今回は「会計ソフトコンバート支援」の事例をご紹介します。お客様は2005年に創業した情報通信業で、従業員約1000名(グループ全体)を有する企業です。 この企業の経理では現行の会計システムから希望する形で資料が出力できず、経営者への報告や決算にデータの加工が必要で時間がかかるという課題がありました。
そこで、新しい会計システムへの移行を検討していたところ、想像以上に移行が大変だということになり、TOMAに相談をいただきました。 この課題を解決するためにどんな支援を行ったのかご説明します。
なお、経理効率化の事例に関しては以下のブログでもご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
・コンサル事例 ①会計ソフト選定支援
・コンサル事例 ②仕入・経費 発生仕訳自動化支援
・コンサル事例 ④システム連携に伴う経理実務指導支援
・コンサル事例 ⑤グループ会社の会計ソフト統合支援
目次
会計システムの変更に膨大な作業が発生
会計システムは企業にとって経営の要となるツールと言えます。 そのため、システムの変更を検討する際には日常業務になるべく支障が出ないよう、スムーズに行うのが理想です。しかし、今回お客さまにヒアリングを実施したところ、会計ソフトのコンバートにはさまざまな課題がありました。
課題1:コンバート作業の大半を自社でやらなければならない
まず、通常の経理業務と並行しながらコンバートに必要な作業を行わなければならずオーバーワークとなってしまっていました。会計システムのコンバートは、新しいシステムにCSVデータを取り込むことで完了しますが、以下の作業でかなりの時間を要します。
① 勘定科目・補助科目マスタの移行
会計ソフトによっては、科目マスタの仕様が異なるため、新しいシステムに合った形に組み替えなければなりません。 また、売掛金や買掛金に補助科目の重複がある場合、コンバートと同時に科目の整理を行う必要があります。 補助科目が増減したときに対応しやすいように、新しいコードの付番もしなければなりません。
② 過去仕訳の移行
会計ソフトによって仕訳の入力内容が異なるケースがあります。 そのため、各情報が正しい位置に入力されているか、移行前後で変わった科目コード等が変換されているかを確認し、新しいソフトに合った形に組み替えなければなりません。
コンバートに慣れていない場合、これらの作業には膨大な時間がかかるため、実際に業務を行ったことのある専門家にサポートを依頼した方が良いでしょう。
課題2:外注のサポートが受けられない
この企業では、仕訳入力を外注に依頼していました。当初はシステムをコンバートする場合は、連携までサポートしてもらえる予定でしたが、外注先の状況が変わったため、サポートが受けられなくなってしまいました。
課題3:膨大なワークフローシステム
システムのコンバートに合わせて、ワークフローシステムも変更する必要があります。ここでいうワークフローシステムとは、社内稟議を申請するためのシステムです。 ワークフローシステムを構築することにより、紙での提出・押印を電子化できるため、申請書類の紛失防止、承認作業の効率化につながります。
今回の事例では、移行後の会計ソフトにワークフローシステムの機能も搭載されていたのでシステムの構築を希望されていました。申請時に入力する項目はフォーマットごとに設定する必要があり、設定は全て手作業で行います。しかし、フォーマット数が約100種類と膨大なために、移行作業に時間がかかることが予想されました。
現場の担当者からは「経営層に会計データを提出する決算の時期は、データの加工に追われて残業時間が増えるため、助けて欲しい」と、切迫した様子だったので、TOMAとしてもなんとか力になりたいと思いサポートに当たりました。
このほかにも、
・会社の拡大・縮小や、経理担当者の増加・減少
・新ビジネスを展開するにあたり必要な機能が搭載されていない
・現状の業務に対して不必要な機能が多くコストパフォーマンスが悪い…etc
さまざまな理由から会計ソフトのコンバートを検討する企業があります。とくに近年は、テレワークの導入やPC故障等に伴うリスク回避の点からスタンドアロンのソフトからクラウドに移行する企業が増えています。同様の悩みをお持ちの担当者は、ぜひ一度TOMAまでご相談ください。
進行・管理から約100種のワークフローシステムまでをTOMAが代行
今回、コンバートしたソフトは仕様が特殊であったため、データの移行には最新の注意を払いました。また、今回の事例に限らず会計システムのコンバートサポートでは、移行後にお客様が利用しやすいようにシンプルな設定を心がけています。移行直後は操作にも不慣れなため、科目を探しやすいように、そして科目の追加がスムーズにできるようにすることを意識しています。
効率化① WBS(作業分解構成図)を作成しプロジェクトの進捗を管理
まずは適切な時期に会計システムを稼働開始できるよう、WBS(作業分解構成図)を作成してTOMAにてプロジェクトの進捗を管理しました。
WBS(作業分解構成図)とはプロジェクト達成までに必要な作業を細分化し、タスクの実績管理をすることです。自社でWBSを作成、実行することは不可能ではありません。しかし、各業務における優先度の考え方など、自社業務部門だけで考えると部分最適のみになってしまい、全体で見た場合に非効率になるケースが多々あります。プロに任せることで、抜け漏れなく実施項目を洗い出せ、豊富な経験と第三者の目線から適切な優先順位付けにより進捗管理を行えます。
効率化② 希望のデータを出力できるようマスタ設計
次に、元々の課題でもあった希望のデータが出力できるよう、新しい会計システムのマスタ設計を行いました。 これにより、経営層へ提出する会計データに加工の必要がなくなり、残業時間も劇的に改善しました。
効率化③ 新しい会計システムとネットバンクなどの連携設定
第3に、新しい会計ソフトをインターネットバンキングや他システムと連携し、業務の効率化を図りました。 手入力による作業がなくなると工数が削減できるだけでなく、ヒューマンエラーも抑えられます。
効率化④ 約100種のワークフローシステムを全て代行
最後に、移行前後のシステムで各項目の入力規則が異なるため、ワークフローシステムでの入力項目比較を行いました。移行前の再現が難しいものは、可能な限り使用感が変わらないよう、設定内容を調整。約100種のワークフローシステムの設定は、すべてTOMAが代行しました。
今回の会計ソフトコンバート事例はかなりボリュームがあるため、データの提供や設定内容の打ち合わせなどお客様と二人三脚で協力しながら実施しました。 お客様からは作業の効率化を図れるということで終始ポジティブなお返事をいただき協働できたのでスムーズなコンバートが可能になりました。
月に約50時間の業務効率化に成功
今回の会計ソフトコンバート支援は
・ヒアリング・全体構想の検討に2ヶ月
・会計ソフトの移行に1ヶ月(ヒアリング等と並行)
・ワークフローの移行に6ヶ月(他の実施事項と並行)
と計9ヶ月で完了しました。
ワークフローの移行まで9か月を要しましたが、移行後は移行前と比較して月50時間程度の作業時間の削減に成功しました。お客様からは「自社だけで同じ作業をおこなっていたら、もっと膨大な時間がかかってしまっていたと思う。目標期間内にコンバートが完了できてよかった」とお言葉を頂きました。
会計ソフトのコンバート支援は年々増加傾向にあり、自社に合わないシステムを無理して使い続けることで、生産性を損ねている企業はまだまだ多いようです。また、その状況が長く続くと、現状を変えたくても行動に移す余裕がなくなってしまいます。検討中であれば早めのコンバートがお勧めです。
TOMAでは部分的な改善ではなく、関連する業務の全体を最適化させるサポートが得意です。常にお客様の立場に立ち、要望を取り入れた使いやすいシステム構成を実現します。
今回紹介した経理の効率化に関するサービスの詳細はこちらになります。また、TOMAでは定期的にIT・業務改善に関するメールマガジンを定期的に配信しております。こちらもぜひご登録ください。