TOMAがサポートした経理効率化の事例紹介、第2回目となる今回は「仕入・経費 発生仕訳自動化支援」です。 創業40年、従業員数約120名の卸売業(電気通信関連資材・工具など)を営んでいるお客様です。
事業が順調に成長している一方で、毎月膨大に発生する請求書をたった一人の経理担当者が全て捌いているという状況でした。事業が拡大すると営業力の拡充に焦点が行きがちになり、バックオフィスへの負担増が見落とされてしまうケースは少なくありません。今回は、そんな負担が集中する経理担当者の業務を自動化させた事例をご紹介します。
なお、経理効率化の事例に関しては以下のブログでもご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
・コンサル事例 ①会計ソフト選定支援
・コンサル事例 ③会計ソフトコンバート支援
・コンサル事例 ④システム連携に伴う経理実務指導支援
・コンサル事例 ⑤グループ会社の会計ソフト統合支援
目次
事業規模と経理業務のアンバランスな状況に悩む企業は多い
今回サポートした企業のバックオフィスは本社以外の各拠点に経理アシスタントが在籍しており、全11名で運用していました。この企業からの相談は、本社の経理担当者1名が全事業所から集まる請求書を処理しているため、業務過多と属人化が発生しているのでなんとかしたい、というものでした。
各店舗から本社へ情報を集約し、本社では一人の経理担当が孤軍奮闘しているケースはよく聞きます。同じような状況だという経理担当の方もいるかもしれません。店舗ごとに業務フローは変わらないため、最初は一人で処理できていても、規模の拡大に伴って処理量が増え、気が付いたら業務過多になっていたという事例は多いです。この企業の経理担当者は月に約600件の請求書・納品書を処理していました。
さらに、私たちがヒアリングを行う中で以下の課題が浮き彫りになりました。
課題1:全ての請求書・納品書の付け合わせ作業を一人で行なっている
年間約7000枚に上る請求書と納品書の内容に齟齬がないか、付け合わせ作業をするだけでなく、営業各担当に一つひとつ確認しなければならず、膨大な時間を要していました。
課題2:振込日の異なる請求書の振り分け作業
請求書はそれぞれ振込日が同一ではなく、全てを手作業で振り分けなければなりませんでした。振込日を確認して手で振り分ける作業という、生産性の低い業務に毎月何時間も割いていたのです。
課題3:月次決算の遅れ
振込金額を基に会計ソフトへ手入力し計上するため、月次決算に大幅な遅れが生じていました。月次決算の遅れは現状分析や打ち手の検討など、適切な経営判断の妨げになります。もちろん、システムへの金額入力という生産性の低い作業に時間を割かれることもデメリットです。
この他ヒアリングでは、
「請求書に特殊なフォーマットを利用している取引先が多く、フォーマットの統一が難しい」
「取引先によって記載内容が異なり、個別に対応しなければならない」
といった声も聞かれました。また、最終的な要望として経理の人員を50%削減するという目標もありました。
状況を正確に把握することが効率化への第一歩
まず、TOMAでは効率化の提案をする際、システム俯瞰図や業務フロー図の作成から着手します。自動化できる可能性がある業務をもれなく洗い出すことが目的です。お客様の使用しているシステムを精査していると、自動化ツールが組み込まれているケースも少なくありません。
現行システムで自動化が可能であれば、追加投資をせずに業務の自動化・効率化が図れます。また、現状の業務フローが明確になれば、新たにシステムを導入する際に必要な機能をしっかりとピックアップすることが可能です。
新しいシステムを導入する際には、属人化が発生しないよう極力誰でも操作できる仕組みを整えることも重要です。今回の事例では、一人の経理担当者が全ての業務を行なっていました。この担当者が急病で欠勤すると、業務全体が遅延する可能性があります。そのため、新しいシステムでは、誰でも代替が可能なシステムを選択するようにしました。
的確なシステム導入、フロー構築で課題を全て解消!
では、実際にどのような効率化を行ったかを解説します。今回の事例では以下の2点を実施することで効率化を図りました。
①請求書の自動処理サービスの導入
②担当業務の線引き
まず、①請求書の自動処理サービスですが、「invox」というシステムを採用しました。これは請求書の画像をアップロードすることで日付、金額、取引先などの情報を自動でデータ化してくれるサービスです。このシステムの良いところは請求書に直接記載されている金額ではなく、記載されている金額の合計をデータ化してくれる点です。フォーマットの異なる請求書を処理することの多いお客様にとって最適なシステムでした。
また、自動化システムを導入したことで、以下の点が改善されました。
改善1:手入力の作業が激減
インターネットバンクと会計ソフトの自動連携により振込日毎の集計が不要になりました。手入力が不要になることでヒューマンエラーのリスクも格段に軽減させることが可能です。
改善2:スピーディな月次決算
手入力の作業がなくなることで、速やかに月次決算を出すことが可能になりました。
改善3:振り分け作業が不要
請求書は自動処理されるので、これまで時間をかけて行っていた振込日ごとの振り分け作業がなくなりました。
次に、②担当業務の線引きです。膨大な時間をかけていた請求書と納品書の付け合わせについては各営業担当者の責任で確認を行うフローに変更しました。営業が随時、販売管理ソフトへ入力することで経理担当者の負担がなくなりました。
経理業務の劇的な効率化に成功!
今回の「仕入・経費 発生仕訳自動化支援」の結果、大きな成果が得られました。
まずは業務時間の大幅な削減です。自動化システムの導入、担当業務の線引きにより各拠点のアシスタント業務がなくなり、経理全体の人数を11名から5名まで縮小することができました。社員1人の業務時間を月160時間と換算した場合、960時間/月の削減につながっています。
次に、属人化の解消です。これまでは一人の経理担当者が全ての請求書・納品書の処理を行なっていましたが、自動化システムが運用されたことで、業務の代替が可能になりました。月末月初や決算の繁忙期を除けば有給を取得できるだけでなく、在宅勤務も可能となっています。
お客様からは6名分の人件費を削減できただけでなく、自社で行う業務が減り、属人化の解消につながったと評価をしていただきました。また、「基幹システムを変えるにあたり何が課題か、どこから着手すればよいか、ボトルネックは何か、を明確にした上でスケジュールを立てられたのが良かった」「忙しい中での経理効率化への挑戦だったが、最短で最適な環境の構築ができた」と嬉しいお言葉をいただきました。
今回のコンサルティングでは、
ヒアリンング:2ヶ月
システム選定:2ヶ月
初期設定:2ヶ月
と、合計6ヶ月で運用をスタートさせることができました。
今回の事例を通し、仕訳情報をすべて手入力していたり、各拠点からの請求書を郵送等で本社に送っている企業はまだまだ多いのだなと改めて気付かされました。 同じような状況に悩んでいるなら、ぜひ一度ご相談ください。
経理の効率化・自動化はプロに任せた方が良い理由
経理の自動化システムの選定をプロフェッショナルに任せるメリットはたくさんあります。
メリット1:最新のシステムを熟知した選定
私たちは常にベンダから最新の情報を仕入れています。そのため幅広い選択肢からお客様の事業に合うシステムのご提案が可能です。
メリット2:徹底した事前調査によるシステムの選定
システムに必要な要件を第三者目線で確認するため、導入後に『必要な機能がなかった』というリスクを避けることができます。
メリット3:広範囲の業務を考慮に入れた選定
組織の中で働いていると、客観的に仕事を捉えられず、視野が狭くなることがあります。プロのコンサルが入ると買掛金の管理や会計システムの入力など、周辺の業務も考慮に入れたサービスの選定が行えます。
メリット4:法令の最新情報を踏まえた選定
電子帳簿保存法やインボイス制度など最新の法改正への対応も考慮に入れた上で、システムを選定します。
今回紹介した経理の効率化に関するサービスの詳細はこちらになります。また、TOMAでは定期的にIT・業務改善に関するメールマガジンを定期的に配信しております。こちらもぜひご登録ください。