合、経営資料等の作成など高度な業務に特化させることで、コストパフォーマンスの最大化を図ることが目的です。

今回のお客様は、TOMAに問い合わせをいただく前、経理に関する相談を基幹システムのベンダーや税理士事務所に相談していたそうです。しかし、ベンダーは会計数値のことがわからない、会計事務所は基幹システムを把握していないということで、誰に相談しても回答が得られない状態でした。そこで、システムにも会計数値にも精通し、解決策が提案できるTOMAにご相談頂きました。

今回の事例以外でも、

●税理士事務所は記帳はできるが経理社員に実務的な指導はしてくれない。
●システム会社はシステムの操作方法は教えてくれても、記帳ルールにある「勘定科目」「消費税計算方法」「各数値の集計基準」などは指導してくれない

という話を耳にすることがあります。同じような悩みを持つ方は一度、TOMAにご相談ください

アウトソーシングのメリット

経理の自計化、システム連携の構築で効率化を実現

では、どのような改善を実施したのかを解説します。

自計化システムの構築で、アウトソーシングを卒業

今回の課題を解決するため、まず経理の自計化から取り組みました。第1に、従業員が出勤しない日(=基幹システムを使用しない日)に売掛金・買掛金の残高を月次の会計ソフトとすり合わせ、金額を一件ずつ修正することから始めました。

第2に、その後は人間が計算する必要が無いよう、基幹システムから出力されたCSVデータを貼り付けるだけで、債権債務の金額が自動計算されるようにExcel関数を挿入しました。

第3に、基幹システムから出力されるCSVデータのマスタ設定について、以下の運用ルールを決めました。

・費目に対する勘定科目
・消費税の計算方法
・仕訳連携に対する集計方法(取引先毎に連携するか、伝票単位で連携するか、全件一括で売掛金1本で処理するか)

第4に、仕訳連携用データに対する摘要への挿入項目ルールや月次の連携スケジュールを決め、内製化を実現しました。

連携設定を駆使し、手入力が激減

販売管理システム、インターネットバンキングからの連携設定を行い、手入力による仕訳を減らして、入力時間を短縮させました。自計化とシステム連携の強化によって月次決算が翌10日には提出できるフローが完成、これまで課題であった会計データを経営に活かすことができるようになりました。

当初、お客様は内製化に際して新しく総務を1名採用する方向でいましたが、コンサルティングを経てシステム連携・債権債務自動計算・経理効率化に伴う経理社員の知識レベルが上がり、現状のメンバーでも十分対応が可能になりました。結果、アウトソーシングの費用と新人の採用コストの削減にも成功しました。

経理の自計化、システム連携の構築で効率化を実現

今回のシステム連携に伴う経理実務指導支援は

第1フェーズ:業務フローヒアリング(2ヶ月)
第2フェーズ:債権債務自動計算Excel作成(1ヶ月)
第3フェーズ:基幹システム債権債務残高不一致調査及び一致対応(3ヶ月)
第4フェーズ:経理実務指導(6ヶ月)

計1年かけて実施しました。

改善提案・実施を経て、先方からは「これまでどこに問い合わせてもそれぞれの専門分野しか対応してくれなかった。「システム」「会計」「経理」「人に関する問題」など、事務が抱える問題を全部一括して対応してもらえたのが本当に助かりました」とお言葉をいただけました。

自計化にシステム連携、経理を成長させる実務指導はTOMAにお任せください

アウトソーシングを内製化しようと思っても、Excelやデータベースという概念を理解して使いこなすことは、社員に「元SE」でもいない限り難しいでしょう。さらに目の前の仕事や経費削減を目的とせず、未来のデータ管理までを見据えて経理業務を効率化させていくのであれば、専門家に任せるべきです。

最後に、今回の事例に限ったことではありませんが、TOMAのコンサルティングは現場を確認することを大切にしています。会社での書類保管方法や、事業部門から経理への声掛けの頻度など、現場でしか分からない情報を吸い上げることが的確なコンサルティングには必須だからです。

新型コロナウィルス感染症の流行によって、ビジネスシーンではテレワークを実施する企業が増えました。しかし、中小企業の経理はまだまだ会社に出勤して作業する企業が多いです。そのため、Webコンサルで補完できない情報を得るためにTOMAでは現地訪問を積極的に実施しています。

今回紹介した経理の効率化に関するサービスの詳細はこちらになります。また、TOMAでは定期的にIT・業務改善に関するメールマガジンを定期的に配信しております。こちらもぜひご登録ください