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顧客管理の徹底こそが勝ち残る秘訣

記事作成日2020/03/13 最終更新日2021/01/22

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業務改善・IT活用

大手企業、中小企業に限らず、ビジネスにおいて「顧客管理」は欠かすことのできないマストタスクとなっています。各社がさまざまな方法を用いて顧客情報を管理していると思いますが管理方法の良し悪しがビジネスの勝敗を分けると言っても過言ではありません。今回は顧客管理の方法や目的、手法について改めておさらいしてみましょう。自社の顧客管理に不足はないか、PDCAにお役立てください。

顧客管理、おろそかにしていませんか

顧客管理とは単に企業名や連絡先、担当者、売上を記録することではありません。1件1件の顧客が一体何に興味を持ち、どんな商品サービスを求めているのかを把握し、永続的に良好なコミュニケーションを図れるようにするのが本来の顧客管理の目的です。

顧客数が多くない、営業の頭の中にしっかりインプットされているから大丈夫と思い顧客管理をおろそかにしていませんか?気づいたらライバルに先を越されてしまうかもしれません。顧客管理とは何か、まずはしっかりとおさらいしましょう。

そもそも顧客管理とは何なのか

顧客管理とは、顧客との良好な関係を築くために必要な情報管理です。営業が自分の勘を頼りに営業活動をするのではなく、全社員が情報を共有できること。必要な情報をまとめ、売上の最大化を目指し、一致団結することです。

そのため、顧客管理とはただ単に顧客の基本情報や売上金額をまとめればいいというわけではありません。

顧客が独自に持つニーズ、これまでの売上傾向からみるデータ分析、マーケティングにより実施したイベントやキャンペーンに対する興味・関心などさまざまな側面から一つの顧客を精査する必要があります。顧客が欲しいと思った時に、欲しい量の商品・サービスを提供できるような関係性を常に維持し続けるために行うのが顧客管理です。

なぜ顧客管理が重要なのか?その目的は?

では、なぜ近年、顧客管理はこんなにも注目されているのでしょうか?

かつては大規模で画一的な広告を打つことである程度の新規顧客を獲得できました。しかし大規模な広告は非効率であるばかりか、費用対効果も計りづらいもの。そのため、新たに新規顧客を獲得するには同じような広報活動を繰り返すしかありません。ところが、日本経済は出口の見えない不況の渦中にあり、徐々に大規模広告では集客ができなくなっていきます。

また、インターネット環境が整い始めると、顧客は情報を簡単に得られるようになります。検索バーに欲しい情報のキーワードを入れるだけで、ある程度の知識を得ることができるのです。顧客だって不況の真っ只中。無駄な商品・サービスを購入している余裕はありませんから必死です。

同業他社が同じような商品を用意していることがわかっているので、プレゼンの際に自社商品・サービスの概要を説明しただけで顧客は納得しません。USP(ユニークセールスポイント=自社だけが持つ他社との差別化ポイント)をしっかりと説明し、それがどれだけ顧客の役に立つのかを説明しなければ、価値を感じ購入にはつながらないのです。

では、「何が顧客の役に立つのか」を知るにはどうすれば良いのでしょうか?

そこで注目されたのが「顧客管理」なのです。「あの会社は私たちの企業のことを熟知し、的確な提案をしてくれる」とわかっている方が、顧客も安心して取引に臨めます。

これらを全て手作業で1社1社行うのは大変ですが、日進月歩のIT技術の進化により、大量の情報を一括管理、分析できるようになっているのです。

顧客管理をする方法は?

顧客管理をする方法はさまざまあります。その一例を紹介します。

1.エクセルを使った顧客管理

社員全員が扱うパソコンにOfficeが入っているなら、もっとも容易な方法はエクセルを使った顧客管理ではないでしょうか。自社の営業活動に合わせて思うままに編集でき、コスト面でもほとんどかからないのがメリットです。ゼロから作ることも可能ですが、ネット上にはテンプレートも充実しています。さらに、エクセルは特に使用方法のレクチャーをしなくても学校などで使い方を学んでいることも多く、導入もスムーズです。多種多様な機能が備わっているため、エクセル技術に特化した人材が一人いるだけで管理の幅がグッと広がる可能性もあります。

デメリットとしては膨大な件数の管理が大変なこと。また、複数の社員が同時に編集することが難しいという問題もあります。全国に支社があるような規模の企業ではあまりお勧めできません。

2.CRMを使った顧客管理

近年、企業で急速に広まっている顧客管理システムがCRM(Customer Relationship Management)=「顧客関係管理」です。顧客の購買目的、蓄積した情報を基にしたデータ分析などを一元管理し、共有できます。また、必要なデータだけを抽出して分析・検証することも可能です。さらに、見込み客からの問い合わせもクラウドを通じて瞬時に共有されるため、日本全国、世界各国にいても迅速な営業活動が可能になります。

デメリットではありませんが、導入にはそれなりの費用がかかります。費用対効果を計算の上、自社に合ったシステムの検討が導入の際には必要です。

3.会計ソフトを使った顧客管理

本来の利用目的からは少し外れますが、会計ソフトを顧客管理に利用するというのも一つの手段です。なぜなら顧客がどんな商品サービスをどれだけ購入したかを追うことができるからです。単価を少しでもあげるために何かできないか、別商品を売ることはできないかを検討し、営業活動に役立てられます。

しかし、あくまで会計ソフトは会計ソフト、CRMのような多彩な機能はなく、限界があるのも事実です。

どんな内容を顧客管理すれば良いのか?

顧客管理の目的は、顧客の特性に合わせた商品サービスを提供することで、顧客満足を最大化することです。では、どんな内容を管理しなければならないのでしょうか。

1つ目は「名刺の管理」です。顧客からいただいた名刺をデジタルデータとして保存することで、名刺の紛失を防げます。また、社員全員で情報を管理すれば、担当者が変更になった際にもスムーズな引き継ぎが可能になります。

2つ目は「案件の管理」です。誰がいつ顧客を訪問し、どんな提案をしたのか。どんな経緯で成約まで至ったのか、顧客がどんな要望や懸念を持っているのかといった進捗を管理します。これにより、営業が困っていれば仲間がサポートに入るといったことも可能になります。チーム一丸となって売上向上を目指す体制づくりが可能です。

3つ目は「メールの管理」です。プレスリリースやメルマガの一斉配信、開封履歴やメールに記載されたリンクのクリック率などを分析することができるシステムもあります。頻繁にメルマガを開封している企業に積極的にアタックするなど戦略を組むこともできるでしょう。

顧客管理の成功事例ってどんなものがある?

顧客管理によってどんな成功事例があるでしょうか。

ある銀行では、ローン申請の申込者が多すぎて、人の手では審査をしきれなくなってしまった。顧客管理システムを使い、審査対象者の情報を共有しローン申請の可否をスピーディにすることで融資の拡大を実現した例が報告されています。また、申請に落ちてしまった人には別の保証会社を紹介するメールを自動で送るシステムを構築し、事業のさらなる拡大に寄与したという事例があります。

顧客管理を成功させるために、課題の見える化が必須

では、成功事例のように顧客管理をうまく機能させるにはどうすればいいのでしょうか。その答えは自社が抱えている課題を抽出することです。

銀行の事例では「申請に対して審査が追いつかない」という課題を抱えていました。それを解決するシステムを構築するという目的を定めることが大切です。なんとなく売上を伸ばしたいからといった抽象的なビジョンをもとに、顧客管理を始めても決して上手くはいかないでしょう。

顧客管理をスムーズに導入するやり方は?

課題を抽出し、どんなシステムを構築すれば良いかが明確になった後にすべきことは社内環境の整備に取り掛かりましょう。

新しいシステムの導入には必ずと言っていいほど社員からの反発、摩擦が発生します。これは人間には環境の変化を嫌う本能があるからです。本能でなくても、現状で忙しく働いているのに、追加で顧客管理の業務が加われば負担と感じる社員も少なくないはずです。そのため、顧客管理を業務に導入する際には社内環境の整備、つまり業務改善も実施しましょう。どんな風に業務改善をすればよいか迷ったらTOMAコンサルタンツグループにご一報ください。

顧客管理導入の際に必要なチェック項目は?

顧客管理を始める時に必要なことは何でしょうか。以下にかんたんにまとめたのでチェックしてみましょう。

その1. 目的の設定
前述もしましたが、まずは課題を抽出し何を解決させるのかを明確にしましょう。

その2. 目的の解決方法を検討する
エクセルでの管理で事足りるのか、それともCRMなど専用のシステムを導入した方がいいのかを検討します。課題によって必要なものが変わります。

その3.データを集約する
全国に展開している会社などで新しいシステムを導入するとなると、その顧客データは膨大な数になります。顧客管理システムを導入する際には担当者を決め、フローを決めておきましょう。

顧客管理を意味のあるものにするために

顧客管理システムを運用する主幹を決めておきましょう。人選はかなり重要です。ただシステムに詳しいだけではダメなのです。もう一度言いますが、顧客管理は、システムを活用し、顧客満足度を上げて売上に貢献することが目的です。営業的な視点も持ち、分析力を兼ね備えた人物でなければなりません。複数人でチームを組むのも一つの手段ですが、顧客管理を「使いこなせる」人を主幹にするのがオススメです。

顧客管理をすることで営業の方法は変わる?

一昔前は「営業は足で稼ぐ」なんて格言がありました。足を使うことは変わらないかもしれませんが、顧客管理をすることで内容は大きく変わるはずです。

ローラー作戦で会社を訪問し、営業をかけるのではなく、顧客管理から分析した情報を基に、既存顧客にはアップセル、クロスセルを計画的に提案する。また、新規顧客には問い合わせやセミナーの情報を駆使し、顧客が求める本当に必要な商品サービスを提供した方が効率良く受注につながるはずです。

失注してしまった場合もその原因は何かを追求することで同じ失敗を防ぐことができるでしょう。また、過去に取引のあった顧客でも、新しい提案、必勝パターンが見つかれば再度営業をかけることができるかもしれません。

このように商談の流れを記録しておくことで、営業活動の底上げが可能になります。特に新人教育の際に先輩がどう動き、どう商談を進めたのかは参考になるはずです。反対に、新人が商談に悩んでいることが記録されていれば、チームでフォロー体制を作ることもできるでしょう。

顧客管理は使い方によって、可能性が無限に広がるのです。

顧客管理の購入履歴をたどることで営業力をさらに上げる

顧客管理を始めてしばらく経つと、膨大な量の購入履歴が蓄積されるでしょう。これを基に次の営業活動に反映させることができれば、より強固な営業が可能になります。例えば商品を購入した顧客に自社商品の感想、要望を聞くことで、新商品の開発に参考になったり、顧客の満足度が低いなら新しい商品の提案ができたりするでしょう。放っておけば、不満な商品を捨て、他社に乗り換えられてしまうかもしれません。

また、既存顧客の中で、良好な関係が築けている場合、同じような事業を行っている他の企業に売り込みをかければ、うまくいく可能性が高いはずです。何の当てもなく、営業をかけるよりもはるかに効率的に売上を伸ばせるはずです。込客の立場にたっても、自社と似た事業を行う企業の成功事例があるというのは購買のハードルを下げる要因になるはずです。

顧客管理の手法を職場にしっかりと定着させるために

前述もしましたが、顧客管理システムの活用に大切なのは、使う側の意識改革です。高価なシステムを導入しても使われなければ意味がありません。システム導入の検討と業務改善は同時進行が理想です。

業務改善といっても何をすればいいのか…という場合には、業務改善のプロに任せるというのも一つの選択肢です。解決法がわかっていてもうまく指導する自信がないという場合もコンサルタントを雇うのはオススメです。トップダウンではない、外部からの意見には意外と素直に従うという社員も少なくないからです。

まとめ:顧客管理の大切さ、必要性をご理解いただけましたか?

営業活動を行う中で手に入れた顧客の「情報」は、自社の未来を支える財産です。これを活用しない、できない企業は今後淘汰されてしまうかもしれません。顧客管理はこれからの時代を生き抜き、さらなる成長に欠かせない土台となるはずです。

TOMAコンサルタンツグループでは、顧客管理システムの運用に関する的確なアドバイスを行う無料相談も行っています。気になる方は、ぜひお問い合わせください。

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