近年、日本でも強く推進されるようになったDX。それを支える根幹技術の一つといっても良いのが「クラウドコンピューティング」です。
一般的に「クラウド」と呼ばれ、日常生活の中でもスマートフォンなどを通して使用している技術ですが、「そもそもどんな技術なのかを理解できていない」という声も耳にします。
今回は、クラウドコンピューティングを導入するメリット・デメリット、導入事例を解説します。
クラウドコンピューティングとは
クラウドコンピューティングとは、インターネットなどのコンピュータネットワーク上に構築されたサーバー、ストレージ、ネットワーク、データベース、ソフトウェアなどを提供するサービスの総称です。
たとえば、ファイルや画像データをPCやスマートフォンの内部に保存するのではなく、インターネット上に存在する仮想空間(サーバー)に保存することを指します。インターネット上にデータが存在するため、会社のデスクトップで保存したファイルを外出先でスマートフォンに出力するといったことも可能です。
過去の記事でもお伝えしましたが、DXを始めるならまずはバックオフィス業務からおすすめです。クラウドにはバックオフィス業務のDXを進めるのに有効なパッケージソフトが多く存在しており、TOMAでも多くのお客様のバックオフィス業務へのクラウド導入サポートを実施しています。
ただ、クラウドにはメリット・デメリットがあるため、自社の規模や現状の業務を鑑みた上でシステムを選択しないと、業務が非効率になる可能性があります。反対に、自社にピッタリなクラウドパッケージソフトを導入できれば多くのメリットを享受することができます。
クラウドコンピューティングを活用する4つのメリット
では、クラウドコンピューティングにはどのようなメリットがあるのでしょうか。数あるメリットの中でも、以下の4点はDXの推進に大きく役立てることができます。
メリット1:導入スピードが速い
まず、メリットとして挙げられるのが導入スピードの速さです。通常、オンプレミスで自社専用のシステムを構築する場合、機材の購入からシステム構築まで、少なくとも数ヶ月かかります。クラウドの場合、機材の購入などの時間がかからないため、早いものであれば契約初日からサービスの導入・運用が可能です。
メリット2:コストが低い
クラウドはオンプレミスと比較して導入費用が安価です。オンプレミスの場合、自社専用のシステムを構築するのに数千万かかるケースもありますし、自社業務の変化に合わせてシステムを改修する際にも多額の費用が必要になります。
一方、クラウドはすでに完成しているシステムを利用するため、初期費用を大きく削減することができます。また、月額の課金方式を採用しているクラウドサービスが多く、ユーザーの登録件数を調整したり、サーバーの増減もできるため、ランニングコストも自社の状況に合わせて調整しやすいです。
低コストでの運用により、システムを利用した業務を実行に移しやすく、DXの成果が実感しやすいというのもメリットです。
メリット3:自社で保守を行わなくてよい
システムに不具合が生じたときなどの保守、点検、メンテナンスはサービス運営企業が行うため、自社で保守費用などを確保する必要はありません。自動アップデートが行われ、システムが常にブラッシュアップされていきます。
メリット4:どこでも利用できる
インターネット環境さえ整っていれば、自宅や営業先からでもシステムにアクセスすることができます。テレワークが可能となり働き方に幅が出せたり、営業状況をリアルタイムで共有できたり、業務効率が格段に向上します。
クラウドコンピューティングで注意すべき2つのデメリット
では、クラウドを導入する際、どのような点に気をつけるべきでしょうか。
デメリット1:セキュリティのリスクがある
クラウドのセキュリティはサービス運営会社に依存しています。そのため、ベンダーの選択を誤ると、自社の情報が流出するなどのリスクが発生します。アクセス制御や二要素認証など複数のセキュリティ対策を組み合わせて施すことができる、信頼性の高いベンダーを選択することが重要です。
デメリット2:カスタマイズ性が低い
カスタマイズできる範囲が限られているのもクラウドのデメリットです。ただ、オンプレミスほどの自由度はありませんが、拡張性の高いクラウドシステムも一部存在します。
対策としては、カスタマイズがどうしても必要な自社ならではの業務にいきなりクラウドを導入するのではなく、どんな企業にも存在するバックオフィスなどの業務から導入するのもおすすめです。
なぜなら、どんな企業にも存在するバックオフィスなどの業務はシステム化のノウハウが蓄積されているため、システムとしても秀逸である可能性が高いからです。
クラウドを導入する際のポイント
実際にクラウドを自社に導入する際には、DXをスムーズに推進するため以下の点に気をつけましょう。
ポイント1:クラウドの導入目的を明確にする
クラウドの活用方法は無数にあるため、自社のどんな業務をクラウドで運用するのかを明確にすることが大切です。
クラウドの導入目的を決める際には、まず自社の現状を顧みて課題を洗い出すことから始めましょう。次に、挙がった課題全てに対しクラウドをいきなり導入するのではなく、利用範囲を決め、スモールステップで導入していきます。
・デジタル化が容易な部署から導入する
・すぐに解決しなければならない課題から解決を図る
・ITリテラシーの高い社員が多く在籍する部署の業務から定着を図る…etc
自社の状況に合わせて導入していくのが良いでしょう。
ポイント2:自社のニーズに合ったベンダーやサービスを選定する
・サポートが手厚い
・セキュリティが堅固で定評がある
・機能面が充実している
・中小企業向けのサービスが多い…etc
クラウドを提供するベンダーも現在は数多く存在します。自社の課題を解決するために最適なベンダーを選定することも重要です。もし、どんなベンダーを選べば良いかわからない場合は放置せずに専門家に依頼して対処するのが良いでしょう。
ポイント3:社内ルールの作成・社員教育
クラウドを導入することで、業務のデジタル化やクラウド上でのデータのやり取りが可能となり、これまでの業務のあり方が一変する可能性があります。そのため、業務フローの整備や技術を習得する社員教育が必要になります。
クラウドを導入することで、テレワークが可能になった場合、連絡手段やウェブ会議の手順を新たに構築することも必要になるでしょう。
上記のようなIT化を推進し、業務の大半をデジタル化することに戸惑う社員がいるかもしれません。そのため、ITに強い社員だけではなく、そうではない社員にも配慮したITルールの作成や教育を行っていきましょう。
クラウドの活用事例
では、実際にクラウドを活用し、どのようなDXが行われているのでしょうか。その例をいくつかご紹介します。
事例1:電子レシートでリアルタイムに情報共有
ある企業では、顧客の購入履歴をクラウド上で管理する「電子レシートサービス」を開始しました。システムを導入したことにより各店舗で今何が売れているか、クラウドを通しリアルタイムで把握することができるようになりました。
これまで経験や勘で売り場を調整していたスーパーでは、他の店舗の売上を把握しながら時間別の購買意識、地域別の購買活況度などを見ながら効率的に売り場展開することが可能になりました。顧客はかさばるレシートの束から解放され、過去の購入履歴はwebを通して13ヶ月まで遡って調べることができるようになりました。
事例2:グループ会社のデータを一元管理し新たなサービスを提供
ある企業では、クラウドのデータ基盤やノウハウを持つベンダーを選定することで、高いセキュリティを保ちながら、変更が容易な柔軟性の高いデータベースを約半年で構築しました。
グループ会社3社の顧客情報、Webサイトの行動履歴といったデータをクラウド上で一元収集し、集めたデータを活用することで、これまでにないサービスの提供、ユーザーのニーズにマッチした商品の提案を目指すことができるようになりました。
事例3:作業効率・生産性の向上
ある企業では、コロナ禍により在宅勤務を実施しましたが、社員の勤怠管理、業務実態の見える化に迫られていました。また、一部の部門に残業が集中していたため、働き方の意識改革を進めたいという思いもあり、勤務時間や作業時間などを可視化するクラウドサービスを導入。テレワーク中の社員の動きが客観的かつ正確に把握できるようになりました。
また、他の部署や社員の働き方が見える化したことで、働き方に対する考え方が醸成され、テレワークやDXへの取り組みが加速しました。
クラウド導入支援はTOMAにお任せください
クラウドを導入したいけど、何から始めればいいかわからない。プロフェッショナルに相談しながらクラウドの導入を進めたい。そんな時は、TOMAが導入のサポートをさせていただきます。
具体的には、お客様とのヒアリングを通し、どんな業務をクラウドでデジタル化するのか、目的を明確にします。そして、お客様の業務遂行に必要な機能を備えたクラウドシステムの選定をお手伝いします。
また、クラウドを活用した業務フローの構築、マニュアルの整備、社内資料作成、社員研修の実施とお客様のニーズに合わせた支援プランをご用意します。TOMAはこれまでにさまざまな業種や規模のお客様の導入支援を経験しているので、安心してお任せください。今回紹介したクラウド導入に関するサービスの詳細は以下になります。
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